1.「昨晩のマーケットは相場の綾」
昨晩は一時134円23銭まで調整が進んだ。歳だからこの程度なら夜中に起きだして更なるドル買いポジションを作ろうとは思わないが、少なくとも円高方向にトレンドが変わったと焦ることは全くなく心静かでいられるのはうれしい。ファンダメンタルズからして円高にトレンドが変わる要素が全くないからだ。こんなにドル/円の方向が分かりやすいのは長いディーラー生活の中でも初めて。昨晩はドルのウィークロング(か(ドル高という強い確信がないのにドルを買い持ちにしている人)が振り落とされただけの動き。
2.「米、利上げ速度柔軟に FRB議長、景気後退『可能性ある』」???
昨日の夕刊1面トップ記事。書かれた記事の内容は、その通りだと思うが、なに、この見出し?ミスリーディング。これでは、今後、景気が後退し、利上げ速度が遅くなるイメージではないか。パウエル氏は記事中にもあるように「(たしかに景気が減速するリスクはあるものの)積極的な利上げを続ける姿勢」の強調だ。景気後退の『可能性はある』」との発言は、積極的な利上げの副作用に対しての質問に対し、しぶしぶ(?)答えたもので、自ら言い出したのとは、発言の重みが全く異なる。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61966670T20C22A6MM0000/
3.「景気後退のリスク覚悟でインフレ抑制」
以下、昨晩の日経新聞夕刊の「ウォール街ラウンドアップ」記事。「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が景気後退のリスク覚悟でインフレ抑制にのぞむ姿勢を示した」
先ほど書いた昨日の夕刊1面トップの見出しは「景気後退のリスク覚悟でインフレ抑制」が適切。この記事にある通り、景気の停滞を犠牲にしてまでも金融引き締めは継続する。1979年のサタデイナイトスペシャルのように、金利暴騰(長期金利20%)を覚悟してまでも、ばらまかれた資金回収を最優先とせざるを得ない確率はかなり高まっていると私は思う。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61968310T20C22A6ENI000/
4.「物価安定の回復は圧倒的な優先的順位」
本日の日経新聞「ポジション」いわく「大和証券の山本賢治氏は23日付のリポートで「FRBは物価安定の回復を圧倒的な優先的順位として位置付けている」とし、インフレ抑制の意志は強いと指摘する」。圧倒的な優先的順位!である。
やはり本日の日経新聞「景気後退リスク、市場の警戒強く 銅1年3カ月ぶり安値」の中でも「野村証券の大越龍文氏は『パウエル議長が景気より物価の抑制に軸足を置くことを鮮明にしたことで(略)』とある。景気がたとえ減速しても米国金利はこれからかなり上昇し、資金回収も継続する。
日米金利差拡大でドル円はうわっぱねるとの予想は微動だにしない。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61998900T20C22A6EN8000/
5.「一度、石ころになった通貨は、2度と価値が戻ることは無い」
昨日、以下のリツイートが来た。
「長期金利が爆謄すると円安は止まりませんか?」
私の回答は以下の通り。
「インフレ時に株保有はいい。しかしインフレ対策の金利上げで倒産してしまった会社の株はインフレになっても急騰しない。ゼロのまま。それと同じ。長期金利が爆謄すると、日銀の債務超過で日銀と円はThe End. 石ころになった円は、2度と通貨としての価値が戻ることは無い」
6、「相場は夜作られる」の意味 その①
昨日、「相場は夜作られる」と書いたが、このような事態が生じ始めたら、注意が必要だ。
相場が動かない時は、欧米人は日本市場などに興味がないから相場は夜も昼も動かない。しかし欧米プロトレーダーが日本に興味を持ち始めると、彼等の時間帯(すなわち日本の夜間)に相場が動きはじめる。間違えていけないのは「買い」ではなく、「売り」で、だ。夜間に相場が動き始めたら、外国人売りを契機とするXデイ近しのシグナルと考えたほうがいい。
7.「相場は夜作られる」の意味 その②
日本人は外国人投資家の動きに弱い。外国人が売り始めたと聞くと浮き足だち、外国人が買っているとなると、安心して買いを入れる。この習性を利用して、邦銀本店勤務時代、よくロンドンの証券会社経由で注文を出した。日本人の買いでもロンドンの証券会社から注文が出れば、統計上、外国人買いにカウントされるからだ。ブローカレッジが安かったせいもある。仲介の証券会社に注文を出したのは邦人か外国人かは統計のために調査をしない。したがって黒い目の外国人に簡単になれる。いわば合法的相場操だ。私は悪くない。悪いのは統計作成方法だ。というようなことを素人のデイトレーダーは知らない。知識面でプロに断然劣る。素人はデイトレードで儲かるわけがないと私が言う理由の一つ、
8.「海外で高評価、日本では狼少年」
先ほど、私のツイターに以下の立位オートをいただいた。
「元祖円安、藤巻先生。 鼻息が荒い。先生は20世紀からずっと円安論者。円高に触れる度に、国内では狼少年と批判され。 しかし海外では、make senseと一貫して高評価。 この差が日本人の歪な弱み。 破綻してもおかしくない国家財政、それを国債購入で支える日銀。 嵐は目前か?見たくない現実」
私の返信は以下の通り。
「過去からモニターしていてくださり、ありがとうございます。確かに昔は、海外の市場参加者の間で絶対的な評価を得ていたと自負しています。今もでInternational Economyという世界的な権威のある雑誌から寄稿を依頼させるのは当時の名残でしょう。しかし、日本では誰も、私の主張に耳を傾けてくれなかった。オオカミ少年としか呼ばれなかった。聞いてくれていれば、こんなことにはならなかったのに、と残念でなりません。私の力不足です」