「(日経新聞社説)18歳以下への一律給付金はやめよ」「日銀がほんのちょっとだけの国債引き受けにとどめておけば、来るべき惨事は防げたか?」

2021年11月09日

1.(日経新聞社説)18歳以下への一律給付金はやめよ」

「いったい何を目的にした政策なのか、さっぱり分からない。公明党が実現を強く求めている、18歳以下の子どもを対象に一律10万円を配る給付金のことである」<―本日の日経新聞社説。まさに正論。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77381330Z01C21A1EA1000/

 2.「政府、『30兆円超』対策議論 新しい資本主義会議が提言」

「新しい資本主義実現会議」が8日、緊急提言をまとめた。いつも書くように分配重視の「更なる社会主義国家」への戦略に思えてならない。日経新聞いわく「日本はコロナ前の経済への回復が米欧に比べて遅れている」。日本は経済大事があると、いつも政府ががむしゃらに前面に出て、そして、いつも経済実態、株の回復とも大幅遅れ。戻らないうちに次の大事が来る。「回復が欧米に送れる」は決まり文句。コロナ禍、リーマンショック、通貨危機、ブラックマンデー等々。いつも必ずビリ。社会主義国家だからしょうがないか。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA083E80Y1A101C2000000/

 3.「日銀がほんのちょっとだけの国債引き受けにとどめておけば、来るべき惨事は防げたか?」

昨日、敬愛する知識人より、FB に以下の質問が来た。「(日銀は)ほんのちょっとだけ、国債の直接引き受けをする。つまり『節度あるヘリコプターマネー』はどうだったですかね。2%になるまで様子を見ながらやる。民間銀行から買ってる間は預金が国債になるだけですが、コレは本当にマネーが増える。多分、調節できずとんでもないことになりそうですが」。

私の返事は以下の通り。

「異次元緩和の主目的は財政破綻の先送りであり、デフレ脱却とは大儀名分にすぎなかったと私は思っています。したがって潮田案は、私のマイナス金利論と同様、当時では採用されなかったのでは?潮田案のほんのちょっとの引き受けでは長期金利がはねあがって、政府は予算を組めませんでしたでしょうから、政府にとって意味ない施策です。金利を低く抑え込んで(本来なら2014年頃に来たはずの)財政破綻を回避するのが異次元緩和の目的でしたから。すべては、財政規律を無視したポピュリズム政治の結果としての惨事が、今おころうとしているのです」

4.「マネックス証券会長・松本大氏のインフレ予想」

以下、昨晩発信のマネックス証券相場情報の中の松本大氏のコメント。

「日本にいると分かりにくいですが、世界的にはインフレがヒシヒシと、いやビシビシと、始まっています。当然アメリカ等の中央銀行は金利を上げて対処していく訳ですが、今回のインフレは今までのものとは少し違うかも知れません。

ESGを背景に、例えばE(環境)を背景に、脱炭素の掛け声の下にエネルギーの価格が上がってしまったり、或いはS(社会)を背景に人件費が高騰したり、そういう、今までのインフレとは違う理由での「プライスの上昇」という現象も起きています。そしてこれらは、金利を上げたからと云って制御出来るものではありません。しかも一過性のものではなくて、恐らくずっと続くものです。

今世界では、そんなことが起きている、或いは起きている可能性が十分にあると思います。この流れには、しっかりと注意を払わねばなりません。そして冒頭に書いたように、日本にいるとデフレ感がまだあって気付きにくいので、積極的に世界情勢を追い掛けねばなりません。世界を見ることは大切ですね!」

私自身は、今回の欧米のインフレは(日本のバブルと同様)資産効果によるインフレで、相当強烈なものだと思っている。したがってインフレの原因分析では松本市と多少異なるが、「世界の流れを良く見ていないと、とんだ目にあうぞ」という点は同じ。

 5.(付録)松本大氏のこと

以前も書いたが、以前、元マイクロソフト社長の成毛眞氏、松本大氏と私の3人で「トーキョー金融道」(日経BP)という本を書いた。3人ともに、前書を書いたが、以下、私の前書き

「「金融商品のディーリングの難しさに比べると、マージャンなんて屁の河童である。マージャンに負けるやつなんてディーラーの風上にも置けない。もうひとつ言わせてもらうと、ディーラーは自分の都合の悪いことはすぐ忘れたほうがよい。私は(マージャンはともかく)そちらのほうは大いに自信がある。 それでも覚えていることがある。私の部下だったシライこと臼井を含め、成毛さん、松本さんと四人でマージャンをした後、私は帰宅した。時計をみると午前二時であった。後日聞いたところによると、驚いたことに他の三人と成毛さんの秘書のカワノさんはそのあとカラオケに行き、徹夜。朝には各々の職場に向かったそうである。そのバイタリティや恐るべし。

そんな出会いを経て、先日我が家で行ったホームパーティに松本さんと成毛さんをご招待した。「午後六時から九時までのパーティ」という招待状を出したところ、夕方五時半に「ピンポーン」とチャイムが鳴った。あと三〇分したらお客様が大勢いらっしゃる。私と家内が準備に大わらわの真っ最中の時間帯である。さすがにデキる男はなにごとも早い。早すぎるくらいである。 パーティが佳境に入ると、松本さんは、私の小・中・高の同級生である大蔵省出身の宮沢洋一衆議院議員を台所の片隅に引きずり込んだ。そして日本経済に関して議論を吹っかけ始めたのである。一方、成毛さんは、ファッション業界にいる私の弟・幸夫(現在はバッグのキタムラの取締役)の軽い話題に付き合ったり、宮沢VS松本の重い議論に参加したりと自由奔放に行動していた。軽い話題でも重い話題でもなんでもこなせるのが成毛さんである。

ちなみに松本さんは、私か後で味見をしようと楽しみにしていた幻の日本酒の五合ビンを左手に独り占めにし、右手にコップを持ち、宮沢代議士との議論中にひとりで飲み干してしまった。それも二本も。この件に関してだけは、酒飲みの私はいまだに怒っている。

10時頃、成毛さん夫婦は「我が家のクー」(ゴールデンーレトリーバーである)をおおいに誉めたのち、帰路に着かれた。家内は、「いいご夫婦ねえ」と感心していた。ちなみに、家内は犬を誉めた人間を過大評価する傾向にあるが、そのぶんを差し引いても私も同感である(ちなみに私もクーを誉める人間を過大評価する傾向にある、らしい)。 11時をすぎて、最後から二番目のお客さんが帰った。そして真夜中の午前ー時。最後のお客さんが我が家を去っていった。幻の日本酒を飲み干した松本さんである。松本さんは、翌朝七時の飛行機で金沢へ出張だとおっしゃる。「あれだけ飲んで明朝起きられるのだろうか」と私は大いに不安であった。いっそのこと、タクシーに押しこんで「金沢まで」と言ってしまおうかと思った。どうせ私のカネじゃないんだし。 その後、マネックス証券広報のマキノさんに聞くと、翌日は定刻に羽田に現れ、ちゃんと仕事をこなしたそうである。再度、彼のバイタリティに驚いた次第である」