「インフレ、一時的でない」「経済学者の仕事」「FRBのインフレ対応型へのシフトは、雇用統計では全く変わらない」他

2021年12月04日

1.「インフレ、一時的でない」

所詮、学者さんのマーケット予測ではあるが、正しいと思われる指摘部分も多い。「懸念しているのは6%のインフレが10%に上がることではなく、6%が長期的に続いてしまうことだ」「長期債を避け、株式と不動産などの実物資産を購入すべきだ。利回りが1%程度の10年債は確実に損だ」こんなところで、長期債を買う人の気がしれない。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78162550U1A201C2ENG000/

2.「経済学者の仕事」

JPモルガン勤務時代、当時世界で最大のタイガーファンドのオーナー、ジュリアン・ロバートソン氏が、私の支店長室を訪ねてきて、議論を始めた時、同行してきた著名経済学者が、将来の予想を語り始めた。途端に。ジュリアンが激怒した。「君らの仕事は過去を分析することだ。将来の予想は我々の仕事。私はフジマキの話を聞きに来た。邪魔するな」と。

 3.「FRBのインフレ対応型へのシフトは、雇用統計では全く変わらない」

昨日の雇用統計に関して、この日経新聞の分析は冷静で、ほぼ正しいだろう。米長期金利が下がっている(それにつれてドルが売られている)が、これも単なるデイトレーディング的な動きに過ぎない。失業率が4.2%というのは、私の長いディーリング経験の中でもかなり低い数字だ。失業している人が少ないのだから、雇用者を増やそうと思ってもそう簡単には人は見つからない。これだけ失業率が予想(4.6%)より低い(4.2%)のなら、(雇用が難しくなり)雇用者増が予想より減って当たり前だ。昨日の長期金利マーケットは、雇用者数が予想より少なかったことに過剰反応に過ぎないと思う。

ちなみに現役トレーダー時代から不思議に思っていたことがある。そもそもマーケットはどの統計数字事前に織り込んでいたとは思わない(私がリスクテーカー時代、私はもちろんのことヘッジファンドオーナーたちも、そういう統計予想など気にしていなかった。気にしたとしても発表当日だけだった)それなのに、予想より発表数字が大きかった、小さかったでマーケットが統計発表後に動くのが不思議だった。ファンタメンタルズと逆の動きなら、反対ポジションを作る好機と考えていた。

FRBのインフレ対応型へのシフトは、この数字では全く変わらないだろう。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02ARY0S1A201C2000000/

 4.「イールドカーブフラット化は将来のスタグフレーションを予想しているのか?」

 私は、世界的にスタグフレーションの気配が強くなりつつあると思っている、日本では特にそうだ。しかし、何人かの人が言うような「現状、米イールドカーブのフラット化が進んでいるのは、将来のスタグフレーションを予想しているからだ」というのは間違いだ。実務経験のない人の机上のたわごとにすぎない。もしマーケットが将来のスタグフレーションを予想しているのなら、例えば「10年1%、30年1.3%」ではなく、「10年6%、30年6.3%」となっているだろう。すなわち、10年も30年も激しく金利が上昇し、そのうえで10年と30年の金路差が縮小しているはずだ。今、イールドカーブが寝ているのは、インフレを予想していない人、情報収取に疎い個人投資家や収益にあまり関心のない国家とかが、金利が少しでも高い方がいいと思って超長期債を買っているに過ぎないのだろう。

5.「国会は日本政策金融公庫に関して監視じゃなくて督促」。

 昨日、日本政策金融公庫の巨大赤字に関し「ここまで大きな赤字を出した機関を国会は十分に監視をしているのか?たしか財政金融委員会で毎年報告をしていたはずだ」と書いたら、いろいろな反応があった。「不動産業者から審査が緩いから申請してみればと言われてました」「政策金融でメガバンクより審査が甘く、担保も十分とっていないと想像します」「異常な程の低利で融資してその他の銀行を民業圧迫しといてこの様だからね。税金を餌にゾンビを飼っちゃダメよ!」「昔から ここは 政治家のおもちゃでしたからね〜。資産内容など 建前の監査はあるけど 殆どノーチェック」「金利上昇過程でバタバタ。どうするんでしょう」

しかし、最も言い得て妙だったのは某識者/オピニオン・リーダー氏の「監視じゃなくて督促。与野党あげて」。確かに。言い得て妙、座布団3枚。

 6。「日本人の特性 同調圧力」

欧米型ムクドリ(↓)

欧米のムクドリ

日本型ムクドリ(↓)ムクドリ②