1.「ハト派寄りのブレイナード氏がインフレと闘う姿勢に転換」
パウエルの次期総裁対抗馬だったブレイナード理事が昨晩、米上院で証言した。
副総裁就任が決まっているブレイナード氏はFRB内で金融引き締めには慎重な「ハト派」と目されていただけにFEDがインフレに対してかなり気にし始めたことがわかる。私は急速なる金融正常化アクションを起こすと思っている、特に強烈な衝撃を与えるのは国債売りオペ開始の決断とその実施だろう。売りオペをしないとインフレの加速に間に合わないと思っている。米国がそのような事態になった時、日銀は完全にアウト。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-13/R5NQMBDWLU7001?srnd=cojp-v2
2.「売りオペが必要」
ブレイナード理事は昨晩FRBのバランスシートについて、年内の削減開始を見込んでいると証言した。 パウエル氏も11日の上院銀行委員会で「今年のある時点で自然減少させ始める」と発言した。満期が来た債券の再投資を今年中に辞めるのは、ほぼ既定路線になったと言える。あとの問題は売りオペをせずに、満期待ちという悠長な政策で、インフレを抑えこめるか?だ。何度も言うが、このインフレの主因は供給制約の問題では無く、日本のバブル期と同じ資産効果の結果だ。強烈な売りオペが必要になると思っている。その時、長期金利とドルは上っぱねるだろう。
3.「米国にはドル高が必要」
現在の米国のインフレは日本のバブル期と同じ現象だと思っている。資産インフレ(株・土地・絵画)による資産効果で生じたインフレで、たいへん強烈なものだ。ただ日本のバブル時には3年間で130円という強烈な円高という強烈なデフレ要因が共存したおかげで、経済は狂乱したが、資産インフレがインフレへとは結びつかなかった。米国がこの強烈なインフレを抑えるには、強烈な金融引き締めとドル高政策が必要になる。自国通貨高は強力なインフレ抑制策である。
4「インフレが社会問題化しつつある」
ブレイナード理事の米上院での「全国の勤労者世帯からインフレに関する声が上がっていることを、しっかり認識している」との発言からは米国ではインフレが社会問題化していることが読み取れる。米国の友人からは不満満載の滅メールが来る。こんな時に、FRBが史上最大の金融緩和を継続できるわけがない(注・史上最大の金融緩和のピークは今年3月のテーパリングの完了時。そこからどこかの時点で引き締めが開始される)・現在は、史上とんでもない規模の金融緩和状態、という点を頭に入れておかねばならない。正常に戻るのは強烈で急速な引き締めが必要になるだろう。長期債を買う人の気が知れない。
5,「日銀は超メタボ」
今年中に縮小を始めるFRB のバランスシートの規模は8兆7700億ドル(約1000兆円)。日銀のバランスシート規模は約730兆円だから、FRBの方が多少大きい。しか~し、米国の名目GDPは約2600兆円。日本は約550兆円。両行の負債はほぼばらまいているお金だから、いかに日銀が経済規模に対してお金をばらまいているかがわかる。日銀は超メタボだ。FRBは日銀に比べれば、断然スマートなのに今年中に減量を始める。超メタボの日銀は減量などとんでもない話だ。減量を始めると長期金利が跳ね上がって日銀は債務超過、政府も支払い金利が急増して予算など組めなくなる。私が日銀を廃し、新しい中央銀行を創設しなければならないと言っている理由だ。平時に財政再建を軽視し、お金をばらまいてきたツケだ。そのばらまかれたお金は。国民が一所懸命働いて貯めた預金を巻き込んで紙くずとなってしまう。
6.「ハワイ絶好調」
12月にクルーのオミクロン株感染で航空機3000機が欠航などというニュースを日本で聞いていると、さぞオミクロン株で米国経済がやられているだろうという印象を持つかもしれない。ホテルなど壊滅的だろうと思ってしまうかも。しかし、欧米は日本とは真逆の「With コロナ」政策だ。少なくともハワイのホテルは絶好調もいいところ。私が観測している30年間では最高の活況ぶりだ。経済が下振れしインフレが収まる気配は、今のところ何もない。