1.「続く米長期金利上昇。続けば日銀・円はピンチ」
昨日は米長期金利が0.09%上昇し、ついに1.6%を超えてきた。それでも株価が崩れないことを見ると、市場はかなりの景気回復を予想し、お金が大幅にだぶついていることを示しているのだろう。長期金利が今後とも大きく上昇することが予想できる。私個人は、とんでもない上昇が始まると思っている。私が、適切な投資だといい続けてきたTMV(米長期金利が上昇すると利益の上がる)は年初来の2か月半で上昇幅が50%を超えた。世界の長期金利上昇が続けば、日銀はピンチだ、円がピンチということ。
2.「中央銀行の長期金利抑制策は抜かずの宝刀。抜いたらおしまい」
伝統的金融政策時代の中央銀行は短期金利を精緻に制御できた。中央銀行が副作用もなく、できることはそれだけだ。短期金利を誘導することによって、景気、インフレ率、為替さらには株価に影響を与えてきた。前者2つに対して効果があることは、理論的にも、経験則からも実証されてきた。一方、長期金利に直接働きかけても効果がないことは、以前の金融マンの常識であり、かっての中央銀行はどこもやらなかった。無謀に始めてしまったのが日銀だ。日銀も以前は「コントロール出来ない」と公言したのに異次元緩和を始めた理由づけのためにも、「出来る」と言い換えた。
今、多くの投資家やマスコミは(特に日本で顕著)長期金利まで中央銀行がコントロールできると思い込んでいる。荒れたマーケットの経験が、現役世代に全くないから妄想を抱いてしまうのだろう。長期金利を抑え込む唯一の方法は、今の日銀のように何が何でも爆買いして抑え込むことだけだ。しかしそれは間違いなくハイパーインフレを引き起こすことを歴史が証明しているから、他の中央銀行は日銀ほどには強引に行っていない。負けることが100%確かな戦争は起こさないのだ、起こしてしまったのが日銀、補給路を断たれて全滅したインパール作戦そのものだ。止める人もいない。
ファンダメンタルに沿った長期金利の上昇を抑えることは中央銀行と言えども出来ないことは実務経験のある中央銀行マンなら100も承知のはずだ。効果が多少あるのは(「購入国債量を増やすぞ)との)口先の脅しだけ。長期金利抑制策を中央銀行が打ち出し実行したら、効果がないことを市場が実証してしまい逆効果。為替介入と同じ。だから「抜くぞ、抜くぞ」の天下の宝刀は抜いたら、2,3日だけ効果があって、それでおしまい。長期金利上昇スピードが一度に加速してしまう。
3.「ビットコイン価格上昇」
一昨日のブルムバーグ記事。「10日発表された2月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が予想を下回り、全般的なインフレ圧力が引き続き抑制される状況が示唆されたが、将来のインフレ高進に備えるヘッジ手段として支持されるビットコインは堅調を維持した」。一つのデータ(CPI)では収まらないほど将来のインフレ予想は強いということ。それが昨日の米長期金利上昇に表れている。長期金利上昇で日銀と円のリスクが認識されるようになると。ビットコインは避難通貨としての価値も高めていくことになるだろう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-03-10/QPRRZDT1UM1301?srnd=cojp-v2
4.「円高にはどうやって対処すべきだったか」
昨日、私のtwitterに以下の質問が来た、「先生は、円高はマーケットに任せておけばよかったというお考えですか?それとも、際限なくドル買いをしておくべきだったとお考えですか?」
私の回答は以下の通り。「30年来、私は日本経済の回復への戦略は社会主義経済からの脱却、戦術は国力に比し高すぎる円高の是正。これなくしては日本は何をやってもダメ」でした。脱デフレも円高是正で一発です。円高是正には「ドル預金の税制改正(=為替益の非課税化または20%の源泉課税)日本国債のドル建て発行、日銀の米国債購入、マイナス金利政策(=黒田日銀のそれとは180度異なる)」等を主張していたのですが私の微力のせいで日本の政治には全く反映されませんでした。欧米の金融マンや知識人には絶賛されていたのですがね。日本には実務家のオピニオンリーダーがいないし、いても実務家の意見に耳を傾けません。ただ今、私は円安を声高々に主張してはおりません。時すでに遅し、で、今、円安政策をとれば日本のX デーの引き金を引いてしまいます。正しいことを主張してきたつもりなのに、この惨状の引き金を引き非難される貧乏くじは引きたくありません(悲惨な状況を作った人ではなく引き金を引いた人が悪者扱いされるのが日本ですから)。引き金を引いてこの惨状の責任を取るべき人は他にいるはずです」
5.盛りを過ぎた白木蓮
3月11日のハクモクレン。盛りを過ぎたが青空に映えていた。10年前の震災のときに満開だった白木蓮を思い出す。当時は、この木も全盛期で勢いがあった。その後、上の方をバッサリ切って3部の2の大きさにして、やっと花が付く。時は移る。
6.歌舞伎
1週間前の金曜日、国立劇場に歌舞伎「時今也桔梗旗揚」を見に行った。私が後援会長をしている坂東新悟君が光秀の妹桔梗役で出演しているからだ。明智光秀の謀反のストーリーだが歴史小説の筋書とは変わっていて面白かった。ただ問題は観客が100人いるかいなかの超ガラガラだったこと。密とは程遠い。聞くところによると歌舞伎座は(価格が高いせいで)さらに悲惨な入りだということ、古典芸能の先行きがえらく心配。飲食のように補助が出るわけでもないし。