「LNGを欧州に融通出来ないか、との打診」「パラダイムシフトの認識が重要」「取り残される日銀」他

2022年02月04日

1.「LNGを欧州に融通出来ないか、との打診」

石油原油先物WTI がついに90ドルを超えてきた。さらには、今、7時のNHK ニュースで「米国が日本政府に欧州にLNGを回せないか?」と打診してきたとやっていた。これではエネルギー値段は世界的にさらにかなり上昇するだろう。

特にロシアがウクライナに侵攻でもすればなおさらに。(テールリスクだとは思うが)

燃料問題だけでも、かなりのインフレ要因だ。日本のバブルと同様の資産効果によるインフレに加え、燃料によるインフレ、さらには米国には(日本のバブル時のように自国通貨急騰という)デフレ要因が無いうえ、FRB の引き締めが遅れているから、今回の米国のインフレはすさまじいものになる、と私は思っている。

ドル高/円安を通じ日本も最終的ンはかなりのインフレになるだろう。そうなると他国中央銀行と違い、引き締め策の無い日銀は延命できない。円は紙くず化。

 

2「取り残される日銀」

昨日はBOEが追加利上げに踏み切り、ECBも年内利上げを排除しない姿勢を示した。FRB は緩和引き揚げ売るかの段階からそのぺ-スの議論に移っている。いつも通り、取り残されるのは日銀。遠くないうちに、円安ドル高を通じて日本にもインフレが波及してくると思うが、引き締め手段を持たない日銀はどうするのか?指をくわえて見ているだけなのか?あと何年、はたまたあと何か月、日銀は生き延びられるのだろうか?

私の考えを、過激だという人は多い。しかし「財政赤字は再建が必要」「財政ファイナンス(政府の借金を政府が紙幣を刷ることによってファイナンスする)は禁じ手中の禁じ手」は少し前の金融マンなら常識中の常識で正統派金融論の根幹中の根幹だ。それ等の大原則を日本は大きく破った。素人政府アドバイザーや無知な積極財政論者や国会議員の罪は大きい。その結果、日本は、世界で断トツの財政赤字、世界でダントツのお金のバラマキ国家(=日銀のバランスシートが対GDP比上、世界1メタボ)となった。正統派金融論を過激に破たから、そのツケが中央銀行のとっかえ、円の紙くず化(=ハイパーインフレ)と過激になるのも当然だと私は思うのだが。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR03FBS0T00C22A2000000/

 

3.「パラダイムシフトの認識が重要」

何度も書くが、この時に至っては、デイトレーダー的発想は捨てるべきだ。長年続いた「お金のバラマキ時代」から「過剰資金の吸収時代」に入る。パラダイムシフトをきちんと認識しなければならない。長期債を持つのも円のみで資産を持つのも最悪だ。ばらまきすぎたお金の回収は一朝一夕ではいかないから、法定通貨の価値はしばらく落ちた(=インフレ)ままだろう。発行量の上限のあるビットコインは分散投資の一つとして望ましいとあいかわらず思っている。

 

4.「朝日新聞原編集委員への質問封じ」

おととい、朝日新聞原真人記者の書いた「多事奏論」いわく「先月開かれた定例会見で黒田東彦総裁は14人の記者の質問に答えた後、最後にひとり挙手する私だけ指名せず会場をあとにした。会見の司会は記者会側が務めるが質問者を指名する裁量は総裁にある。 私が質問の機会を奪われたのはこれが初めてではない。以前から私を含め、異次元金融緩和について厳しい質問をぶつけたり批判的な記事を書いたりする何人かの記者が指名されないことがたびたびあった」 その質問封じが しばらく影をひそめていたのだが 出口戦略の無策に懸念が高まるなかで、2年ぶりに復活したそうなのだ。 黒田総裁 が窮地に追いやられている証左かも。 それにしても私が落選した時 周りの人から「一番喜んでいるのは(政治が大嫌いな)フジマキさんの奥さんと 黒田総裁でしょうね」とよく言われたものだが、 現在、黒田さんが 一番嫌う相手は、朝日新聞原真人編集委員なのかもしれない。

https://www.asahi.com/articles/ASQ2165Y7Q1WULZU007.html?iref=pc_ss_date_article

 

5.「預金が増えても負債も増える」

MMTerの教祖と言われるという(本当かどうかは知らないが)池戸万作とかいう人から「政府の通貨発行量が増えて、国民の預金が増えた、非常に良いことです。国民の預金額が増えることは非常に良いことです。国民の預金が無くなると殺伐した世の中となります」とのリツイートが来た。

私の回答は以下の通り。「国会議員でも『国が国債を発行すると国民の預金(金融資産が)が増える。素晴らしいことだ』とか『国債を減らすと世の中からお金が消える。国民が貧乏になる』という人がいる。情けないことだ。国債は税金で返さねばならない。これは常識。要は国債が発行されれば、それは「国民には増税が待っている」ということ。「国債が増えて国民の預金が増える」のは確かだが、同時に「国民の負債(将来の増税)も増えるということ。貴兄は、銀行から借金して預金が増えるのを無条件にいいことだというのか?自己破綻のリスクも増えるし、増えた預金の受け取り利子よりも借金の支払利子の方が大きければ、家計は一層苦しくなる」

 

6.「国債は税金での返済は常識」

こんな常識をここに書かねばならないこと自体、情けない話なのだが、国債は税金で返済しなければならない。日銀が異次元緩和を開始する前、「日本は財政破綻する」と債券先物を売ったヘッジファンがいた。その時の反対論は「日本御消費税はまだ欧米に比べてかなり低い。消費税を大幅に引き上げられるから大丈夫だ」だった。私は日本の消費税引き上げは政治的に難しいから、財政はtランすると思っていたが、黒田日銀総裁は、驚愕の財政ファイナンスを始めてしまった。危機の先延ばしだ。もう先延ばしも限界にきたようだ。先延ばしの結果、衝撃はものすごいものになった。