1,「パウエル議長の言う利上げとは短期金利の話」
定例記者会見でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の「利上げには程遠い」
との発言でドルが(たいした動きではないが)下落したが、注意しなくてはいけないのは、FRB のいう「利上げ」とは短期金利のことだという点だ。黒田日銀以外、過去の日銀を含め、長期金利を政策目標にしている中央銀行はない。長期金利はマーケットが決める。それが金融界の常識だからだ。その長期金利はテーパリングの開始が近くなったと判断すると上昇を始めると思う。私が金融マンの時は「最後の利下げは長期金利上昇への反転期」とよく言われたものだが、長期金利の反転は、短期金利よりかなり早く始まる。そしてドル/円は長期金利の動向により影響されるものだ。FRB のいう利上げを長期金利の話と誤解しているとマーケットを読み間違える。
2.「長期金利は市場が決める。FRB ではない(バーナンキ元FRB 議長)」
「長期金利が市場が決める」と巴米国ビジネススクールで習ったし、私も30年近く、その認識で市場で戦ってきた。元FRB議長のバーナンキ氏も講演で「These longer-term rates are determined not by the Fed but by participants in deep and sophisticated global financial markets.」と発言している(2004年5月20日ワシントン州シアトル)
3「インフレ不安に金融市場だけ無関心-FRB議長の「一時的」を過信も」
昨日のブルムバーグ記事。同意。 この20年間、リーマンショックくらいしか大きな値動きを経験したことのないトレーダーが市場の多数になっていること。プログラム売買が多くなったが、そのプログラムに過去の、相場が大きく動いた時のデータが蓄積されていないせいでは?
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-07-28/QWWR9BT0G1KW01?srnd=cojp-v2
4,「日銀デジタルと暗号資産は別な話」
昨日、「日銀デジタルが出来れば、マイナス金利政策が導入でき、日本経済大回復、デフレ脱却できる」の話を書いたところ、以下のリツイートをいただいた。「え? 個人が所有するデジタル通貨にもマイナス金利がかかる想定でしょうか?すると、個人はゼロかプラス付利の銀行へ預けざるを得ず、銀行の役割が維持される予感。銀行にとっては貸出・投資でしっかり収益を上げることがますます重要に」
私の回答は以下の通り。「中央銀行デジタルが導入されれば日本人個人はすべて中央銀行に口座を持ちます。現金は無くなります;そこにマイナス金利が導入されますからマイナス金利政策可能です。銀行は受け入れ預金が無くなり融資は日銀から借りて実行しますから定義上は貸金業者に変換。暗号資産はデジタル通貨とは別の話です」
5.「日銀デジタルが出来れば、民間銀行の預金は無くなる」
上記の方から、さらにリツイートをいただいた。「制度設計次第でしょうけど、個人がデジタル通貨を中銀口座に寝かしていてもしょうがないので、民間銀行に預けて利息を得る、 民間銀行は預かった通貨を企業に融資、 民間銀行は厳格な監督下に置かれ、引き続き銀行預金はマネーストックとしてカウントされる、と予想します」
私の回答は以下の通り「前提の食い違いがあるようです。私が申し上げているのは中央銀行が紙幣の発行を辞め、すべてをデジタル通貨に切り替える話です。デジタル通貨はすでに日銀の口座に存在するのです。ですから民間銀行に預けるものは存在しないのです。マイナスなら株とか暗号資産とか外貨にしか逃げる道は無くなります