「世界中で家の価格が狂乱中」「外資が日本から撤退すると、ドルを回収できなくなるのか?」他

2021年07月02日

1.「世界中で家の価格が狂乱中」

いよいよ、お金をじゃぶじゃぶにした国々で1985年~90年の日本のバブルと同じ現象が起き始めたようだ。なお、このブルムバーグの記事の英語版は、「もっとも読まれている記事」の2番目(東京時間6時現在)だ。

住宅価格はCPIの計算に入らないからCPIを重要視している中央銀行は、引き締めが遅れる。自国通貨高というデフレ要因のない国のCPIは少し時間が遅れてジャンプアップし、中央銀行は大慌てとなるだろう。中央銀行では制御できないと言われる長期金利は、けた外れに急騰すると思う。当時の澄田日銀総裁の反省を世界の中央銀行は、今のところ、生かしていない。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-07-01/QVJKUKT0AFB801?srnd=cojp-v2

 

2.「賃金上昇よりも消費者物価の上昇の方が激しそう」

昨日のSNS で「一昨日深夜3時現在でブルムバーグ英語版で2番目に読まれている」と紹介した記事の翻訳版。こんな状態でFRBが利上げはまだ先などと強がりをいつまで行っていられるのだろう?ドル高/円安はかなり進みそう

「米国の勤労者は今年に入って企業が雇用の確保を目指し実施している賃上げの恩恵に浴しているが、その上がり方は消費者物価の上昇ペースを下回りそうだ」「INGのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は『企業としては、雇用のためにより多く支払わざるを得なくなろう』とした上で、『生活費がかなり急ピッチで上昇している。従って現状では、生活を何とか維持するのがせいぜいだろう』と指摘した。」

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-07-01/QVIQJBT0G1KW01?srnd=cojp-v2

 

3.「日銀が債務超過になったらどうなるか?」

「先日、日銀が債務超過になったら、外銀が日銀当座預金を閉鎖し、円はドルとの交換不能通貨になる」と書いたら、twitterに以下の質問が来た。

「全ての銀行が一斉にそうなる、というお話でしたら理解ができますが、全ての外国銀行が一斉に閉鎖とは考え難く、また日銀当座預金の閉鎖を判断できるのは日銀サイドだと思いますが、認識に誤りがありましたらご指摘頂ければ幸いです」

私の返事は以下の通り。

「貴兄が、口座を持っている銀行の財務の健全性が気になって、損を被りたくないから、口座を閉じ、お金を引き上げようと思ったとします。その口座を閉鎖するのを認めるか否かを判断するのは、その銀行ですか?それとも貴兄ですか? 」

さらに、質問が続いた。

「誤解を招く解釈をして失礼しました。 外国銀行が日銀の口座を閉じると為替取引自体ができなくなる意味がよく理解できず、です。邦銀もいますし。何も外貨の調達先は外資銀行だけではないと思いますので」

これに対しては以下の通りに回答した。

「邦銀が米国に支店を持ち預金等でドルを無尽蔵に集めることができるのなら邦銀もドルの新規供給先になりますが、通常はそうではありません。その国の通貨を為替によって新規に供給できるのはその国の銀行(ドルなら米銀)、または仲介金融機関としてドルと交換できる通貨を持つ国の銀行)です。邦銀が今現在保有しているドルなら供給できるとおっしゃるかもしれませんが、そのようなドルは遊んでいるわけではありません。米国にある日本系企業や米国企業等に融資されて(=使われてしまって)います」

 

4.「外資が日本から撤退すると、ドルを回収できなくなるのか?」

Twitterに以下の質問が来た

「外銀が口座を閉じて日本から出ていくと、先生が言うように外貨建て証券や海外不動産に資産配分して収入があっても、国内でそれを引き出せなくなるので、海外に脱出して暮らせる程ない限り、外貨建て資産にはあまり意味がないのでしょうか?」

私の回答は以下の通り。

「外銀であろうと、邦銀であろうとドルの資金はFRB のFRB当座預金口座を通じて決済されます。貴兄が海外不動産で得たドル収入(例えば小切手で受け取った)を某銀行(邦銀であろうと米銀であろうと)の国内の某支店にドル預金をした場合その銀行(邦銀であろうと)がFRB に持っているFRB当座預金が増えます。貴兄は必要な時、ドルで引き下ろせばいいだけです。ベネズエラをなど自国通貨の信用が無くなった多くの国ではドルが流通し始めます。日本でもドルは法定通貨ではありません(=強制的に受け取らねばならない通貨)が、少し前、法律が改正され、両者が合意すれば決済には使えるはずです。円が信用を無くしたときは、皆、ドルを欲しがるでしょうから不便はないでしょう。

「お忙しい中、明解な回答でよく理解できました。誠に有難うございました」とのご丁寧な返信をいただいた。

 

5.「ドル余り FRB吸収最多」

昨日の日経新聞夕刊の「ウォール街  ラウンドアップ」

「ドル余りは加速しており、金融市場ではFRBがテーパリング(資産購入の減額)を近く始めても、大きな動揺をもたらさないのではとの見方も出ている」とあるが、それは(オーバーナイト等の)短期市場の話であって、テーパリングを開始すれば、長期債市場が崩れるのは自明だと私は思うけど。もし長期債市場に動揺が起こらないとみているトレーダーいるとしたら、私はその人、「(長年、中央銀行がマーケットに多大に関与したので動かないマーケットしか経験していないので)平和ボケ」だと思うけど。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73449620R00C21A7ENI000/