「私の経験からして今ほど分かりやすいマーケットは無い」「円安、米長期金利上昇必至」「FRB は強烈な引き締めを今後行っていくだろう」他

2022年04月12日

1.「私の経験からして今ほど分かりやすいマーケットは無い」

私がディーリング部署に配属されたのは1980年。当時は資金課長席と為替課長席にしか、情報機器(ロイター)が置いてなかった。私の机の上には、ぐるぐる取っ手を回して発電し、短資業者と結ぶ直通の黒電話のみ。米国債は源泉税の関係で米国外では取引してなかった。もちろん先物市場などもない。そんな時代からず~と、ディーリングの世界(6年間の政治家の時代を除く)にいて、JP モルガンでは世界の儲け頭を長年続得てきたが、今ほど、わかりやすいマーケットは無かった。ディーリング的に言えば、この期に多額の儲けを出せないディーラーは未来永劫、儲けなど出せない、と思ってしまう。

 

2.「円安、米長期金利上昇必至」

経常赤字が常態化しそうで、日米金利差はますます開く。私が為替の2大決定要因だと思っている要因が円安を示唆する。さらには5月より米国は市中に流したお金の回収を始める(QT),一方、日銀はお金の回収など未来永劫に出来ない(=回収を始めたら、政府が資金繰り倒産をしてしまう)。私のディーリング人生中には非伝統的金融政策(=お金を過剰に市中にばらまく)という自滅的な政策など行われていなかったからこの日米のお金の流れの向きが為替に影響するのを経験するのは、今回が初めてだ。経験はないが、これが最も強烈な円安/ドル高要因だと思っている。その意味で、本格的円安は5月から始まるだろう。今日現在の円安進行など、まさにほんの序の口だ。そして円にとって致命的なのが日銀の債務超過による円の信用失墜。こうなれば円は石ころ化。1ドル=何十億円の世界。円預金は無価値となる。

 

3,「FRB は強烈な引き締めを今後行っていくだろう」

米長期金利も 吹っ飛ぶと思っている。40年ぶりのインフレと史上最高レベルの金融緩和は両立しない。5月のQT開始までは市中にばらまいたお金の量(=FRB のバランスシートは最大規模を堅持)。火事の中に油をまき続けている。FRB nお処置は観世に送れている。マクロン仏大統領の大統領選での苦戦はインフレだという。11月に中間選挙の迫っているバイデン大統領には、インフレ陳瀬化が最大政治課題。

 

4,「米国家賃の値上がりがすさまじい」

この春書いたが、ボストンにいる次男夫婦が4月からの家賃交渉で17%の賃料上げを通告され、インフレを予想し、すぐ要求を飲んだ。良かった~。3階建てのマンション群だが、見ていると、空き部屋が出るとすぐに埋まってしまう。次男が通告された後も値上げは續き、当時2ベットルームの賃料では1ベットルームしか借りられない状態だ。以前3月24日の日経新聞夕刊の「FRBのウォラー理事は24日、住宅市場について講演し、『ここワシントンで家を(藤巻注:自分自身が)買おうとしているのでわかるが、市場はクレージーだ』と語った。日本御バブル期と同じ。相当な引き締めが予想される。日本御バブルとの違いは、日本では当時、毎年40円ずつの円高が進行という強烈なデフレ要因が狂乱経済から来るインフレを相殺したが、米国には強烈なドル高という強力なデフレ要因が存在しない点。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN24CRF0U2A320C2000000/

 

4,「本日、債券指値オペを実施するか?したら又、円安加速」

昨日、日本の10年物金利が0.24%に再度上昇してきた。昨晩の米国債の動きからすると、本日の日本国債マーケットは0.25%を付けるだろう。

こうなると、3月28日から4日間連続して行った債券指値オペを又やるかが注目される、もしやって長期金利上昇を抑える意思を示せば、世界が日米長期金利差拡大を再確認して円安/ドル高が進む。もし指値オペをやらずに長期金利が上昇を続ければ、世界に日銀債務超過、いずれ債務超過近し」のアナウンスとなり、これまた円安・ドル高が進む。そして債務超過で日銀The End となる。袋小路の日銀。この悪循環から抜け出られない限り、ディーラーは安心して円を売っていられる。

 

5.「11日の参議院決算委員会での鈴木財務大臣発言」

こりゃだめだ。あまりにも、情けない。西田氏の主張もあほらしいもいいところだが、鈴木大臣も「一つ一つ(西田氏の)発言を追いかけていくと、その通りだなという気がする」と語ったそうなのだ。

