1,「Xデイへの備えの質問に回答」
本日、渡辺美樹の「5年後の夢を語ろう」(16;20~)(日本放送ラジオ:AM1242,FM93)に電話出演いたします。Xデイへの備えについての視聴者からの質問に答えています。ライブで聞きそこなった方はラジコでいかかでしょうか?
2,「庶民にとっていいインフレなんてめったにない。でも借金王の政府にとっては何時もいいインフレ」
最近、マスコミや識者が「悪いインフレ」という言葉をよく使う。物価上昇寮に賃金上昇が追い付かないからだそうだ。しかし「インフレ」という言葉を世間・庶民が気にするときとは、いつも物価上昇率>賃金上昇率(≒経済成長率)じゃないの?だから日銀が利上げして加速を抑えようとする。物価上昇率<賃金上昇率なら国民は幸せで、中央銀行はインフレを抑える必要はない。
ただし、国を筆頭に借金をしている人にとっては、インフレは、いつも「いいインフレ」。借金が実質的に軽減するからだ。意図的に異次元緩和(=財政ファイナンス)を始めた段階で日銀はインフレを抑え込まないと宣言しているようなもの。(インフレを抑える手段を放棄したことを日銀自身が知っているはず)。インフレ(特にハイパーインフレ)は国民の非難なしに究極の財政再建が出来る政治家にとって最高の手法(イ=ンフレが収まらないのだからしょうがないと政府は逃げられる)、大増税より、よほどに国民から非難を受けない。MMT論者や財政積極派は(知ってか知らずか)国民を苦しませるインフレ加速に加担している人たち。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA212610R20C22A1000000/
3.「池田信夫先生の反論に対する反論①」
「外銀が日銀当座預金を閉鎖したら日銀はアウト」と書いたら、昨日、池田信夫先生から以下のような反論をいただいた。「日銀は会計上は債務超過にならないし、計算上そうなっても日銀当座預金に影響はありません。それを引き出す一般預金者がいないからです。したがって外銀も邦銀も、日銀のBSがどうなっても、取引停止することはありえない。日銀の異常な量的緩和は危険ですが、それは市中銀行(預金受入金融機関)のリスクであって、日銀のリスクではありません」
私の回答は以下の通り。
「確かに日銀が債務超過になった時でも、邦銀は日銀当座預金を閉鎖しないでしょう。その点は池田先生の指摘は当たっています。銀行間の資金決済は最終尻ですべて日銀当座預金を通して行われます(例:約束手形のブツの決済は手形交換所で行われても資金決済は日銀当座預金を通じて行われる)。したがって邦銀にとって、日銀当座預金を閉鎖するとは銀行業務を停止する=廃業を意味するからです。
しかし、それは外資系金融機関には当てはまりません。その国のビジネスが出来なくなるだけです。大損失を覚悟してまで、日本でビジネスを継続する義務も必要もありません。もし外資系金融機関が日銀当座預金を閉鎖したら、日本はドルを“新たに”得る方法を失います。今後、使えるドルは、すでに日本人の手の中にあるドルだけとなります。世界の基軸通貨ドルを得る手段を失った円など世界中の人は見向きもしません。円の暴落(=ハイパーイン振れ)です。それを解消し、外国勢が日本に再度目を向けさせるため(日本の通貨が世界で通用するようになる=ハイパーインフレを鎮静化させる)の手法が日銀を廃し財務内容の健全な新中央銀行を創設することなどです。私はわかりやすくするため、「日銀倒産」という言葉を使っていますが、正確に言えば、「日銀解散」そして「新中央銀行創設」が正しいでしょう。なお、日銀法には「日銀が解散する」際の定めが書いてあります。先人/法律家は、こういう事態も想定しているのでしょうね。感心します。
4,「なぜ外資が撤退すると日本は新たに基軸通貨ドルを取得できないか?」
邦銀が米銀からドルを買ったとします。邦銀の「ドル買い・円売り」です。米銀は売却したドルを「FRB にある米銀のFRB当座預金口座」から「FRBにある邦銀のFRB 当座預金口座」に振り替えるようFRB に依頼します。
一方、代わり金の円の方ですが、邦銀は、売却した円を「日銀 にある邦銀の日銀当座預金口座」から「日銀にある米銀の日銀当座預金口座」に振り替えるよう日銀 に依頼しようとします。しか~し、あれ、米銀の当座預金口座が閉鎖されて日銀内にないではないか?ということになります。米銀は円を受け取る手段を持っていないのです。円を受け取る手段が無いのに邦銀にドルを売ることなどしないのです。
5.「外銀は大損のリスクを取ってまで日本に残るか?」
外銀が大損のリスクを取ってまで日本に残る(=日銀当座預金口座を持ち続ける)などということはあり得ません。彼らは株主のために働いているのであって、日本人のための福祉機関ではないからです。私が邦銀から外資に移って、まず驚いたことは、邦銀ではG7の国や中央銀行とは青天井で取引が出来たのですが、米銀は国も中央銀行も倒産するという前提で取引枠を設けていたことでした。中央銀行との取引枠とは日銀当座預金残高の上限です。
JPモルガン転職直後、本店審査部が短資業者の取引(有担保取引)はリスクが高いので、廃止すると通告してきたことさえあります。無担保取引もなく、まだデリバテイブ取引で飯を食う時代以前の話で、短資業者との取引を中止させられたら日本でのビジネスはなりたちません。本店審査部の通告は、日本からの撤退を意味したのです。外資は危険だと思ったらすぐ日銀当座預金を占めて、撤退するのです。終身雇用制真っ盛りの時に転職した私は、JPモルガンが日本から撤退したら家族が路頭に迷ってしまいます。そこで必死で本店審査部に短資業者のリスクは極めて低いことを説得したことを思い出します。
6,「外資は日本に執着するほど、儲かっていない」
もし外資系金融機関が日本で大儲けをしているのなら、かなりのリスクを取る可能性もあります。しかし1997年の外資系金融機関の収益を見てください。
1990年代は、JPモルガンだけがコンスタントに大きく儲け(1997年が平均レベル)後の外資は儲かる年もあれば損する年もあるという程度でした。JPモルガンが大きく儲け、他の2行がかろうじて儲け、後の外銀は全て赤字という年もあったと記憶しています。
そのJPモルガンの利益も、毎年、120%が私個人のディーリングの利益でしたから、私が米国に転勤すれば別に日本の拠点を構える必要などなかったのです。
今日ではモルガンスタンレーと三菱の合弁会社であるモルガンスタンレーUFJ証券が一番儲かっている外資(?)だと聞きますが、それでも大した利益ではありません。(最近の数字は知りません)。以下は2012年の数字です。(注:モルガンスタンレーは私の勤めていたJPOモルガンとは違います。ついでに自慢しますと2012年度のモルガンスタンレーUFJ証券の346億円という利益は4740人で稼いだ利益。1997年のJPモルガンの232億円(この利益が平均値くらいか)という利益は、私1人が稼いだものからJPモルガン東京の全体のコストを引いたものです)
外資はこの程度しか日本でもうかっていないのです。リスクがあると判断すればすぐ日誤飲当座預金を閉鎖して日本にさよならです。それで日本は新しいドルを得る手段を失います。そして日銀が廃され財務内容が健全な新しい中央銀行が出来て信用ある通貨が流通するようになったら、又、日本に進出してくるのだろうと思います。