「原油市場への介入は為替介入と同じ結果しか期待できない」「長期債の購入はあまりに危険」他

2021年11月25日

1.「原油市場への介入は為替介入と同じ結果しか期待できない」

ファンダメンタルズに反した為替介入は効果が薄く、効果は一時的だ。それも特にドル売り介入は難しい。外貨準備のドルが尽きればお仕舞で未来永劫には出来ないことを市場に見透かされるからだ。石油の備蓄放出も同じ。相場の綾程度の影響しか与えない。

2.「日米ともに計画経済(社会主義国家)にますます傾倒」

日米ともに、量的緩和で長期金利を抑え込んできた経験に味を占めたのか、「原油価格も抑え込める」と誤解しているようだ。これから長期金利の大暴騰という相場操縦のしっぺ返しを受けようとしているのに。日米ともに市場に挑戦する社会主義国家に変貌したかのようだ。ソ連の崩壊を忘れたのだろうか?

3.「これほどわかりやすい為替相場は無い」

私がJPモルガン時代に儲けたのは、金利商品(金利スワップ、スワプション、JGB先物、先物オプション等)、次に株商品(株価先物、株価先物オプション)、そして最後が為替(先物取引、直物オプション)の順だ。(余計な話だが、全てデリバテイブでレバレージを限界まで膨らませた。素人には絶対おすすめしない。まず精神が足られる)。為替はファンダメンタルズが何かわからず、難しい。しかし、今ほど、簡単なときは珍しいと思っている。日米金利差拡大。日米の景気の差、原油高騰等による経常収支の悪化、すべて円安/ドル高要因だ。こういう時に過去のデータに基づくプログラム取引をしていると大負けする。入れてあるプログラムを総入れ替えしなくてはならない時だからだ。ちなみに、経常収支が赤字に転じると、経済学的には、「通貨安、長期金利の上昇、またはその両方」が起きる。

4.「長期債の購入はあまりに危険」

インフレが供給制約やエネルギーの高騰で長引いていると分析し、いずれ終わるからと長期債を購入していると、存亡にかかわる危機に陥ると私は思っている。何度も書くが、この世界的インフレは、日本のバブル時の狂乱経済と同じで資産効果によるもの。だから長く強烈な破壊力がある。長期金利は、けた外れに上がるだろう。ドルの購入はMMFの様な、短い期間の債券に限る。長期債は不可。利益が乗っているうちに短期債に買い替えたほうがいい。

 5.「『MMT論者』や『統合政府で財政大丈夫論者』はエルドアン・トルコ大統領にダブって見えてならない」。

トルコリラが年初からの4割下落し、10月のCPI上昇率は前年同月比で約20%。経済が混乱している。急激な通貨安は、エルドアン大統領が主導する金融緩和政策が主因。世界の中銀が金融引き締めにかじを切る一方、トルコ中銀は9回連続で利下げを決定し、主要政策金利を計4%引き下げたせいだ。日経新聞によると、エルドアン大統領が「『金利が下がればインフレ率が下がる』として、経済学の常識とは逆の主張を展開しており、野党から「エルドアン大統領自身が「国家安全保障の問題」だと非難されているそうだ。元副首相(経済担当)は、「エルドアン氏の『非科学的』な主張で『国家が重い代償を払わされている』と非難しているそうなのだ。私には「MMT論者」や「統合政府で財政大丈夫論者」がエルドアン大統領にダブって見えてならない。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR246EV0U1A121C2000000/

6.「日銀は銀行の銀行から貸金業者の銀行に」

昨日、SNS に日銀デジタル(直接型)では、国民全員が日銀に直接考査を持つ。と説明したら、以下の質問をいただいた。「国民が日銀に口座を持つ事になったら日銀は銀行の銀行じゃなくなりませんかね?」

私の回答は以下の通り。

「そうなると銀行は法律上、銀行ではなく貸金業者になります。銀行が無くなるのですから、確かに日銀は銀行の銀行ではなくなります。貸金業者の銀行に変わります。貸付け業務を日銀は行わないので、今の銀行が日銀デジタルを日銀から借りて行います」