「『政策から見て確実に円安になるのだから、うまみが大きい』(外資系金融機関幹部)」「5月にはなにかあるんですか?」「物価高対策に補助金を使うのは筋が悪い、選挙目当て?」他

2022年04月17日

1.「『政策から見て確実に円安になるのだから、うまみが大きい』(外資系金融機関幹部)」

本日の日経新聞1面の記事。読めばどう考えても円売りでしょう。何度も言うが、これほどわかりやすいマーケットは無い。記事曰く「ある外資系金融機関の幹部はつぶやく。『政策から見て確実に円安になるのだから、うまみが大きい』」―>その通り。

「『大規模緩和を進めた結果なのだから、(藤巻注:ドル売り介入は)理解されにくいだろう』。(略)為替介入を巡る財務省幹部の歯切れは悪い」―>そりゃそうだろう。

中間選挙を控えインフレを警戒する米政府が、ドルを安くする介入に賛同するかは不透明だ」―>インフレ抑制が、今、米国の最大重要なのだからインフレ対策最強のドル高阻害のドル売り介入はあっても1回。やれば寄ってたかってのドル買いになりかえってドル高。

「『日銀の金融政策は事実上、政府債務の穴埋めに組み込まれた』(東短リサーチの加藤出社長)」―>「異次元緩和は財政破綻の先送り政策」との私の主張通り。

「巨額の債務を抱えた財政は金利上昇にもろい。財務省の試算では金利が1%上昇した場合、25年度の元利払いの負担は想定より3.7兆円増える。「それほどの資金をどうひねり出すのか」(財務省幹部)」―>MMTer、教えてあげなよ(皮肉)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB14CZA0U2A410C2000000/

 

2.「5月にはなにかあるんですか?」

5月にドル高/円安が加速するだろうとの予想を書いたら、今朝、以下のリツイートが私のtwitterに来ていた。

「5月にはなにかあるんですか?」

私の回答は以下の通り。

「FRBがQTを開始し始めます。すなわちばらまいてきたドルの回収です。一方、日銀は未来永劫に円のバラマキ継続です。奪い合いになるドルと余っている円。どちらの価値が上がるか明確です。こういうことは相場には事前には織り込めません。奪い合いになるドルを先に取りこむなどは事前には難しいからです」

 

3.「物価高対策に補助金を使うのは筋が悪い、選挙目当て?」

昨日の日経新聞記事。「一時的な景気対策として導入した補助の出口が見えなくなれば、巨額の財政負担はさらに膨らむ。」「ただ自公の要望は、配合飼料の値上がり対策の基金の積み増しなど多岐にわたる。参院選を控えたばらまき感もにじむ」<―その通り。

物価上昇は、その物品を最終的に消費する人が負担するのが筋で、国民全員が平等に負担する(補助金は消費税増税で賄われるだろう。他に財源は無い)ものではない。それでは政府が値段を決める社会主義国家だ。(例:原油代上昇の時にイカ釣り船に補助金が出たが、それはイカを食べたい人が値上げという形で負担すべき)。補助金配布の恣意性も生まれる。

円安で苦しいのなら円高の時には儲かっていたはずだから、その分は回収すべき。「儲かっているときに負担せず、損すれば政府から損失補填」なら、「損失補填つき株取引」と同じ。もしくはコールオプションを、無料で政府からもらっているようなもの。物価の変動に、損失に備えるために保険や先物などのデリバティブ商品が存在する。何はともあれ、物価高に対処するのは日銀の仕事(日銀法第2条)であり、政府が前面に出る仕事ではない。はずだ。

物価高が話題になっている、なぜ日銀はダンマリを決め込む?どうした日銀??「もう手だてがありません」と告白して、早く新中央銀行設立の準備に動き出した方が、国民の被害は小さくて済むのではないのか?

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA135260T10C22A4000000/

 

4.「ドルの寿命も近いですか?」
今朝、以下のリツイートが私のtwitterに来ていた。「いつも情報ありがとうございます。ジムロジャーズさんもドルを保有していますので、これからドルが強くなると思っています。ただ長期ではよくない。(ジムさんの話)ようですが、ロシア等がドル離れをしており、ドルの寿命も近いという認識で合っていますでしょうか?」

私の回答は以下の通り。

「どの国も大なり小なりMMT 的なことをやってきましたので、通貨過剰で法定通貨は全て弱体化すると思います。ドルの価値もかなり下落する(=多くのドルを出さないと物が買えない=インフレ)でしょう。しかし為替は相対論です。コイントスで表と裏が同時に出ないのと同じです。どちらがより弱くなるか?世界の基軸国の通貨であり、中央銀行も相対的に健全で、エネルギーと情報産業という二大産業を抑えている米国の通貨は、住体的に一番弱くなりません。円は中央銀行の財務内容が劣悪ですから最弱。ドル/円はドル高にぶっ飛ぶでしょう」

 

5.「法定通貨VS 暗号資産」

なお、私の論文が載った世界的権威のある経済誌International Economyの中の特集(私の論考は後ろから2番目。最初の論考は元欧州中央銀行総裁のTRICHET氏のもの)には、法定通貨の代わりにビットコインを中心とする暗号資産の時代が来る可能性も、というGunther Schnabl氏(Professor Leipzig University:森鴎外が留学していたドイツの大学)の論考も載っていた(前から10人目)。

(論考は4月15日版(3)からお読みください)