「円安基調・金利先高観」「金利上昇期に世界1そしてダントツに脆弱な日本国」他

2021年02月07日

1.「円安基調・金利先高観」

今朝の日経新聞朝刊。今週の市場予想「円安基調続くか 米財政出動で金利先高観」は私の予想に合致。「日米金利差が拡大するとの思惑から円安・ドル高に振れやすくなっている。市場では米金利の先高観が強い。バイデン政権は2月中にインフラ投資などの成長戦略を公表する見通しで大規模な財政出動が政策の柱だ。野村証券の小清水直和氏は『米長期金利は目先、1.25%まで上がる可能性がある』とみる。21年末にかけて景気回復期待などを背景に1.5%前後まで上昇するシナリオも目立ち始めた」 円がクラッシュする前にドルの確保が急務。並びに日本の証券会社でも買える米国債ベアファンド(TMV等)も考慮すべし。「金利が上昇すると利益が上がる債券ベアファンドの原理や魅力は「藤巻健史の資産運用大全」(幻冬舎新書)をご参照。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68904920W1A200C2EA4000/ 

2.「金利上昇期に世界1そしてダントツに脆弱な日本国」

米国をはじめ金利上昇がメインシナリオになりつつある。金利上昇が予想されるとき、住宅ローンを変動型で借りる人はいない。長期固定金利で、金利支払いを長期間、低く抑えようとするのが常識だ。国も同じ。長期固定金利の国債を発行し、将来の金利支払いを抑えようとするのが常道。ところがせっかく長期固定の国債を政府が発行したと思ったら日銀が国債を爆買いし、日銀当座預金(日銀の負債)を急増させている。国全体で考えると、金利上昇期に備えて、せっかく長期固定の低金利資金を調達できたと思ったのに、「日銀当座預金」という極めて短い資金(=金利上昇期に支払金利がグングン上がる)に切り替えたことになる。金利上昇期に住宅ローンを長期固定から変動金利型に切り替えているようなものだ。私が「統合政府論で考えると日本の財政は健全どころか、極めて危険なことがわかる」と説き、国会議員時代に黒田日銀総裁にたびたび追及していた問題点である。日本は、世界でもっとも、それも断トツに金利上昇期に脆弱な国である。早くドル資産に切り替えた方がいい。

3.「通貨の信用失墜で起こるハイパーインフレ」

昨日から、私のtwitterにドイツの終戦後のハイパーインフレは、供給力の破壊のせいだ、賠償金のせいだと絡んでくる方がいらっしゃいます。そこで以下の回答を返信しました。「ドイツのハイパーインフレを供給力の不足だとか賠償金のせいだと思い込んでいる人がいるようです。問題は原因を取り除けば解決します。戦後のドイツは旧中央銀行であるライヒスバンクを廃し、新中央銀行を設立することによってハイパーインフレから脱却しました。賠償金の額も、供給力も新中央銀行設立前後で変化があったわけではありません。変わったのは信用力のある新しい通貨を発行したことです(旧通貨は紙屑)。ついでにドイツはその時のハイパーインフレの経験に基づき憲法で均衡財政を謳いはじめました。間違った分析をしなかったドイツ人は優秀ですす。ちなみに、中央銀行の信用の失墜=紙幣の信用の失墜は何も戦争の有無ではありません。典型的なのが、今、日本で盛んにやっている財政ファイナンス。だから会議を約束したしたわけでもなく自然発生的に財政ファイナンスは世界中で禁じ手とされたのです」 

4、「ハイパーインフレはモノの需給ではなく通貨価値の失墜で起きる」

昨日は他の方からも、私のTwitterに「ハイパーインフレは需給ギャップで起きる」と強硬に主張する人がいるので返事を書きました。以下の通り「マキの替わりに紙幣を暖炉にくべてる」教科書の絵を思い出してください。マキの需給が崩れてマキの価格が暴騰したせい(=何百枚もの1万円札が必要になる)ではなく紙幣価値が失墜したせいで紙幣をマキ替わりにしたのです。東大の岩本教授は「ハイパーインフレーションの原因は巨額の財政赤字にあると考えられている。数%のインフレ率の変動は,需給の関係で生じると考えていいが,年率3ケタや天文学的数字のインフレを同じ理由で説明するのは無理だ。」との論考を書かれています。それもご参照下さい。http://iwmtyss.blog.jp/archives/1074965246.html