1「ドル/円がう上っぱねる」と思っている理由」
長いディーラー人生でも、これほど確実に「日米金利差が今後、拡大する」と確信できるときは無かった。米国は史上最大級のインフレに直面している。史上最大級のインフレと史上最大規模の金融緩和は両立しない。金利を今後大きく引き上げよう。一方の日本は金利を引き上げれば、日銀が債務超過になるから金利を引き上げられない。今年5~7回の米国金利上昇が予想されるが、そのたびにドルの先物買いが入る。先物買いは取引の仕組みとして直物買いを伴う。この取引は取引の性格上、日米金利差拡大予想を事前に織り込むことは無い。それゆえに金利差が開くたびに強烈なドル買いが入る。だからドル/円が上っぱねる。ドル/円が上っぱねれば、日本でもインフレが加速する。日銀が窮地に陥り、その発行する円はThe ENDとなる。日本のXデイに備えるドルという保険の途中解約は良くない。私が「酒食らって寝ていろ」という理由。
2.「金利差拡大予想は今のマーケットに織り込まれていないという理由」
金利差が拡大すれば、我々プロの勝負師たちはドルの先物を買う。(先日書いたようにキャリートレードを行っている人はFX をしているMs.Watanabe と財務省のドル買い介入くらいに過ぎない)ドルの先物買いはキャリートレードと同じで日米金利差拡大に起因する投資行動(もちろん、実需のドル先物買いもある)だが、レバレージがものすごく効く。
契約は今日するが、円とドルとの実際の交換は(例えば)1年後だから、今、ドルを買うべき円がいらない。だからプロが好み、額は巨大になる。
先物の取引は2つに分解される。「ドルの直物買い」と「直先の開き」の2つの取引だ。だからこの取引に伴うドルの直物買いが強烈に増える。この取引は日米金利差が実際に開いてから、より魅力的になる取引だ。今後、何度も米国の利上げが予想されているが、そのたびに先物ドル買いは、より魅力的になる。これは、事前に市場に読み込まれるという性質の取引ではない。実際に金利差が開いた後でないと直先が開かない(=先物のドル買いが魅力的にならない)からだ。
3「なぜ米株を推薦しなかったのだとの非難」
昨晩、以下のリツイートが私のTwitter に来ていた。「藤巻先生の言うことを信じて本来一時的な資金の待機場所である MMF をずっと抱えていた人達は、米国株の上昇相場に乗れず莫大な機会損失を被りました。そこは率直に認めていただかないと今後も被害が拡大しかねません」。
私の回答は以下の通り。
「何をガキみたいなことをおっしゃる?私はあなたから一銭も助言料をいただいていません。それなのに、なぜ機会損失(=もうけそこない)を謝らなければならないのか?確かに私は20年前GAFA の株を買えと推薦しませんでしたよ。でもなぜ見も知らないあなたから謝罪を要求されなければいけないのか?私はTMV をお勧めしていましたが、年初以来40%近く上昇しています。あなた買いました?かなり前からビットコインを 中心とする暗号資産を推薦し、いまでは10倍になっていますが、あなたあの時、すぐに買いました?20数年前から、しばらくの間、私はずっと「強い国のリスク資産を買うのが金持ちになる手段」と公言し、米国株と米国不動産を強く勧めていましたよ。今、34,700ドルのNYダウが6000ドルくらいの時ですが、あなたその時、買いました?
投資は自己責任。信頼する人の発言を聞いても、最後はタイミングを含め、自己判断でやるものです。おんぶにだっこで、もうけそこなったことを人のせいにするような人は、ママの言うとおりにするか、MMT教祖様の言うように円を信じ円の現金で持っていればいいのです。投資をする資格はありません」。
4.「なぜ米株を推薦しなかった?その②」
今の私の投資スタンスは「日本のX デイに備えて財産を守ること」であり、儲けることではありません。円だけしか持っていなければ、円が紙くず化した時、とんでもない貧困に陥ります。それを回避する保険目的の資産運用を考えています。ですから基本ドル資産であれば何でもいいのです。(もっとも長期債はお勧めしません。損することがわかっているのに、今金利が多少高いからといって買うのは愚行です) 円貨で1だった商品がX デイ後に 1万倍になろうが1万500倍になろうが、大した差ではないのです。