1.「日本化」ではなく「日本病」
昨日の日経新聞1面の記事。本文には「日本化」という言葉しか出てこないが、
タイトルは「日本化」ではなく「日本病」。タイトルを付けたデスクに拍手を送りたい。日本のマスコミは、「悲惨な現実を国民の目」にさらすのを避けたいのか「日本化」という言葉しか使わない。外国ではかっての老大国英国の経済低迷を「英国病」と揶揄したように、「世界最大の借金をためる一方、40年間世界ダントツのビリ成長しかしていない日本経済」のことを「日本病」と揶揄している。
その事実に気が付かないと、あと10年で日本は世界の4流国に落ちる。この国の政治では大改革など出来そうもないから、市場がそれを行うのだと思う。人々は、それを「市場の暴力」と呼ぶだろうが、それは政治が出来ないことを市場がやってくれることに過ぎない。近じか来る日本銀行の破綻のXデイは、そういう位置づけだ。
ちなみに、「The international Economy]」が2017年夏号で「Is the world at Risk of the “Japanese Disease”?という特集を組んでいる。世界的に非常に権威ある雑誌で、私は最近は2回に1回寄稿を依頼される(日本人は毎回1人か2人のみ)。寄稿者を選ぶ選考委員会はジャン=クロード・トリシェ元欧州中央銀行総裁、アラン・スパン元FRB議長、Miguel Mancera 元メキシコ中銀総裁、ジョージソロス、kenneth Rogof ハーバード大学教授、Paul Krugmanプリンストン大学教授ほか、錚々たるメンバー43人で成る。だから、知人の元外交官から「フジマキ君、the international Economyに寄稿を依頼させるの。尊敬しちゃうな」と言われるのだ。私も、請け負う仕事の中で、最も名誉な仕事だと思っている。寄稿を依頼されている限り、世界の金融界で、JPモルガン時代に築き上げた私の評価は落ちていないと認識できるからだ。話を戻す。そのような権威ある雑誌が、日本経済を「日本病」と形容したのである。日本人は、もっと危機感を持たねばならない。だからこそこの日経新聞デスクに拍手を送りたいのだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA234330T20C21A6000000/
2「何度でも言う。『米緩和縮小、世界も転機 FRB議長 年内に』は誤報」
今日の日経新聞3面。相変わらず「テーパリング」を「量的緩和の縮小」と誤解している。予想の間違いなら「読者も予想として読む」のだから問題ないが、事実を誤って報じるのはまずい。議長が言っていないことを、さも言ったかのように書くのはまずい。「量的緩和縮小を年内に始めるのが妥当」などとはパウエル議長は言っていない。言ったのは、ブルムバーグが書くように「テーパリング(債券購入の縮小)の開始は年内が妥当」に過ぎない。12月末に、今日現在のFRB のバランスシートと、今年末のそれとを比べてみよう。今年末のバランスシートの方が膨張していると私は思う。下にある図表で、RRB 資産額は今より上にあると思うのだ。日経新聞は、年末、「量的緩和は進行(=FRB バのバンスシートは拡大)した。8月より多額の資金が市場に流れ込んでいる。
量的緩和は縮小を始めていない。8月にパウエル議長は的外れなことを言った」とでも書くのだろうか?
一昨日のパウエル議長発言で、株価は上昇した。FRBの市場への資金供給の増加は、まだしばらく続く、と米国人は考えたからではないか?日経を読んだ日本人の中には、資金回収が年内に始まる、大変だ、と売ってしまった人がいるかもしれない。投資判断をきちんとしてもらうためには、正確な情報が必要だ。それが報道機関の勤めのはずだ。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75239880Y1A820C2EA1000/
3.「正しいか、誤っているかの問題」
日経の報道の誤りを昨日指摘したら、私のtwitter に「同じ内容でも各紙が伝え方が違うのは経済ニュースでもあるわけですね。もちろん評論も各々違う。 私のような素人はどうリスク管理するかで仕事をしてそして自分の資産を守る」というリツイートをいただいた。
私の回答は以下の通り。「この件は、伝え方とか評論の差の問題ではありません、正しいか、誤っているかです」