1,「最大のリスクはインフレとテーパータントラム」
昨版配信のブルムバーグ記事。バンク・オブ・アメリカの3月のグローバルファンドマネジャー調査によると「(コロナは)最大のテールリスクとは考えられていない。代わって、インフレとテーパータントラムがいまや最大のリスクと見なされている」そうだ。こんな時に債券に積極投資をする機関投資家はまずいないだろう。米長期金利のさらなる上昇が予想される。円金利は動かないから日米長短金利差拡大でドル高円安進行だと思う。ちなみに「米株市場がバブルだと考える投資家は15%にすぎなかった」そうだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-03-16/QQ28ABDWX2PY01?srnd=cojp-v2
2.「日本の接待カルチャー(=家庭を大事にしない)は累進課税が厳しいせい」
モルガンの東京支店の接待は邦銀に比べて格段に少なかったが、NY本店ではほとんどなかったと記憶している。接待は国際標準とかそういう話ではなく。税金の累進性の問題だとずっと思ってきた。日本では累進性が厳しいのである程度までいったら、給料でもらっても税金でとられるだけ。それなら交際費で自由に飲み食いし、社用車を使おうという話になる、と思っていた。そのせいで家庭生活も犠牲になる。欧米では社交費や社用車などくれるくらいなら、給料を上げろ、だった。だからみな仕事が終わったら、すぐ家に帰り、家族生活が豊かだったし、社用車などなかった。モルガンではサンディー会長は自宅からグイランドセントラルまで、ナップサックとテニスシューズで出社し、そこからハイヤーで会社まで来ていた。私のボスは自費でハイヤーを雇っていた。ソロスに入った時、社用車を要求したら、「ジョージ・ソロスもドラッケンミラーも社用車がないのに君は要求するのか?」と聞かれてあきらめた。しかし45歳から50歳まで社用車で(NY ではなく累進課税の日本なので)楽な通勤をした後、満員電車通勤はつらかったな~。https://www.nikkei.com/article/DGXZQODB09CPW0Z00C21A3000000/
3.「米国での贈与等は徹底的に徹底」
もう20根に錠前の話だが、米国大使公邸で開催されたファイナンシャルアタッシェ(当時、日本の国力が強く米国財務省でもNO5くらいの人間が日本に赴任していた)の帰国に伴うさよならパーティーに出席した。仕事柄、しょっちゅうコンタクトして友人同然だったので、そのパーティーに、プレゼントを持参した。日本の思い出に、と日本人形だったか2万円弱くらいのものだったと思う。ところが彼曰く「タケシ、我々は1万円(?)以上のものをもらってはいけない規則があるのだよ。申し訳ないが気持ちだけ、もらっておくよ」と返された。日本人なら、規則違反だけれど、大した金額ではないし、こういう品物で、こういうときだからと受け取ったと思う。返すのはかえって礼儀知らずと思ってしまうだろう。この時、私は、米国は、贈収賄に関して、実に厳しい国なのだと痛感した。その意味で、この記事でいう「米欧は透明化徹底」は正しい。
余談だが、この後、彼がクリスマスカードに「君ほどの実績のある人間がまだヘッジファンド業界に移っていないのは不思議だ」と書かれていたのが、きっかけで、私はソロスに転職する気になった。https://www.nikkei.com/article/DGXZQODB09CPW0Z00C21A3000000/
4.「ニック・ロディティは、東京でも地下鉄で移動」
Twitterで交際費や社用車のことを書いたら、以下のリツイートが来た。「え、ジョージ・ソロスもドラッケンミラーも自力で通勤してたんですか??日本は官僚が偉くなると「車と女」、つまり公用車と秘書が付くって喜びますよね。そういう文化はあまり無いのでしょうか?」私の回答は以下の通り「秘書はつきます。仕事の能率を高めるためには必要だからです。車は社用車ではなくもし必要なら自費で雇っていました。累進性が低いので給料をもらい、その使い方は自分の好きなように、ですから。運転手を雇いたい人は雇い他に使いたい人は他に使うということです。ドラッケンミラーと並ぶソロスのファンドマネージャーニック・ロデイテイは車なしでした」ニックが来日すると、他の米系投資銀行だと役員が総出で最敬礼で迎え入れるそうだが、わが社に来るときは、地下鉄に乗ってきて、こそこそと私の支店長室に入りこんでいました。部下のウスイ嬢に『あれ~あの人が有名なニック・ロディティですか。彼も藤巻さんも小さくてしょぼくれているから、どこかの村長さん2人が茶飲み話をしているのかと思いましたよ』と言われたものです」
余談だが、今はどこに泊まっているのか知らないが、昔、彼が来日した時の定宿はキヤピタル東京だった。東京で唯一、窓が開くホテルだからだそうだ。こだわりのある人だった。