「日銀の保有国債に評価損が生じることは、世界に向けての『出口なし宣言』「日銀指値オペで、日銀は長期金利上昇を抑えられるか?」「『あとは野となれ、山となれ政策』だった異次元緩和」他

2022年02月09日

1「日銀の保有国債に評価損が生じることは、世界に向けての『出口なし宣言』」

昨晩も米国10年物金利は0.965%に上昇。それにつられて日本国は0.21%に上昇。昨日のサキシルに書いたように日銀の保有している長期国債の平均利回りは令和3年度上期で0.226%に過ぎない。評価損が出るか出ないかのギリギリのところまで追い詰められた。こんなひどい状態の中央銀行は世界でも他にない。インフレが急加速していくと中央銀行は「利上げ」と「保有国債の市中売却」(今行っているオペレーションと逆)を行わねばならない。評価損の出ている国債を日銀が市中売却すると巨額の実現損が生じる。それは世界中に財務の脆弱性を告白することで、円の暴落につながる。

要は、債券の評価損の発生とは、「ジャブジャブなお金の回収手段の重大な一手段を失った」ことの宣言であり、インフレ加速時の「機能不全」宣言である。(満期債を借り換えなければ、ばらまいた資金の回収は出来るが、10年債なら10年後となる。それは、なんとも悠長な引き締めにすぎず緊急の引き締めは出来なということ)

https://sakisiru.jp/20545

 

2.「日銀指値オペで、日銀は長期金利上昇を抑えられるか?」

マーケットとは政府がコントロール出来るほど甘いものではない。政府・中央銀行が完璧にコントロール出来るのは伝統的金融政策下での短期金利だけである(異次元緩和をした以上、これも難しい)先に述べたように日銀は保有国債の評価損を絶対に出したくない。しかし、世界の中央銀行が金融引き締めをしている中、債券買い切りオペという金融緩和策を加速させたら、円は海外金利との差拡大でたちどころに売られ、日本も急速なインフレレ時代を迎える。長期金利の抑制など不可能だ。1,2度は成功するかもしれないが、その後は市場に見透かされるのは為替介入と同じ。債券保有者が日銀に国債を売りつけて逃げる最後の機会を与えるだけ。結局、日銀は円長期金利の上昇を抑えきれず座して死を待つことになる。早く新中央銀行設立の準備を始めなければならない。中央銀行は社会に不可欠な存在だから中央銀行不在の空白期をごく短くしなければならない。

 

3.「『あとは野となれ、山となれ政策』だった異次元緩和」

世界中が「金融緩和の引き揚げ」を考えている今になっても、出口戦略を話さない日銀はあまりに無責任。無いのだからしゃべりようがないという事情は、よくわかるが、異次元緩和開始当初から無いことは専門家ならわかっていたはず「あとは野となれ山となれ」政策だったことを認めるべし。

 

4.「ドルを買うならドルのMMF」

ブルムバーグによると米利上げ前の「安全な逃避先」として超短期デュレーションETFに資金が殺到しているそうだ。浅学にして超短期デュレーションETFとは、何ぞや、かは知らないが、ロジックは、私がドルMMF を進めているのと同じ理由だろう。何度も言うが、今、長期債を買う人の気が知れない。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-02-08/R6YJKUT1UM0Y01?srnd=cojp-v2

 

5,「コロナの症状は花粉症と同じ」

先日、ニュースで「コロナの症状は花粉症と同じで、間違うことがあるので注意」とやっていた。「鼻水、くしゃみ、倦怠感」だそうだ。私など、この20年間、花粉症の時期になると、ずっと「鼻水、くしゃみ、倦怠感」だ(いい薬が見つかって軽度になってはきたが)。これで国民的大騒動?というのが私の感想。私は、老い先短いのだから、自粛で家にこもるのはごめん被る、とのスタンス。人生楽しまなければ。西洋のwithコロナ精神と同じ。ブースター接種も終わったし、好きなクラシックコンサート、歌舞伎、落語、テニス、旅行(外国人のいない静かな日本は今のうち)は以前と変わらぬペースでエンジョイしている。もっとも家族以外の外食は激変したのはしょうがない。経済を殺してはいけない。

日銀が危機に陥った時に、実体経済まで死んでいたら、悲惨としか言いようもない。