1「強いドル」
金曜日に1ドル=121円13銭まで下押ししたものの急速に回復、NYクローズには122.15円レベルで戻った。ドルの強さの表れ。Weak long やデイトレーディングの$longは振り落とされ、少々のことでは,たじろかない$longが残っていく。米国長期金利が上昇したせいだろうが、米長期金利はまだまだ上昇するだろう。逆イールドカーブの到来を予想する人もいる、たしかに到来する可能性はある。しかし、長期債が買われての逆イールドではない。1979年~80年のボルカーのサタデイナイト・スペシャルのようなFF レートは24%、10年もの金利20%のような、すべての期間の金利が上方シフトしての逆イールドだろう。ドル金利はますます上昇する一方、金利を上げられない日銀。
またWTI 先物(原油価格)も3月8日に1バレル123.70を付けた後、16日には95$まで下落したが、先週金曜日には112.58ドルまで再度上昇してきた。日本の経常赤字の常態化は確かなものになっていくだろう。ドル/円の上昇は、まだ始まったばかりだと思っている。
2「明日の朝10時10分は、日本の運命を決めるか?」
ちょっと大げさな表現だとは思うが、「明日の朝10時10分は、日本の運命を決めるかもしれない。日銀が「指値オペ」をするか否かが大注目だ。
金曜日の米長期金利上昇に伴って、朝は日本国債の金利も上昇して始まるだろう。日銀の保有国債が評価損になるかの分岐点に到来だ。ここで指値オペをおこない、長期金利の上昇を抑える姿勢を示せば「日銀は金利を上げません」との宣言を世界に高らかに発することになる。ドル/円暴騰の引き金になる可能性がある。瞬時に暴騰しなくてもドル高/円安は明白と世界中が認識するだろうから、長く力強いドル高/円安時代が始まる。日本の物価上昇は確かなものになり、加速していくだろう。
一方、指値オペをしなければ、円長期金利は上昇を続け日銀は評価損発生となる。いくら、日銀は償却原価法を採用しているから損は出ませんと言っても、3月末の評価損益は5月末に発表する決算書で公表しなければならない。大問題だ。日銀の存亡にかかわる、(日銀にとって)運の悪いことに評価損益を公表せねばならない3月末が迫っている。黒田総裁は心配で、心配で、夜も寝られないのではないだろうか?
3「米国の住宅市場はクレージ―」
昨日のマネックスグループの講演会でも言及させていただいたが、今の米国は土地と株の急騰によって経済が狂乱した日本のバブルに類似している。類似していることを説明するいい記事が金曜の日経新聞夕刊に出ていた。「FRBのウォラー理事は24日、住宅市場について講演し、『ここワシントンで家を買おうとしているのでわかるが、市場はクレージーだ』と語った。理事が自分で家を買おうとしているからこそ強く理解できるのだ。日本のバブル時より悪いことに、日本は当時、円急騰という強烈なデフレ要因のおかげで狂乱経済にもかかわらずCPI は低位安定した。ところが今の米国にはドル高というデフレ要因が存在しない。私が「FRBが引き締めが遅れており、サタデイナイト・スペシャルの再来の可能性もある」と言っている理由。そうなれば、米国は厳しいスタグフレーションに陥るだろうが、日本はいちころで、円は紙くず、ハイパーインフレもいいところだ。ちなみに為替とは相対論。どちらの通貨がより弱くなるかだ。ドルより円の方が数万倍も弱くなる。したがってドル/円は天文学的な数字の可能性がある。平時に放漫財政を無視し、莫大な借金を放置し、それから生じる危機を財政ファイナンスで先送りした人災。歴史に学ばなかったツケ。この期に至っても、年金者に5000円を配れとかのバラマキを主張する選挙しか頭にない政治家の気が知れない。危機意識も無ければ、な~んにもわかっていない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN24CRF0U2A320C2000000/
4「サタデイナイト・スペシャルを懸念する米国の市場関係者は多い」
金曜日の日経新聞夕刊を読んでいたら、サタデイナイト・スペシャルを懸念しているのは私とサマーズ氏だけではなさそうだ。米国の市場関係者には多いとのこと。「米資産運用会社グッゲンハイム・パートナーズの最高投資責任者(CIO)、スコット・マイナード氏もその一人だ。同氏は高インフレとボルカー元FRB議長による大胆な利上げで景気後退を招いた1970年代から80年代にかけた状況と同様な事態に陥ることを懸念する市場関係者が多いと指摘する」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59380660V20C22A3ENI000/
5「40年ぶりの高インフレと史上最高の金融緩和は両立しない」
40年ぶりの高インフレと史上最高の金融緩和は両立しない。しかも今現在は最大限の緩和状況である。FRBは完璧に引き締めが遅れている。テーパリングを「量的緩和の縮小」と訳す誤訳にごまかされてはいけない。テーパリング終了とは、量的緩和の縮小が終了したのではない。これ以上に世の中にお金をばらまかない、というだけの話だ。政策金利は先日、やっと0.25%上げたが、3月から5月までは世の中にお金が最大限ばらまかれたままの状態だ。山登りで言えば、テーパリング(山頂に近づくにつれ、空気が薄くなり速度を少しずつ落としていく)で3月に頂上登頂。5月からゆっくり下山開始。下山を開始すれば景色は様変わり。米長期金利は急騰し、ドル/円は急騰。
6.「MMT=現代軍票理論」
昨晩、私のtwitterに以下のリツイートをいただいた「MMT=現代軍票理論と呼べば良さそうですね」
私の回答は以下の通り
「言い得て妙ですね。MMT=Modern MILITARY CURRENCY Theory。日本軍が発行した軍票は、刷りすぎたため、戦後、インフレで実質的価値が消滅し、最終的に紙切れとなった。復員兵で軍票しかもたなかった人たちに日本政府はなすすべもなかった」。