1 「40年ぶりのインフレ」
39年ぶりのインフレなのだから40年前の金利状況になってもおかしくないと思っている。インフレが危機的状況になった41年前の1980年には短期のFEDレートは(確か)24% 10年物金利は(確か)20%まで上昇した。物価のスパイラル的上昇を防止するためにボルカーFRB議長の「サタデー・ナイト・スペシャル」の結果だ。「今回は違う。経済環境が変わった」はマーケットの常套句。そしていつも「やはり今回も同じだった」である。FRB も前例として研究しているだろう。
2.「逆イールドカーブは出現するか?」
逆イールドカーブを予想する人がいる。私もいずれ出現すると思っている。しかし短期金利が現状より上昇し、長期金利が現状より低下して出現するわけでは全くない。1980年と同様の金利環境においてだ。短期金利が10%、長期金利が9%に上昇しての逆イールドカーブだ。
1980年はボルカー議長のインフレ抑制策で、短期のFEDレート24%。10年物金利20%という逆イールドカーブが出現した。このインフレ下で、1.8%というささやかな利回りのために莫大なるリスクを負う長期債を買う人の気が知れない。
3. 「逆イールドカーブは出現するか?」
「財政ファイナンスは禁じ手中の禁じ手」は金融マンや正統派金融論の常識中の常識だった。歴史が証明してもいる。それを黒田日銀・安倍政権は素人の「今回は大丈夫」「統合政府で考えれば大丈夫」(それをいまだ講演で公言する元首相もいる)「MMT」など正統派金融論では言下に否定されるトンデモ理論を取り入れ実行した。「なぜ今回は大丈夫なのか?」「出口はどうするのか?」の議論なしに、だ。やっぱり何も変わっていなかった。金融マンや正統派金融論の常識中の常識だった「財政ファイナンスは禁じ手中の禁じ手」は今回もそうだったと実証されつつある。
4、「ウクライナはテールリスクかもしれないが要注意」
私は国債政治は専門出でいからわからないが、マーケットのテールリスクはロシアのウクライナ進行による米ロのぶつかり合いであることだけは頭に入れておきたい。原油価格はぶっ飛び、ロシア経済は疲弊し、1998年のロシア危機の再燃となろう。世界は規模しいスタグフレーション(不況下のインフレ)のリスク。ロシア以外のエネルギー産出国の繁栄と消費国の衰退。
5,「痛みの先送りの結果は財政ファイナンスとインフレ」
本日の日経新聞 西村編集委員の記事。「(ワシントン・コンセンサスからブエノスアイレス・コンセンサスへとは)健全財政や中銀の独立を重視する姿勢を、痛みの先送りへと急旋回させた世相を皮肉る言葉だ。未曽有の拡張財政と足並みを合わせた主要中銀の巨額国債購入もその一環だとの見方は少なくない。終着点は財政ファイナンスとインフレだ。中銀の独立は究極的にはこれを防ぐ知恵だと言える」世界の中央銀行とは段違いの大規模財政ファイナンスを行っている日本の終着点はハイパーインフレだろうが、日銀の終着点は?新中央銀行とのとっかえだろう。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD161WH0W2A110C2000000/
6.「エ、エ?ガソリンに助成金?」
政府はガソリン価格上昇を抑えるため、石油元売り会社に補助金を出すそうだ。
価格が変動するものに対して、高騰したからと言って、政府がいちいち補助金を出していたら、税金はうなぎのぼりだ。もしくは借金額はうなぎ登りだ。
原料代高騰をヘッジするために保険、先物、オプションなどがある。それを使わずに(=自助努力をせずに)価格上昇を抑えられない企業なら退場すべきだ。それが資本主義だ。もちろんその企業の退場によって生活に困る従業員(注:企業に、ではない )にはセーフティーネットで助ける。
原油の値上げ分を吸収できない企業は消費者に価格転嫁をするのが筋だ。そのうえでの生存競争だ。
原油の高騰分は、原油を使う割合に応じて負担するのが筋で、原油を使う人も使わない人も平等に負担するものではない。(前提としてここまで借金が大きくなると財金を多額に集められるのは消費増税か課税最低限の引き下げ(or所得税の定率部分の大幅上げ)。他の税金では十分な税金が集まらない。
7.「MMT 論者は、なぜトンガ王国に財政出動を提言しないの?」
海中火山の爆発で壊滅的な被害を受けたトンガ王国に対し、MMT 論者は、なぜ、トンガ中央銀行が紙幣を刷って、そのお金でトンガ王国が大規模財政出動をすればいい」と主張しないのだろうか?不思議だな~(嫌味)