「NHK解説番組のアーカイブ「黒田日銀の功罪」を読むべし!」「日本の銀行はもはや銀行の体をなしていない」他

2021年10月02日

1.「NHK解説番組のアーカイブ「黒田日銀の功罪」を読むべし!」

NHKの解説委員が解説する「時論公論」の9月27日のアーカイブ。さすがNHKで黒田日銀の問題点を非常に、わかりやすく解説している。一読をお勧めする。しかし最大、そして肝心の日銀の倒産リスクについては触れていない。たしかにNHKが触れれば、翌日、銀行で取りつけ騒ぎだろう。だから言えないのはわかる。しかし、賢い読者は、きちんと行間を読み取らねばならない。

この解説では、早く「異次元緩和路線」の修正をすべきだったとの主張のようにも読める。しかし、それは無理な注文だ。異次元緩和は、「デフレ脱却」という美名のもとの「財政破綻」先送り策(=財政ファイナンス)に過ぎない。「維持現緩和」を辞めれば、政府が財政破綻してしまう(=長期金利が爆騰しないと、借換債を含めて年間150兆円もの金を毎年集められない。爆騰すれば国は予算など組めない)。たとえ、悪性インフレになっても異次元緩和継続だ。私が、日銀は景気が良くなればThe End、(スタグフレーションで)景気が悪くても金利が上昇したらThe End、という理由だ。中央銀行は社会にとって不可欠なインフラだ。空白期間はごく短くなければならない。早く新中央銀行と新しい紙幣の準備に取り掛からねばならない(新しい紙幣は渋沢栄一で代用できるが)。

https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/454784.html

2,「日本の銀行はもはや銀行の体をなしていない」

本日の日経新聞1面トップ記事によると「国内銀行の2021年3月末時点の預貸率は全国平均で58.1%、20年前に比べ28.9ポイントも低下した」そうだ。これでは、日本では銀行は銀行の体をなしていない。預貸率とは「預かった預金のうち、何%融資に回しているか」だ。預証率「預かった預金のうち、何%を証券投資に回しているか」が上がったということだろう。

銀行本来の仕事とは、「信用リスク」を図る能力の無い預金者のために(信用リスクの低い≒安全な)銀行が預金を預かり、信用リスクが銀行より高いところに貸し利益を得ることだ。それを自分より倒産リスクの低い国債や地方債で運用するのなら、そんな機関は存在価値が無い。預金者が銀行より倒産リスクの低いところに自分で貸せば(=証券を買う)いいはずだからだ。わざわざ銀行に代行してもらう必要はない。あ、そうか、企業より、日本国や地方政府の方が倒産リスクが高いから、いいんだ~(もちろん皮肉)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFB073FH0X00C21A8000000/

3.「日本の金融システムを脅かしているのは日銀」

銀行が融資を抑えるのは日銀のせいだ。地銀の収益が悪化して倒産リスクが出始めているのも日銀のせい。銀行の利益の根幹は長短金利差である。10年の融資は10年のお金を調達して行いうのではない。短いお金を借り変えながら長期の融資を行う。したがって長短金利差が開けば開くほど儲けが大きくなる。しかし、異次元緩和の開始で、日銀が長期国債の爆買いを開始した(私が銀行員だった時の長期債購入はほぼゼロ)爆買いすれば長期金利は急落して長短金利差が無くなった。これで銀行に儲けろ、という方が無理。国会議員時代、議員団の地方視察で、地銀の首脳陣に会った時、皆「業績悪化はマイナス金利のせい」と言っていて驚いた。今、日銀当座預金510兆円の内、マイナス金利はたったの28兆円に過ぎない。たったの28兆円がマイナスでも、長短金利差があれば、充分すぎるほど儲かる。日本の金融システムを脅かしているのは日銀である。

4,「昨日発売の『婦人画報』11月号 私の連載」

昨日発売の「婦人画報」11月号の私の連載は「アフガニスタン情勢と米国経済」というタイトルで最後は、以下のように占めています、「ただ、覚えておくといいのは、先ほど述べたように、米国は今や、世界一のエネルギー産出国ということ。それに加えてGAFAを中心にIT 企業も米国に集中している。今後の経済にとって最も重要な二大資源を米国は押さえているのだ。さらにはドルが世界の基軸通貨であり、撤退したとはいえ、いまだ軍事力は世界最強だ。どの国に一番の未来があるか?と問われれば、米国と答えざるを得ない。また世界中の中央銀行が紙幣を刷りまくっているので、すべての法定通貨は価値が下がることになるだろう。(略)「どちらがより弱くなるか」だ。私は「円の方がより弱くなる」、すなわちドル/円(1円当たりのドルは9は上昇すると思っている。その意味でも、ドル資産の購入は悪い選択ではない)

 

5.「日本の破綻の予兆すらないのに、破綻を言うのは何故?」

昨日、twitterに以下のリツイートをいただいた、「この20年、日本が破綻しないのは、全くその予兆すらないのは何故?」私の回答は以下の通り。「最後の超軽いワラ1本で、背骨が折れてしまうロバが、それまで、全く背骨の折れる気配もないのは何故?」

 

6,「鈴木俊一新蔵相」

もう40年ほど前のことだろうか、30人くらいの小さなパーティーで、今回、蔵相就任されるという鈴木俊一さんにお会いしたことがある、何のパーティーだったか忘れたが、他に女優の名取裕子さん、東急の五島さん、宮沢洋一君等、超著名人ばかりだったのをうっすらと思えている。「あれ~、私以外、皆,名家の人、しかも著名人じゃないか。私は場違いだ」と思ったことは覚えている。物覚えの悪い私だから、大体の方の顔や名前は忘れだが、鈴木さんだけは、名前も顔も鮮明に覚えている。「ワッ、お父様(鈴木善幸元首相)にそっくりだ。世の中にはこんなにも親子の顔が似ることあるんだ」と強烈な印象を持ったからだ(歳を取られてからは、そう似てはいなくなった印象)。以上、週末の他愛もない話。