黒田日銀総裁会見解説記事「「10年かけてもダメな『2%目標』」
朝日新聞編集委員の原さんが昨日の黒田日銀総裁会見に関し「10年かけてもダメな『2%目標』 でも見直さぬ日銀」という有料解説記事を書かれた。
その中で、原さんは会見で総裁に「10年達成できない(藤巻注:消費者物価2%という)目標は誤った目標の可能性が強い。もっと現実的な目標に見直すつもりはありませんか?」と質問されたそうで、それについての論考を書かれている。そして米誌「インターナショナル・エコノミー」が最近、「世界はまだ日本病のリスクにさらされているか」という特集を組んだことに触れ、このなかで、国債通貨基金(IMF)専務理事や仏中央銀行総裁を務めたジャック・ドラロジエール氏は2%インフレ目標について、「誤りである」と述べていることを取り上げられている。最後に私が同誌(インターナショナル・エコノミー)に論考を乗せていることも紹介くださった。「藤巻健史・元参院議員も論考を寄せている。元モルガン銀行東京支店長として『伝説のディーラー』と呼ばれたこともある市場のプロだ。 藤巻氏は、日銀が日本政府の借金膨張を助ける財政ファイナンスに手を染めている問題を厳しく批判する。将来、円の価値が崩壊してハイパーインフレに陥ったら、日銀を廃止し、新しい中央銀行を設立するしかないとまで言う。 藤巻氏はこう警告する。「日銀は炭鉱のカナリアのようなもの。日銀の失敗をみて政策を変える中央銀行は生き残れるが、学べない中央銀行は日銀と同じ道をたどる」(編集委員・原真人)」 なお、原さんは前回の会見で、残存国債の5割をも買い占めてしまった黒田日銀に対し「発行残高の6割、7割を買い占めても、(ハイパーインフレを引き起こしたという理由で)世界中で禁止されている(かつ日本でも財政法第5条で禁止されている)財政ファイナンス(国の借金を中央銀行が紙幣を発行することによりファイナンスする)ではないのですか?」と質問し、黒田総裁から「長期金利を低位に抑えるために行なっているのだから財政ファイナンスではない」との珍回答というか、嘘っぱちというか、詐欺的と言おうか、の答弁を引き出された記者だ。マーケットでは話題だった。
FRBはバランスシート規模縮小 一方日銀は?
コロナ禍に対する財政出動に対応して資金供給や資産購入に動いたFRBの総資産は「6月10日までの約3カ月間で66%増と急速に膨らんだが、その後は4週連続で縮小している」そうだ。さすがFRB。「資産規模の膨張には危機感」をきちんと保持しているようだ。2020年3月末時点で日銀のバランスシート(BS)は対GDP比で、110%近く。世界断トツのメタボ。FRBは30%程度だから約3か月で50%近くまで膨らませたものの、そこでダイエットを開始したということだ。満期が来た保有国債の買い替えをせずに政府から償還資金を回収する形でBSを縮小したのだろう。、米国債はFRB が買わなくても、日本や中国の政府が外貨準備として多額に買ってくれるし、世界が基軸通貨のドルを欲しがっているから民間からも需要がある。だからFRBは満期分を買い替えなくても政府の資金繰りはOK。ゆえにFRBはBS を縮小できる。日銀以外、買い手がいない日本とは大違い(=日銀以外、ほぼ全員が保有残高を一所懸命減らしている)だ。日銀が満期分を買い替えるないと政府が資金繰り倒産をしてしまうか長期金利の暴騰だ(これでも予算を組めなくなる)。だからBS の縮小は、政府が単年度黒字にならない限り無理。そんなことはまずありえないだろうから、日銀は未来永劫にBS規模を縮小出来ない。.お金が未来永劫、天から降ってくるということ。出口が無い以上、正常に戻すには新しい中央銀行を作らざるを得ない(=現・円紙幣は紙くず)。「日銀の出口を教えてくれたら主張を変える」と長年言っているのだが、誰も出口を発見していない。、
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61548670V10C20A7EE8000/