「米、加熱覚悟の財政出動」「『悪い金利上昇』市場警戒」他

2021年02月28日

1.「米、加熱覚悟の財政出動」

「金融市場は巨額の財政出動による経済過熱を警戒して動揺している」マーケットに対する驕りかな?マーケットをコントロールできると過信している。日本もそうだが、米国の指導者層にもマーケットを知っているメンバーいそうもないからな。制御不能の長期金利上昇の可能性あり。ttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN270RA0X20C21A2000000/

2.「悪い金利上昇」市場警戒

金曜日、米国長期金利の上昇は一服、多少の低下があったが、昨日夕刊の日経新聞「ウォール街ラウンドアップ」いわく「もっとも、投資家の警戒感はまったく和らいでいない」Agree。そりゃそうだろう。こんなに財政出動をしてお金ジャブジャブなうえに、歴史的にみて史上最低レベルの金利なのだから。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69504700X20C21A2ENI000/

3.「FRBは国債の金利上昇を抑えに入るからか?」

今朝、私のtwitterに「遠くないうちにFRBが国債を買い支えるペギング政策をとってくるだろうとの話を聞きました。先生はこの政策の実現性や金融市場への影響などどう思われますか?」との質問をいただいた。私の回答は以下の通り。「米国債保有者全員の切なる希望でしょうが、希望に過ぎないと思っています。政府は何でもコントロール出来るという幻想を抱いてはいけません。政府といえどもファンダメンタルズには勝てません。政府が何でも出来るのならブラックマンデーもリーマンショックも起きていません。為替でもそうですが、ファンダメンタルズに反する介入が効くのは、せいぜい最初の1~2回です。あとの市場は政府・日銀の介入を待って反対取引(=自分のポジションを減らす)のために利用するようになります。政府の意図と反対に市場が動くということです。日本でのPKO(1992年~年金の金を使って株価上昇を狙ったprice keeping operation)を実施した時など典型的にそれが現れました。最初は効きましたが、後はPKOが出れば株価下落と政府の意図と反対の動きでした。市場の怖さを知らないリーダーばかりなら、国債買い支えを試み、失敗。市場の最後の望み、支えが失われ、制御不能の価格下落(=長期金利の上昇)へ。市場の怖さを知っているリーダーなら、何もせずに市場に期待を持たせ続け、前者より価格の下落(=長期金利上昇)をマイルドに抑えるのだと思います。なお、ぺギング政策とはまさに日銀が行っている異次元緩和、長期国債爆買い政策です。FRBはじめ他の中央銀行は、日銀と同じことをすればハイパーインフレ一直線になることを熟知してますから、同じような愚行(異次元の国債爆買い)はしないとも言えます。

4.「株価下落で評価損の心配、金利上昇で評価損の心配。そんな中央銀行は世界で日銀だけ」

今後、もし長期金利の上昇が継続し、ブラックマンデーのようなことが起こったとき、債務超過を心配しなくてはならないのは世界の中央銀行で日銀だけ。他の中央銀行は株など持っていないのだから。長期金利は意歴史的に定期金利にありマイナス金利に行くわけもないのだから株価の損を長期金利の評価益ではまかいきれない。長期金利が上昇し続けた場合、債務超過を心配しなくてはならないのは世界の中央銀行で日銀だけ。他の中央銀行は、日銀のように莫大な量を保有をしていないし、高い利回りの国債・MBSを保有しているから、当面の心配はない。国債の保有額が大きくて株の評価益では到底カバーできない。

5.「日銀債務超過の時、長期金利はどこまで上がるか?」

昨日、私のTwitter に「まだまだ長期金利は低いように思うのですが。 今回のアメリカ債券の金利上昇もテクニカル的な要因によるとの見方もありますが。 ところで日銀が債務超過になるとしたら、長期金利でどのくらいのレベルなのでしょうか?」との質問が来た。私の回答は以下の通り。「1980年米国10年債は20%超え、短期金利(1日もの)は24%、1980年11月日本国債は11%、以上は政府や中央銀行の危機ではなくて、ついた金利です。政府が危機に陥った時の金利と言えば、1989年だったか90年のロシア危機、ロシア国債は確か年利80%くらいまで金利上昇(=価格大暴落)しました。タイガーファンドのジュリアン・ロバートソンが大損をした時です。日銀が債務超過になるときは、この危機状態の時の長期金利が参考になるかと思います。この80%は年利ですから、明日にでも政府や中央銀行がおかしくなる予想でしたら、何千%になる可能性もあります。1日で元本をすべて失う計算です。

6.「コンベクシティヘッジによる影響」

前述の質問「昨今の米長期金利の上昇はテクニカル的なものか?」という点に関しても、回答を差し上げた。以下の通り。「テクニカル要因とは、コンベクシティヘッジのことをおっしゃっているのだと思いますが、デイトレーダーには重要かもしれませんが、テクニカル要因はしょせんテクニカル要因でしかありません。テクニカル要因は相場に多少、色を付ける程度と考えておいた方がいいでしょう」

7.「『預金封鎖&新券発行』か『新日本銀行設立』か?」

昨日、私のFBに以下の質問をいただいた。「新日銀になったときドル預金も不安定になりませんかね」私の回答は以下の通り。「ハイパーインフレになった後のハイパーインフレ抑制策には3通りあると思います。①法定通貨をドルに換える。②昭和21年のように預金封鎖&新券発行 ③終戦後ドイツのようにも日銀を廃し新中央銀行を作る。②の場合、ドル預金もアウトでしょうが、③の場合はドル預金はセーフです。円は日銀の負債ですが、ドルはFRBの負債だからです。私は③の可能性が高いと思っています。②は戦後でしたが、私有財産権の意識が弱かった明治憲法下だからできたと思うのです。私有財産権の強い今の憲法下でしたら③しか選択肢はないと思うのです。日銀券や日銀当座預金は日銀の負債。会社が倒産したとき、負債がパーになっても、その会社が私有財産権を奪ったとはいえないからです。②の場合は憲法違反の裁判が続出し混乱すると思います。