JPモルガン時代、私が「日本の大臣は英語が出来ない」と嘆いたら、ボスが「それは良かった。英語が出来たら、諸外国に無能ぶりが知れわたってしまう。英語がしゃべれないから、とだまっていたほうがいい」と言ったのを思い出した。こんな発言を英語でして、世界に知れ渡ったら、日本の恥さらしだ。

https://www.iza.ne.jp/article/20220411-YZICM3RADNKXPFFCSJL5FASQXY/

 

6.「満期国債は借り換えればいい、は本当か?」
西田参議院議員は、「日銀が金融政策の一環として保有する日本国債について①満期が来ても新たな借金で借り換えるとの持論を展開した」そうだ。

これに対しての模範解答は以下のとおり。「国債には満期があるから、その償還資金を捻出しなければならない。借り換え債を買ってくれるか否か(=借金を継続してくれるか否か)は買い手の判断であり義務ではない。問答無用で買ってくれるのは日銀しかいない。それを異次元緩和以降、おこなってきた結果が、今の日銀の惨状(債務超過ぎりぎりの状況、出口が無くなっている)だ。世界中で、財政ファイナンス(政府の借金を中央銀行が紙幣を刷ることによって賄う=中央銀行の政府への信用供与=現在発行国債の半分を日銀が保有していることは明らかに中央銀行の政府への信用供与)を禁じているのはハイパーインフレのリスクがあるから。まさに今の日銀がそれを証明しようとしている」

西田議員も鈴木大臣も全くわかっていない。素人同士の議論はこれだから嫌になる。

 

「政府の支払い金利は日銀が返してくれるから問題ないか?言に対する答弁とは」

西田参議院議員は、「『②政府が日銀に支払う利払い費の多くは政府の財布に戻ってくる―ことを前提にすれば財政には影響を与えず、政府の借金は日銀分を除いて考えるべきだ」との持論を展開した」そうだ

これに対しての模範解答は以下のとおり。「いわゆる統合政府論だ。日銀が国債の受取金を全部政府に返してしまったら、民間金融銀行の払う金利(日銀当座預金への付利金利)はどうやって賄う?特にインフレになった時、日銀当座預金への付利金利を引き上げられなくてどうやってインフレをコントロールする?」

こんな稚拙な議論を国会でやっているかと思うと嫌になる。

https://www.iza.ne.jp/article/20220411-YZICM3RADNKXPFFCSJL5FASQXY/

 

8.「筑波大付属高校の思い出その②」

学習院高校は、男子校と女子高があるが場所は離れている。教学ではない。悠仁さまが入学される筑波大付属高校は共学校である。私の最初の本「外資の常識」(日経BP社)に「教育大附属(現筑波大附属)の生活と人間関係」という1章の一部を紹介した。さらに続けて紹介する。私の高校時代は少なくとも「受験期」ではなく「失恋期」であった。

「昨晩は中学高校の同級生二人と飲んだ。子供たちの話になり 長男Kの話題になった。「 長男Kは男子校で可哀想だ。 私に比べれば(あっち方面の)目覚めが遅い」。 同級生二人は顔を見合わせ 、目覚めが遅いのはそれはそれで幸せである。お前みたいに目覚めが速すぎるとそれこそ問題だ。当時のフジマキは女の子に振られ続けて、いつも『おあずけ』をくっている犬の顔そっくりだった、と、身も蓋もないことを言った」

 

9,「筑波大付属高校の思い出その③」

同期会の直前にクラスメイトのひとりK君から電話があった 。「昨日海外出張から帰って来た。クタクタだから、わりい。 今日はドタキャンだ」「 何言っているんだ絶対出てこいよ! キャンセル料取るぞ」「 わかったよ、キャンセル料を払うから勘弁 」「しょうがねぇな。よしキャンセルだな」と返事をした私は、わざと独り言を言った。「そういえばH嬢やO嬢も来るんだったよな」 説明するまでもないが、この二人の女性はK君の憧れの君であった。電話の向こうのKくん「まず絶対行けないけどさ、 いつからどこで、だったっけ?念のため教えてくれよ」と訊いてきた。 つくづく分かりやすい男である。同窓会が始まって会場を見渡すと案の定、いた、いた。「絶対来ない」と宣言していたK君がさっそくO嬢の横で盛り上がっていた、枯れてないというか、なんというかーー。