1.「財政はもう詰んでいる・統合政府でみると日本が今いかに危険かが一目瞭然」
日経新聞の今朝の「大樹小機」いわく「筆者は日本の財政は将棋に例えると既に詰んでいる、とみている。換言すれば、民主主義のシステムに基づいて、増税や歳出削減で財政バランスを取り戻すのは、もはや無理なところまで来ているのではないか」。ちなみに「大樹小機」の筆者は私ではない。この筆者の考えは、ほぼ私と同じ。「政府と日銀を統合したバランスシートでみると、今現在、いかに日本が危ないかがよくわかる」と統合政府のバランスシートを使って、危機を説明されている。私もよく使う説明だが、筆者の「政策金利引き上げ時に日銀は典型的な多重債務者と同じになる」との説明は適格。筆者は「日銀はどこかの時点で信用をなくし、現預金から不動産、外貨、金などへのシフトが発生するだろう。どの時点で信用をなくすかについては、誰にも分からない。それを決めるのはわれわれ国民だ。(略)。しかし国民が愛想を尽かす時には日銀の信用は崩壊する」。日銀が信用を無くし、円の信用が失墜することでハイパーインフレが起きる。円がおもちゃの紙幣と同じ価値になるということだ。いくらモノが余っていてもおもちゃの紙幣では人はモノを売ってくれない。
最後の結論部分だけは、私の主張とは少し違う。私は、日本国民が日銀に愛想をつかすはるか前に、外国人が日銀当座預金から資金を撤退することで日銀の命運は尽きると思っている。すべての取引は日銀当座預金を通じて行われるからだ。外国人が日本株、日本国債等の取引から撤退せざるをえなくなるし、為替取引が不可能になる。ドル決済が主流の世界貿易で、円を売ってドルを確保できないのなら、円の価値は大暴落だ。日本人はドル不足で輸入が出来なくなる。
この事態は、日銀が債務超過になり、それが一時的ではないと外国人が判断した時点で起こる。日銀の債務超過は、長期金利の上昇で起こるので、この危機は真じかに迫っている。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72301650W1A520C2EN8000/
2.「今の米国には資産価格上昇という強烈なインフレ要因を相殺する自国通貨高が起きていない」
昨晩の日経新聞夕刊によると、全米の住宅価格指数が前年同月比13.2%上昇し、上昇率は2005年12月以来、約15年ぶりの大きさだったそうだ。土地と株の高騰で経済が狂乱した日本のバブル(1985-90)の再来だ。当時の日本は、狂乱経済というものすごいインフレ要因を3年間で130円もの円高進行(1984年末251円、1987年末 122円)という超デフレ要因が相殺した、今の米国は自国通貨高という超デフレ要因が存在しない。私は米国はものすごいインフレが発生すると思う。FRBは当時の日祇園と同じ間違いをしている。米国金利高につられて日本の長期金利が上昇したら、日銀はアウト。ハイパーインフレ発生、ちなみに資産価格の動きはCPIの計算には反映されていないことに注意。資産インフレとCPI インフレとは別。もの、当時の日銀もFRBも資産インフレを無視している。それが禍根を残す。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72275850W1A520C2EAF000/
3.「元金融記者の方からのお褒めの言葉」
この2,3日、MMT論を信じる若者からのリツイートというか、からみが多い。
「社会保障の財源は税金でない」とか「借金は返す必要が無い」とかあまりにも常識が無さすぎて、日本の将来に不安になる。私は頭の良さで、日本人とユダヤ人が世界の双璧だと思っていたのだが、少し考えが変わりつつある。そんな中でサポートしてくださるリツイートもいただいた。こういうことは自分では書けないので(笑い)、他の方が書いてくださるのはとても嬉しい。「金融記者として、伝説のディーラー、藤巻さんがコメントを出すだけで、世界の金融市場が動揺した1990−2005年の東京市場を見た私は、実績ゼロのど素人さんたちが藤巻先生に絡む令和の日本を見て「衆愚」とか「民主主義の堕落」とか「金融で世界に負けるわな」という悲しい感想を抱きます」