本日第2弾「『インフレ再燃、備え怠るな』(英エコノミスト誌)」他

2020年12月15日

朝早く 本日第1弾も発信しております。そちらもお読みいただければ幸いです。

1.「『インフレ再燃、備え怠るな』(英エコノミスト誌)」

本日の日経新聞「オピニオン欄」に英エコノミスト誌の翻訳記事「インフレ再燃、備え怠るな」が載っている。経済のことがよくわかっている記者が書いていると思う。また、この記事を取り上げた日経の編集者も立派。何度も言うが、欧米では財政出動の結果としての「インフレ懸念論」が注目され始めている。長期金利上昇はもはやテールリスク(起こり確率が極めて低いリスク)ではない。今のうちに長期債から短期債(金利上昇でも値段の下げは小さい)にシフトすべきだ。長期金利が上昇すれば長期債を大量保有している機関は即死。低位安定していても得られる利益は少ない。長期債保有のリスクとリターンの関係が余りにも不均等。

メガバンクは長期債をすでに充分減らしているから大丈夫だろうが、生命保険の一部は大丈夫か心配になる。高い金利の保険への乗り換えが起きた時、現在、保有している長期国債の売却で多額の損が生じてしまう。一番危ないのは日銀。発行国債の52.6%も保有(それもほとんどが平均利回りたった0.2%の長期債)しているから、今すぐ売却し、長期金利上昇期に備えることも到底出来ない。時価会計で激しい債務超過となり円大暴落だ。

エコノミスト誌いわく「ここへ来てパンデミック収束後には、高インフレの時代に突入するという一部の反対論者の声が力を増してきた。こうした主張は決定的なものとは言い難いが、根拠を欠いているわけではない。物価が高騰する可能性は低いとしても、政府債務と中銀資産が膨張しているだけに気掛かりだ」「インフレが長期化する可能性は依然として低い。だが、物価上昇が手に負えなくなるのを阻止するために中銀が利上げを余儀なくされる場合には、深刻な影響が出るおそれがある。マーケットは急落し、負債を抱えた企業は破綻する。さらに深刻なのは、政府債務と中銀負債の拡大から国全体のバランスシートが大きく膨らみ、それによる弊害がむき出しになる点だ。その理由を理解するには、国のバランスシートの負債の中身を詳細にみる必要がある」私の主張、そのものだ。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM142VM0U0A211C2000000/

2.「国債の需給悪化は長期金利上昇要因・ドル高/円安要因」

15日、16日のFOMC でFRBは量的緩和拡充を進めるだろうとの予想記事が本日の日経に載っている。この記事を読んで金利低下圧力が増すと思たったら大間違いだ。 米議会は休会前に9000億ドル(約93兆円)規模の財政出動を決めそうだ。大雑把に言えば国債発行が約93兆円増加するという。FRB が大胆に国債買い取り額を増やさないと国債の需給が崩れる。FRB は国債発行増額の100%を買うことはしないだろうから供給過多で長期金利は上昇するだろう。じわじわと米国長期金利が上昇している理由の一つ。日米長期金利差拡大でドル高/円安要因。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67321410V11C20A2FF8000/