「『資産購入(量的緩和)の縮小』は誤り」「日本は緊縮国家か?」「ドル保有は保険の意味で」他

2021年11月04日

1.「『資産購入(量的緩和)の縮小』は誤り」

今朝の「FRB のテーパリング決定」のNHK7時のニュースでは字幕に「資産購入(量的緩和)の縮小」とあった。相変わらずの間違い。しばらくは「資産購入の縮小」だが「量的緩和は逆に拡大」だ。「量的緩和」とはFRB のバランスシートが拡大すること。縮小とはバランスシートが縮小することだ。

「毎月満期になるFRB保有国債」>「毎月のFRB 購入量」となって初めて、量的緩和の縮小が開始される。

それがわからないと、テーパリング決定にもかかわらず米株価上昇の理由がわからないだろう。ここしばらくは、テーパリングが開始されても量的緩和が継続するからだ、ここしばらくはお金が市場にさらにじゃぶじゃぶと供給され。増え続けるからだ。

私の指摘を受けて(か、どうかは知らないが)ブルムバーグはテーパリングの訳を「量的緩和」の縮小から「購入資産の縮小」にすぐ変えた。さすが。日本のマスコミは記者が理解していないあせいか、わかりやすさの追求なのか、ちっとも変えない。わかりやすくとも間違っていることを伝えるのは報道の使命ではない。

 

2、「テーパリングの意味をきちんと理解している日経新聞・大越記者」

その中で感心したのは、日経新聞のワシントン・大越記者。一昨日(11月2日)の「FRBが量的緩和縮小へ」の記事(タイトルは?だが、通常、タイトルは記者が付けない)の中で、きちんと記述している。わかっておられる。大越記者曰く「テーパリングは金融緩和のアクセルを緩めるだけであって、ブレーキを踏むわけではない。追加の購入額を徐々に絞ってもFRBの総資産は増え続けるため、緩和的な金融環境は続く」と

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77182600R01C21A1EE9000

 

3.「テーパリングの訳を間違える理由」

有名無実化しているとはいえ、日銀が公表している長期国債の購入目標の「年間購入量80兆円増」は“増”で純増の数字だったすなわち、日銀の目標は「毎月の購入額―毎月の満期額」が目標だった。一方、FRB が言うところのテーパリングとは、「毎月の購入額」nに関してである。この辺の理解不足があるのかも?

ところで、今気が付いたのだが、昔は日銀のホームページのトップの「金融市場調節」目標のところに「長期国債 保有年間80兆円増」と書いてあったと記憶している(確かではない)が、今、見たら消えてしまった。大幅に減らす方針とは聞いたことがあるが、目標自信をこっそりと消してしまったのだろうか?それならそれをきちんと無くしたと公表すべきだと思う。世界がそれを聞いて、引き締めと誤解されるのを怖がったせいなのか?それともまだ目標は有名無実化したまま存在するのか?いずれにしても、市場とのコミュニケーションとして正しいやり方でない気もするが。

 

4.「日本は緊縮国家か?」

相変わらず、私のことを「緊縮財政派だ」と非難するtwitterが来るので反論を書いた。「世界最悪の借金大国を緊縮国家などと言ったら世界中から笑われてしまいます。緊縮か積極財政かは、税収との対比です。それが世界共通の定義です。世界最貧国の一つのハイチが税収に比し巨大な財政出動をしたら、いくら絶対額が小さくてもそれは積極財政、放漫財政です。日本でさらなる財政出動をしたいのなら超大幅な増税が必要です。私は低い税金、小さな政府論者です」

 

5.「ドル保有は保険の意味で」

数日前、以下のtwitterが私のところに来た。「114円台になった時に、いよいよきたーと思ってドーンとドルを買ってしまいました。今113円台になると胃がキリキリします。それが素人の感覚だと思います」

私の回答は以下の通り。「ドルの購入はX デイが来た時のために保険だとお考え下さい。X デイが来なくて円高が進んだら為替で損をしますがそれは保険料だと考えるべきです。給料も年金も円預金も無事だから保険料を損したくらいならOKなのです。X デイが来たらドルを持ってなかったら悲劇です。火事が来なくて保険料損したと思う方はいないでしょう」