1.「緩和引き揚げ」
昨日、ブルムバーグ日本語版を読んでいたら「緩和引き揚げ」という言葉遣いを見つけた。いい言葉遣いだ、日本のマスコミが使っている「緩和引き締め」は誤解を与える。現在は歴史的な超超超緩和でこれから始まるのは超超緩和へのシフトにすぎない。「引き締め」ではなく「引き揚げ」が語感的に正しい。
2.「ロシア国債、信用力悪化」
米国ではウクライナ情勢を反映して、米政府が、米金融機関が「ロシア国債を借り換えするのを制約する」案が取り沙汰されているそうだ。ロシア国債の利廻りが、確か80%くらいまで上昇した1980年のロシア危機を連想させる。MMT 論は、いつまでも国債を発行できるというが、この例のように、何かの理由で満期国債の償却原資用に発行される国債(=借換債)を買う投資家がいなくなると政府にはデフォルトリスクが生じる。ロシアのCDSレートが上昇している理由の一つ。借換債を買うのは義務ではない。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79762800R00C22A2ENG000/
3.「外国決済機能からの排除=外資の日銀当座預金の閉鎖」
日経新聞によると、ロシアの金融機関を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除する案があるそうだ。そうなるとロシアはドルやユーロでの決済が難しくなり海外送金ができなくなる。たちまち経済は危機的状態になるだろう。日銀が債務超過になり、外銀が日銀当座預金から撤退すれば、このSWIFTからの排除と同じような効果。
4.「[FT]世界経済、いばらの回復 引き締めで浮上するリスク」
昨日の日経聞に載っていたファイナンシャルタイムズの著名チーフ・エコノミクス・コメンテーター・Martin Wolf氏の論考。Wolf氏いわく、「また、IMFは高インフレについては依然、一時的なものだと判断している。IMF自身、および大半の経済専門家が、以前の予測と比べてインフレが深刻化、長期化するといっているにもかかわらずだ」。「MFは昨年10月の『国際金融安定性報告書』で金融市場における「行き過ぎた資産価格の高騰」を指摘した。金融引き締めが予想より速いペースで、かつ高水準になることが予想されるなか、近いうちに金融リスクの所在が明確にわかるようになるだろう」(以上、Martin Wolf氏)私が「The international Economy 誌」で指摘し続けてきたように、米国のインフレが、日本のバブルと同じ資産インフレで生じたものならば、FEDは当時の日銀同様。引き締めがかなり遅れており、深刻な引き締めが必要になると思っている。その際のドル金利上昇、ドル円の上昇は半端なものではなく、引き締め策をすでに失っている日銀が生き延びるすべはない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB317JP0R30C22A1000000/
5.「一億総貧困化」
昨日の日経新聞「大樹小機」。「600兆円への道のりは遠く、世界に占める日本のGDPシェアは30年前の18%から6%程度に低下した。豊かさの指標ともされる1人当たりGDPは直近で世界24位にまで後退し、アジアでもシンガポールや香港の後じんを拝している。経済協力開発機構(OECD)によれば平均賃金も30年にわたり低迷し、先進国で最低レベルとされる。一億総活躍どころか一億総貧困化だ」。「一億総貧困化に歯止めをかけられるか、新しい資本主義が問われている」世界最大のバラマキをして(=世界最悪の財務状態)の結果がこれだ。政府主導ではなく、民間主導経済が必要不可欠。ちなみにこの論考の筆者は私ではない。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79761520R00C22A2EN8000/