「テーパリングの開始を馬鹿にしな方がいい」「日経新聞の正論 ①、②」他

2021年08月20日

 

1「テーパリングの開始を馬鹿にしな方がいい」

テーパリング開始のニュースで昨日、一昨日の株式市場は下落したが、債券市場は無反応だった。債券市場は、今まで需給だけで持っていた(=FRB の大量買い)のだから、FRB の債券市場からの撤退を馬鹿にしない方がいい。「当面、金利を上げない」との報道を誤解している人もいるようだが、上げないのは短期金利で、長期金利は彼等の政策金利(=コントロールしようとする金利)ではない。長期金利を政策金利として「コントロール出来る」としているのは日銀、それも黒田日銀だけ。他の中央銀行は(かっての日銀を含め)、どこの中央銀行も長期金利をコントロース出来るとは思っていない。

ちなみに、「テーパリングの開始」でも、金融緩和は当面、継続だ。(金融緩和とは中央銀行のバランスシートが拡大していくこと。テーパリングを開始しても、当面、FRB のバランスシート の拡大は続く)。したがって、市場に金は流れこみ続けるので、株式市場はすぐ立ち直ると思う。ただし、本当に金融緩和の解消(=FRBのバランスシートの縮小=保有国債の満期額>購入額)が始まった時は、この限りではない。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74952370Q1A820C2EA1000/

 

2.「『FRBは日銀と同じことをしている。目くそ、鼻くそではないか?』は違う」

先日、私のtwitter に以下のリツイートが来た。「「まあ、刷りまくっているのは日本もアメリカも一緒。どちらも紙屑に向けてアクセル全開じゃないの?今のところ年間20兆円以上経常黒字国の日本が目くそ鼻くそでマシだとは思いますけど」。

私の回答は以下の通り。「規模が全然違います。FRB は国債発行残高の3割も買っていませんが、日銀は発行残高の既に53%をも買い占めています。完璧な財政ファイナンスです。それにFRB の保有債券利回りは、それなりに高く、多少長期金利が上昇しても評価損は生まれません。日銀の危険度が段違いに高いです」

 

3.「日経新聞の正論① (コロなワクチン接種後)」

本日の日経新聞「春秋」は正論だと思う。「接種が完了した人から、行動制限を緩和していくのが欧米などのいき方だ。(略)大きな流れとしてはそうやって経済を回し、メリットを示すことで接種をさらに促す手法である。日本でも、考えを整理する時期に来ているはずだ。とはいえ、議論が滞っているのは(略)この国のワクチン接種は若者や働き盛りの人たちへの対応が遅れ、スタート台にも着かせてくれないのだ。それでいて、緊急事態宣言など我慢を強いる策はだらだらと長引く。少しは希望を抱かせてほしいのに、ゴールがどんどん遠くなる」

ブースター接種が始まれば、世界で、またワクチン争奪戦が始まり、さらに日本は遅れる。ファイザー社に医療データを提供することと引き換えに、早い段階でワクチンをゲットしたイスラエルのようなことまでは出来なかったにしろ、自粛ばかりで、ワクチン獲得の遅れが社会問題にならなかった国が払うツケだ。う。WHOがいくら、新興国にワクチンを回せと言っても米国はまずはブースター接種を優先するだろう。どの国も自国第1主義なのが現実である。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK193V40Z10C21A8000000/

 

4、日経新聞の正論② (「米国頼みに綻び 『自力対応』迫られる日本」)

本日の日経新聞1面記事。これも正論だと思う。「バイデン米大統領は14日の声明で「アフガン軍が自国を守れない、もしくは守る意思がなければ米軍が駐留しても意味がない」と述べた。自民党内には「米軍任せだったアフガンを日本に置き換えたらどうなるか」との問題提起がある。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA17DI90X10C21A8000000/