「米国債購入減の伏線?」「驚くべき雇用統計でも、米長期金利は行って来い」

2021年05月08日

1.「米国債購入減の伏線?」

FRBが6日資産価格の急落リスクに警鐘を鳴らしたそうだ。日経新聞によると「FRBは資産価格上昇の背景に低い長期金利や景気回復期待があるとみる」そうだ、なに、それ?長期債の大量購入で長期金利を低め誘導しているのはFED自身じゃないの?そういうのをマッチポンプというんだよ!しかし、ひょっとして米国債購入を減らすための伏線/予告で市場に注意を喚起しているのかも?だとするとFEDは日銀が1985年~90年に犯した間違い(=資産価格高騰から目をそらし引締めが遅れたとの澄田元日銀総裁の反省)をきちんと勉強している。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71628740X00C21A5MM0000/

2,「驚くべき雇用統計でも、米長期金利は行って来い」

米雇用統計の就業者数が市場予想を大幅に下回った。40年間、マーケットに影響を与える数字はじっくり見てきたが、ここまで予想が大外れしたことは記憶にない。そもそも20万人増が経済好調のしるしと言われており、出てくる予想は12万人とか23万人とか、その程度のものが普通だ、それが今回はコロナ禍の復興で100万人増とか一部120万人増とか、とんでもなく大きな数字が予想されていたから外し方も次元を超えていた(実際は26万6000人増)。しかし米国10年物長期金利は、金融緩和が長期化するとの見方が強まり、さすがに一時的に0.1%下落したが、朝起きたら、数字発表前とほぼ同じところまで戻っていた。30年金利は上昇さえしていた。FEDが想定以上に金融引き締めを継続したとしても市場へのショックはこの程度でしか(しかも一時的にしか)ないということ。あとはどのくらい、どの程度のスピードで、金利が上昇するか、だけだろう。

3,「米雇用統計の予想外れ」

しかしここまで予想が外れると「いかに予想のたてかたがいい加減か」と思ってしまう。同業他社の数字を見比べながら鉛筆をなめて予想を作っているのではないか?とさえ思ってしまう。もしくは政府発表の方が、速報性を重視するあまり、頼りにならないか?(推定の入りすぎ)今後の修正数字を見れば判明するだろう。興味深い。

しかし、この日経新聞の「飲食や輸送など活動が急速に回復している業種は働き手の確保が追いつかない矛盾が生じている。経済対策で現金給付や手厚い失業保険給付を手にした人がいまだ感染リスクのある仕事に戻るのを控えているのに加え、学校再開の遅れで子育て中の親が働きに出ることが難しくなっている」との記述は「そうか~」と思ってしまう。「時給20ドル(約2200円)を下回る職種は募集をかけてもなかなか埋まらないとの声が製造業から出ている」――。米連邦準備理事会(FRB)の4月の地区連銀経済報告は、人手の確保に悩む現場の声を拾い上げた」という記述がある。前にボストン郊外在住の次男から「週末の郵便局のバイトで時給2000円、皆、金持っている」との報告があったことを書いたが、それとも合致している。やはり米国経済は息子の観察のように強そうだ。過熱に向かうと思う。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71679880Y1A500C2EA2000/

 4.「ワクチン打ったか?」

最近来た米国人2人からのメールには2度目のワクチン接種が終わったとあった。フランス人からのメールには2回目が今週末だそうだ。外国人とのメールではワクチン接種が、今やメールに必ず挿入される「あいさつ代わりの文言」になっている。そして必ず「タケシは終わったか?」と聞かれる。「まだ気配もない」と返事するたびに日本政府を情けないとつくづく思う。まだ世界では日本がワクチン接種後進国だとは認識されていない。オリンピックが近づけば、世界にワクチン後進国ぶりが喧伝されるだろう。昔のように、日本が興味の対象ではなくなっている。

ちなみに3月末に渡米した次男の接種2回目は今週末、奥さんの方は1回目が先週末、次回は2週間後。自国民でもないのに早々、やってくれる。外でマスクをしている人は、ほとんどいなくなったそうだ(ボストン郊外)。急速に日時洋画戻ってきている。日本では90歳の叔母が、2日間、次男に会社休ませてパソコンと格闘してもらい、やっと来週木曜日のワクチン接種予約を済ませてとのこと。欧米では「人柄がいい」とか「信頼できるか」などではなく、結果がすべてでリーダーを評価するから、こんなにワクチン接種の遅れと拙攻では、とっくに政権は崩壊していただろう。

5,「情けない日本経済の現状を知るために、海外に行きましょう」

4月末発売の婦人画報、私の連載は「情けない日本経済の現状を知るために、海外に行きましょう」です、よろしくお願いいたします。「海外ブランド品を買うために東南アジアに買い物旅行をする時代もとっくに過ぎ去りました。経済格差がなくなったせいです。アジア諸国にぐいぐいと追いつかれつつあります。私自身は『日本は資本主義を標榜していながら、結果平等の社会主義的経済運営をしているせいだ』と思っていますが、皆さんはどう分析するでしょうか?是非、海外で彼我の差を感じ取り、子供や孫のために処方箋を書く必要があると思います。手遅れになる前に」。

婦人画報③