1.脆弱な日銀
金融の教科書的な本を書いている過程で日銀の令和31年度決算を見ていた。収入合計の2.2兆円のうち保有株式(ETFを含む)から“なんと”8000億円、国債からの受取利息約1兆2000億円に接近してきている。中央銀行の主たる「利益の通貨発行益」とは、「保有資産からの収入」と「負債に対する支払い」の差である。昔は、負債の大部分が発行銀行券だから支払い金利はゼロで、保有資産からの収入がほぼ通貨発行益だった。今、日銀の負債の大半は日銀当座預金で、金利を上げていけば、支払金利は急増する。損の垂れ流し。それよりも中央銀行の収入の3分の1が株式からなど、かっての金融マンには信じられない。そんな価格の上下する資産を中央銀行は保有してはいかないのが昔の常識だった。自国通貨の安定を損なうからだ。世界中の金融マンの間では、今でも常識だろう。
なお、FRB の収入は毎年約12兆円(2015年~2018年)。日銀は2.2兆円。FRB がFRB当座預金に付利してもそう簡単に赤字にならないが、日銀は日銀当座預金への付利金利を上げるとすぐ損の垂れ流し(通貨発行損)。債務超過に落ちってしまう。脆弱!
2.長雨も嫌だが猛暑も怖い
被害にあわれた方ほど悲惨ではないので申し訳ないが、長雨が続くと、ロンドンの陰鬱な冬を思い出す。先日、照明器具を取り換えに来た電気屋さんが言うには「今年は海外工場の閉鎖でクーラー在庫が余りない」とのこと。この長雨も嫌だが明けて猛暑が来ると、これまた熱中症騒ぎが大変そうだ。
3.昔と今は何が違うのか?
時代小説を読んでいると、よく不治の病として労咳(肺結核)が出てき、多くの著名人が亡くなっている。かかれば、ほとんど亡くなるので、小説ながら、「怖いな」といつも思っていた。近代でも終戦後まではペニシリンが実用化されていなかったせいで「不治の病」のままだった。今以上に、怖かったと思うのだが、罹った患者は隔離されたが、町がロックアウトされたような緊迫した話は聞いたことがない。昔と今は何が今は違うのか?昔は、戦争が頻発し死がより身近に存在していたからか?公衆衛生学が発達していなかったせいか?一種のあきらめか?マスコミが無かったせいか?社会学的興味である。なお、私の母は肺結核になり、私が3歳の時、隔離先で亡くなった。コロナも早く治療薬が見つかることを強く望む。