「天文学的ドル/円のレベルへ?」「昨日、注目すべきだったのは株式マーケット・債券マーケット」他

2022年03月29日

1,「将来の日米両国の明暗は明らか」

(米国は)「経済の持続成長に向けて教育支援や気候変動対策に歳出を拡大し、その財源を増税で賄う基本姿勢を堅持する」―>「増税で歳出増を賄おうとする米国」VS「国債増発で歳出増を賄おうとする日本」、「金融引き締めを図るFRB 」VS「この期に至っても金融緩和を継続する日銀」。将来の両国の明暗は明らか。ドル高円安が進むわけだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2802U0Y2A320C2000000/

 

2,「天文学的ドル/円のレベルへ?」

昨日のドル/円は125.10ほどを付けた後下落しNYタイムに(私の知る限り)123.10くらいまで下押しし、今朝123.80レベルで東京に戻ってきた。最初の大きな(?)円安だから、トレンドを確信できない人の利益確定売りで多少ドル・円が下押しするのは予想どおりだ。同じような「大きな円安&小戻り」が何回か続いた後、円高への戻りが小さいとマーケットが確信し、初めて強力な円安の流れが定着すると思っている。1ドル=130円くらいとか1ドル=135円くらいまでのドル高を考えるから、みみっちい利益確定に走る。私みたいに、ドル/円は天文学的レベルにまで上昇(=ハイパーインフレ)し、円が石ころ化すると思う人は、「ドルは保険」と思って利益確定などしてはいけない。多少落ちたところは買い増す機会と捉えるべき。

 

3,「昨日、注目すべきだったのは株式マーケット・債券マーケット」

昨日、多くの人の目は為替市場に向いていただろうが、昨日、注目すべきだったのは、株式

市場と債券市場。円安が大きく進んだのに日経平均は205円安だった。日米金利差が進み、日本もインフレが急速に進んでいく結果としての金利上昇、スタグフレーションを予測したのだろうか?

しかし(当面先だろうが)日経平均が下落していき、日銀が債券だけでなく、株式でも評価損を出すようになれば、日銀はもうメタメタもいいところ。

我々が習った伝統的金融論では「中央銀行たるもの、通貨の信認を守るために市場で大きく値が動く金融商品を保有してはいけない」だった。今の日銀は、株は持つわ、長期国債を異次元規模で持つわ(長期債は短期債に比べて1%の金利上昇で大きく値を崩す)、で、この鉄則を過激に破っている。私が金融マンの頃とは様変わり。日銀がThe Endとなるも当然の帰結だ。

 

4.「いびつな債券マーケット」

昨日の10年物金利は何とか指値オペの0.25%のレベル踏みとどまった。一安心と思いきや、債券先物市場で見ると様相が違っている。6月切りで149円30銭くらいから、指値オペ実施で多少上昇した。しかしその後ずるずると下落し、148.93まで下落している。債券先物の引き渡し銘柄は7年以上。現物の10年だけ、金利上昇を抑えても7年~10年の金利は上昇している可能性がある。今後とも、日銀が10年だけ抑えると10年だけ0.25%で安定し、その前後の金利が急騰、V 字型の変形おびつイールドカーブが出現する可能性もある。そうなれば、Interest rate swap で(例えば)7年固定のpay,10年固定の receive などの裁定取引が増えていき、10年金利に上昇圧力がかかっていくだろう。国債市場で、日銀が巨大モンスターと言っても先物市場をコントロールしているわけでもない。期末をなんとか乗り切っても期初から10年長期金利の現物は0.25%に張り付いてしまう一方、先物の下落圧力が強く、日銀は連日の指値オペを強いられる可能性大だ。どこかで音を上げる。まさにソロスに敗れた英中央銀行のよう。ソロスに敗れても、英中央銀行が破綻するような話ではなかったが、今回の日銀は敗北すれば日銀の死亡宣言となってしまう。円は紙くず化。事態はかなり深刻。危機を先送りして膿が極限まで溜まっている。それにしては、なんとも政治家はのんきだな~。