「本日、日銀が金融政策の変更を決断しなければどうなるか?」「本日、日銀が利上げをすれば、どうなるのか?」他

2022年06月17日

1、「本日、日銀が金融政策の変更を決断しなければどうなるか?」

米政策金利の0.75%上げ後の為替マーケットを、デイトレーダー的、プログラムトレード的動きと分析したが、その後、いろいろ見、聞きしていると、外国人が、本日の日銀の政策金利上げを期待しているためのようだ、まだ外国人は、日銀財務の窮状にまで気がついていないようだ。もし金融政策の変更が無ければ、力強い円安トレンドに逆戻りだろう。なお、本日の日銀がどう意思決定しようとも、FRB利上げ前のトレンドにすべてのマーケットが早急に戻ると思っている。日銀破綻、円暴落との確信は全く持って揺るいでいない。

 

2,「本日、日銀が利上げをすれば、どうなるのか?」

本日の日銀は、利上げをまずはしないとは思うが、土俵でいう徳俵に足をひっかけて、最後の最後の粘りを見せることは一時的には可能だ。これをやれば参議院選までに金融波乱を起こさずに済むかもしれないし、黒田総裁は、来年3月までの人気を全う出来、自分が起こしたアベノミクスによる混乱を後任に託すことが出来るかもしれない。「黒田さんには出口があるが、日銀には出口は無い」作戦。「無責任極まりない危機先送りもいいところ作戦と」もいえる。ただ、日銀財務の脆弱性を世界に広める契機にはなりうる。

 

3.「本日、0.5%政策金利を引き上げたら?」

確かに黒田総裁延命のためなら、本日の0.5%の利上げを100%は否定できない。2022年4月末の日銀当座用座預金残高は562兆円。0.5 %の利上げなら、1年間の支払い金利は562兆円×0.5 %=2.8兆円。令和3年度の純利益は1.3兆円だから、この1年間は1,5兆円の損失(通貨発行”損“)だが、9.3兆円の引当金勘定+準備金」勘定があるから、まだ債務超過にはならないとの計算。ただ、損垂れ流しの中央銀行、そしてその発行する通貨を、いつまで受け入れるかは大いに疑問。

4、「本日、日銀が長期金利0.25%の政策目標を引き上げたら?」

ブルムバーグの試算によると、「日銀のデータに基づいたブルームバーグの計算によれば、政策転換によって国債イールドカーブ全体が1%上振れした場合、日銀は29兆円の含み損を抱えることになる」そうだ。いよいよ、世界的に日銀の債務超過のニュースが注目を浴びそうな気配になってきた。債務超過になった時の悲惨さは日銀が一番よく理解している。だから0.25%の指値オペを必死になって行うわけ。それも何故、異次元緩和の中でも“最大”のバズーカを、今この時期に打つ理由(デフレが極まった時に最大のバズーカを打つなら、まだ理屈はわかるが)。

ちなみに、私が国会議員の時、同じ質問をした時の日銀の回答は、「2017年末の日銀保有国債の状態だと1%の金利上昇で、15兆円の評価損」との答弁だったから、異次元緩和の継続で、傷はかなり大きくなった。まさにインパール作戦

https//www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-06-16/RDKEVAT1UM1301?utm_medium=social&utm_source=twitter&utm_content=japan&cmpid%3D=socialflow-twitter-japan&utm_campaign=socialflow-organic

 

5.「本日、日銀が短期金利を引き上げて長期金利目標の0.25%を堅持したん場合」

銀行の、特に地方銀行の主たる利益の根源は長短金利差だ。短期金利0.5%で長期金利0.25%では、今でも苦しいと思われる銀行経営が万事窮すとなるかもしれない。そうなると金融システムの崩壊。又、世界的に資金調達が円に集中する‘サムライ債)だろう。又低金利のままの地方債の購入者はいなくなり(他の高利回り商品に資金を振り分ける)、自治体は大変。

 

6.「各国はインフレ抑制のために一時的景気低迷を犠牲にする」

現在の世界的インフレの主因は、財政ファイナンスによるお金ジャブジャブ政策のためだ。お金を回収しないとインフレは収まらない。金利引き上げによる景気悪化で、金融引き締めが早くに終わると期待する楽観論者が多いようだが、1979年=80年の市場参加者の思考と全く同じ間違いだ。中央銀行は一時的景気低迷を犠牲にしてでも、金融引き締めを強烈に継続するだろう。昨日の日経新聞にあるとおり「株が下がれば中銀が支えてくれるという「中銀プット」も市場では当たり前のように語られてきた。だが、中銀の最優先課題がインフレ阻止に移り、株価への配慮はもはや期待しにくくなっている」だ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB318KU0R30C22A5000000/

 

7.「各国はインフレ抑制のために一時的景気低迷を犠牲にする その②」

本日の日経新聞には「インフレが収まったという証拠を得るまでは勝利宣言をするつもりはない」(パウエル氏)。FRBは景気よりもインフレ退治を優先する構えだ」各国はインフレ抑制のために一時的景気低迷を犠牲にすることは頭に入れておかねばならない。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61785120W2A610C2ENG000/

 

 

8.「米10年物国債3,195%は妥当か?」

昨晩は米国債市場では、10年金利がすぐにでも再び上昇すると思っていたが、そのような動きにならなかったのは意外だった。以外ではあるが、かなり近い将来の段階で上昇を再開すると思っている。一昨日のFRBの公式の短期金利予想が来年末には3.8%(前回から1.0%の引き上げ)、24年末は3.4%だった。FEBの予想が正しいのならば、米10年物国債3,195%はあまりにも低すぎる。さらにこれから本格的にFED が保有国債を減額していくのならば10年物金利も、うわっぱねると思っている。