「なぜ国債を増発してきたのに金利が下がり続けたのか?」
昨日、以下のリツイートが私のtwitterに来た。
「藤巻氏が論拠としている主流派経済学では、政府が国債を増発すると、国債価格が下落し金利が上昇するということ」になっています。しかし現実は、図の通り、政府債務残高が増えれば増えるほど、金利は下がり続けています」
私の回答は以下の通り。
「需給の話をするなら供給側の話をするだけではなく需要と合わせて考えればなりません。主流経済学者を持ち出さなくても「モノの供給が増えれば値段が下がる(=国債なら利回り上昇)」のは当たり前。小学生でもわかることです。今は、供給増以上に日銀というモンスターが突然現れ、買いまくっているのですから価格上昇(長期金利低下)は当たり前。
また長期金利は需給だけで決まるものではありません。通常はファンダメンタルズを主因に決まります。名目金利=実質金利+期待インフレ率+倒産確率です。2000年頃までの金利低下は、期待インフレ率がどんどん低下していったから起こりました。(ファンダメンタルズ要因)。ちなみに私は1990年代後半、日本経済の構造不況を理由に長期金利1%割れを予想し(当時は頭がおかしいと言われた)、金利低下で勝負してJPモルガンに多額の利益を貢献しました。
その後、財政が悪化していきました。本来は、それを反映して、倒産確率が上昇し、名目金利が上昇するはずでしたが、様々な公的機関(郵貯、年金、日銀)が長期債を爆買いし、長期金利の爆謄を抑え続けてきました(需給要因です)。まさに計画経済そのものです。これがその後も名目金利が低下し続けてきた理由です。1990年代にはごく微量しか買っていなかった日銀が、市場原理に関係なく、毎年、年間発行額の60~70%を爆買い、ついには発行残高の半分以上を買い占めてしまったのですから極低金利が進行するのはあたりまえです。しかし本来、長期債市場はファンダメンタルズで動きます。日銀が爆買いを辞めれば(金融緩和の出口)需給要因が外れ、ファンダメンタルズを反映するレートに戻ります。倒産確率が急騰し、名目金利爆騰、日本も日銀もアウトです」