米国長期金利の上昇は日銀の危機

2020年08月12日

the21 8月②

1.米国長期金利の上昇は日銀の危機。

米国長期金利がじわじわと上昇してきている。つい数日前まで10年債で0.53%まで下落していたのに現在は0.64%だ。米国では財政出動でインフレになるだろう(ひょっとするとスタグフレーション)との説が勢いを増している。ましてや株価も上がり資産インフレが進行しつつある。長期金利の上昇は当然といえば当然だ。ましてやワクチンでも出来れば景気回復期待で長期金利上昇は加速するだろう。長期金利を抑えるには、中央銀行が、財政ファイナンスと言われるほどまでに、長期国債を買い占めなければならないが、FRB は「財政ファイナンスはハイパーインフレを起こす」ことを充分に承知しているから深入りはしない。と、なれば今後の米国の長期金利上昇は必然。

その時日銀は爆買い継続で長期金利を抑えきれるのか?先物で外国勢(+倒産したくない国内勢の追随)の売り仕掛けが入る。ほんの少しの長期金利の上昇で債務超過に陥ってしまうほどに土俵際に追い詰められている日銀には防衛は無理だと思う。これが起こると財政と日銀の危機。日銀は莫大に保有する国債の甚大なる評価損でその発行する通貨円は大暴落し、ハイパーインフレへ一直線。

万が一、長期金利をゼロに抑えられることが出来ても日米長期金利拡大で円安進行。日本のインフレが先行し、スタグフレーション発生。インフレ率がどんどん加速しても長期金利を引き上げられなければ、とんでもないインフレが進行。財政破綻の危機を先送りしても、必ずどこかで膨れ上がったオデキから膿は、はじけ飛ぶ。米国の金利動向は極めて重要。ドルを買って自己防衛をしておいた方が賢明だと私は思う。 

2.国の借金は踏み倒ししかない

一昨日10日に発売されたThe 21(PHP研究所)の今月の私の連載タイトルは「世界一の借金王国・日本。返済に必要な増税はどれほどか?」です。宜しくお願いいたします。ここまで借金を積み上げると、借金を返すには消費税の大幅増税か、所得税で低所得者層にも税金を払ってもらうか、低税率帯の税率大幅引き上げしかない。「高所得者層から取れ」と言われても、課税所得が1800万円以上の人は、全国でたったの30万人しかいないので、税率を上げたところで、雀の涙の増税額にしかならない。しかしそのような増税は日本では無理だろう、無理となれば、残る道は「借金踏み倒し」(=ハイパーインフレ=インフレ税)しかないという話。ハイパーインフレは政策ミスによる 人災

The 21 8月人災。

3.「ケインズ的景気対策のツケ」

本日の日経新聞の「大樹小機」の筆者の唯識さんは、よくわかっていらっしゃると思う。「(日本は)世界の中での長年にわたる低成長ということでツケは既に回ってきている。その結果、日本は世界の中で縮むばかり、国民所得も相対的に下がるばかり。国の借金も積みあがっていくばかりになっている。いい加減に、まやかしの経済成長論から卒業して、日本の成長力を取り戻すために何が本当に必要なのかの議論を始めるべきだ」まさにおっしゃる通り。私は「世界で最も社会主義的・計画経済的な経済運営と、国力に比し強すぎた円を修正しなかったせい」だと思っている。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62536700R10C20A8EN2000/

 4.地銀決算

毎日、企業の減益、赤字決算のニュースのオンパレードだが、地銀決算の動向は金融システムリスクにつながるだけに今後、最も注意が必要。「損失処理先手」と明るいニュースのように書かれているが、余りに少額。欧米銀に比べて雀の涙。バブル崩壊の時の不良債権は世間では100兆円と言われていたのに、国は30兆円と言い張っていたことをも思い出す。いつも後手後手。もっとも地銀の場合、異次元緩和政策のおかげで長短金利差が無くなり、儲けの源泉を日銀に奪われてしまっているので、引当金を積みたくても積めないのだろう。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62514230R10C20A8EE9000/

 5.暑い!!

いや~、暑い。考えようによってはオリンピック中止で、観戦中に熱射病で命を奪われなくて済んだ人がいたのかも?入場券応募はしなかったが、もし応募して当たっていても、この暑さでは行く気しなかっただろうな~?