1.日銀の国債保有額がついに500兆円超え!!(日銀暴走)
昨晩は、金融論のWEB 講義の下調べで最近発表になった日銀5月末データをチェックした。そして気がついた。ついに国債保有額が500兆円を超した!!500.1兆円だ。今年3月末で国の国債発行額は987.5兆円。4月、5月でどれだけ発行残高が増えたかわからないが、これで日銀の国債保有額は発行額の50%を超えたのは確実だろう。
私が金融マンの頃、日銀は、国債などごく少額しか保有していなかった。例えば1993年は31.5兆円だ。これは国の借金は銀行や生命保険を通じて国民にファイナンスされていた(預金や保険料で)ということ。しかし日銀は民間銀行と違い預金を預かって国債を購入しているわけではない。紙幣を刷って(正確には日銀当座預金残高を増やして)購入している。国の国債の半分は紙幣を刷ってファイナンスされているということ。紙幣の価値はどんどん希薄化している。インフレに向かって一直線ということだ。
さらに言えば、5月末の株ETF 保有額は32.2兆円。1993年の国債保有額31.5兆円より多い。もうびっくり!だ。よく私のことを過激論者だという人がいるが、日銀の方がよほど過激だ。金融の世界で生きてきた実務家の常識からすれば今の日銀はあまりに暴走している。絶対に中央銀行がやってはいけないと教わり、自分も「こういうことは日銀は行わないはずだ」ということを念頭にディーリングも行ってきた。その禁じ手を今の日銀はことごとく破っている。それも世界の中央銀行の中で突出している。理論的裏づけも安全性の検証もないのに、だ。だから私の結論(=日銀解散&新中央銀行設立しか出口はない)は過激になってしまう。
2.FRBは長期金利を低め誘導するか?
日本ではFRBがいずれ日銀のように長期金利をゼロ%にするYCC政策を取ると予想する人が多いようだが、あり得ない。そもそも長期金利がコントロール出来るなどと思っている中央銀行は今の日銀だけだ。2016年までは日銀自身も「長期金利はコントロールできない」と公言していた(広報誌「教えてよ!日銀」に書いてあった)、長期金利をゼロ%に抑えるためには長期国債を爆買いをする、すなわち財政ファイナンスを徹底的に行うしか手段はない。その財政ファイナンスへの踏み込みを諸外国は非常に警戒している。河浪武史記者は正しく理解し、記事の最後に適切に書いている。「FRBは第2次世界大戦時にYCCに踏み切り、低利の戦費調達を手助けした結果、その後のインフレを抑えきれなかった歴史がある。6月の前回会合では、YCCの効果やリスクをさらに検証していくと一致したものの、早期の導入には慎重な意見が強まりつつある」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61053670S0A700C2000000/
3.日銀審議委員に中村氏
中村氏は記者会見で「国債の発行残高の半分近くを日銀が保有する今の日銀の状態を「財政赤字を中銀が穴埋めする『財政ファイナンス』だとは思わない」と答えたそうだ。審議委員になった以上、そう答えざるを得ないだろうが、幹部が皆そういっていると日銀はだんだん信用されなくなる。家が燃えているのを見て「火事だとは思わない」と言っているようなもの。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61027300R00C20A7EE9000/
4.都知事選の小野泰輔候補
昨日、友人の元日銀熊本支店長と話をしていたら、小野泰輔氏は熊本地震からの復興の際、創造的な復活を目標に、献身的に働いており頭が下がったと話していた。コロナ禍で苦しむ東京の復活を知性と経験、若さがある小野泰輔に期待したい。