.「円安/ドル高進行の理由は日米金融政策の違い」「赤字国債が支える社会保障制度の持続可能性?」他

2021年05月21日

1.「円安/ドル高進行の理由は日米金融政策の違い」

FRBの一部理事がテーパリングに言及したそうだ。FRB は米国債市場の中でモンスターではないからテーパリングをやろうと思えばできる。日銀は日本国債市場において、あまりのモンスターになっているから緩和の出口に過ぎないテーパリングさえできない。景気が良くなっても緩和を強めるだけ。小さな池に住むクジラは池が狭すぎて方向転換はできない。引き締め方向にある米国と緩和を辞められない日銀を考えれば日米金利差でドル高/円安のベクトルは当面変わらない。

日本の中央銀行が「政府の紙幣印刷所」に過ぎないままの状態の時はいいが、「金融調節」が必要になった時は日銀を「新しい中央銀行」にとっかえるしか手はない。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-05-19/QTD914T0G1KY01?srnd=cojp-v2

 2.「為替の安定が重要な責務の日銀がなぜ、値動きの激しい株や長期国債の爆買いを始めたのか?」

黒田日銀総裁が「為替相場を含む国際金融市場の安定がもたらされ、ひいては世界経済の安定にも資する」と講演会で発言されたそうだ。

為替相場の安定が重要と考えている黒田総裁。それなら、なぜ日銀は「値動きの激しい株や長期国債の爆買い」を始めたのか? 私が金融マンの時には「債務超過になり通貨の信用が暴落するのを恐れて中央銀行は株、長期債、不動産等の価格変動の激しいものには手を出さない」が中央銀行マンの鉄則だった。持っていたのは約束手形や短期国債、政府短期証券のような値動きをほとんどしないものばかりだった。今の日銀の保有資産は値動きが激しいものばかりだ。株が暴落したら、長期金利が上昇したら、債務超過、円紙くず化の危機。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-05-19/QTBW7ET0AFB501?srnd=cojp-v2

 3.「民間部門の弱体化と財政赤字の拡大がゼロ成長の原因」

5月18日日経新聞「十字路」いわく「(米国は)民間部門の弱体化と財政赤字の拡大で、ゼロ成長に落ち込んだ日本に一段と近づいてきているのである」。まさにその通り。米国にはサマーズのような人がきちんと反対するので心配いらないと思うが。財政赤字の拡大放漫経済の結果である。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB148860U1A510C2000000/

5月18日の日経新聞「大樹小機」いわく「社会保障制度の改革、それと同じコインの表裏の関係にある財政再建は、政府にしかできない仕事である。残念ながら、やるべきことは先送りされてきた。財政再建というと今でも必要なし、急いでやることはない、という声すらある。実際、日本銀行の国債購入によって長期金利に上昇の気配はない。しかし、赤字国債が支える社会保障制度の持続可能性については、すでに人々の信頼は失われている。市場に先駆けて消費者は自己防衛に走り始めた。日本経済を再起動させるためには、社会保障・財政が抱える問題の全体像を分かりやすく説明し、骨太の改革案を示し、将来不安を払拭しなければならない」その通り。財政再建必要なし論者はとんでもない。全く事情が分かっていないとしか言いようがない。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71976540X10C21A5EN8000/

 5.「感情逆なでしそう」

菅総理は「途上国に無償でワクチンを分配する取り組みに関し『各国の力強いコミットメントを呼びかけたい』と言明した」そうだ。ワクチン接種予約獲得戦できゅうきゅうとしている身としては外に向かって、カッコつけるな、まずは自国民のことを考えろ、と言いたい。米国でも欧州でも、自国民に十分な接種量を確保するまで輸出禁止だったのでは?こういうのは自国に余裕が出てからの話。ODA に関しても同じ。国会議員の時、国際協力はもちろん大事。しかし、世界最悪の財政状況状態の時にODA供与強国である必要があるのか?自国民が悲惨な目にあうリスクがあっても他国を助けるのか?と質問した。いずれIMF から支援を受けなくてはならなくなる時のために恩を売っているのか?ハイパーインフレで価値のなくなる円だから、ODA 供与で使っても痛くもかゆくもないと思っているのか?(皮肉)https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE206NX0Q1A520C2000000/

6.「成長が必要な日本」

日経新聞によると、菅総理が出席した国際交流会議の結論は「成長至上の政治 転換点」だったそうだ。 抵抗感を感じる。 確かにアジアは この30年間急成長を遂げ その結果 富が高所得者層に集中し 格差が拡大した。 成長至上主義を問視する のはまだわかる しかし日本は 30年間 全く成長なかった(GDPが変わらず) がゆえに 中間層が没落し 格差が広がった 富裕層が より豊かになったので格差が広がったのではない。 日本は 成長が 必要だ。この記事は 日本を除くアジアの話である。もしこの話を書くのであれば 「日本を除く」と入れていただかないと世論をミスリードする。菅総理がもし、そのような内容にうなずいていたとしたら、とんでもない話だ。そうでなかったことを願う。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72108820R20C21A5EA2000/