「日銀、危うし」「戦後最大級の円安」他

2022年06月27日

1.「日銀、危うし」

3月の期末直前、日銀は債券指値オペで必死になって長期金利の上昇を抑えた。おかげで日銀保有国債は3月末で評価損を逃れ、4兆3,734億円の評価益だった。しかし1年前の評価益は9兆4314兆円だから半減。昨年3月末の10年物債券利回りは0.095%。今年3月末は0.214%。0.119%の金利上昇で利益が半減したのだ。単純計算であと、たった0.12%上昇すれば日銀銀に評価損が発生する。米国債なら1晩で動くほどの金利の動きで評価損発生だ。日銀が指値オペを辞めて、もし、たった1%でも金利が上昇すれば、とんでもない評価損が生じる。なにせ0.119%の金利上昇で、評価益が4兆3600億円も減少したのだから(参考対比数値:4兆3600億円とはおおよそ消費税2%相当分、国の年間税収はおおよそ60兆円強)

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2.「昨年、日本同様、10年債金利がマイナス金利だったドイツ国債は今やプラス1.4375% 」

日銀ほど、財政ファイナンスをおこなって莫大な国債を抱えてしまった中央銀行は他に無い。しかもマイナス金利を含む超低金利の国債の購入を、だ。金利上昇により膨れ上がってしまう評価損は他の中央銀行に比べると圧倒的に巨額だ。一時期、日本と同様、10年債金利がマイナス金利だったドイツは今やプラス1.4375%だ(参考:昨年4月1日はマイナス0.2%、1991年8月1日はマイナス0.7%)もし、日銀が指値オペを辞めれば円金利も当然この程度までぶっ飛ぶ。超巨額評価損の発生だ。

3.「日銀が指値オペを継続しなければならない理由」「黒田総裁が『国民は物価上昇を容認している』と言い続けなければならない理由」

「逐次投入はしません。一気にデフレを片ずけます」と発言した異次元緩和開始当時の規模のバズーカ砲を黒田日銀は3月末に打った。政府が必死で物価対策を打っているときに、真逆の方向(=円安で物価加速)にピストルではなくバズーカ砲を打ったのだ。黒田日銀総裁は、私の参議院議員時代の質問にも、最近では藤巻健太衆議院議員の質問に対しても「日銀は償却原価法を採用しているから、評価損は出ません」と苦し紛れの答弁を続けた。しかし、アジア開発銀行総裁でもあられた黒田総裁、「簿価会計などインタナーショナルな世界では過去の遺物。相手の信用調査は徹底的な時価会計で行うのが世界の常識。債務超過になれば、中央銀行の信用が失墜する」ことは自らが100も承知だろう。日銀が債務超過になれば、尋常でない事態が来るということを自らが一番ご存じ、ということ。だからの逆向きバズーカ砲なのだ。「円、石ころ化」は秒読み段階だと私は思っている。ドルを買ってヘッジをし、ご自身の生活を守った方が良い。

4.「戦後最大級の円安」

今朝、新聞広告で見つけた週刊エコノミストの目次。真ん中辺にある「戦後最大級の円安」。最近、朝日新聞や文藝春秋(今、発売中)で私の「1ドル=400円~500円」説を紹介してもらったが(ただし、それは途中経過で、最終的には1ドルが天文学的数字(ハイパーインフレ)に)、ついに私と同じ意見が出てきはじめたか?1972年まで1ドル=360円の固定相場だから、「戦後最大級」というと、1ドル360円より円安。私は到達すると思っている。「放漫財政」のツケ。MTT論者、積極財政論者、「統合政府で考えれば財政は健全」論者の罪は重い。

週刊エコノミスト

5・「バラマキは増税を招く」

以下、元、金融記者の石井孝明さんが先ほどアップされたツイッター。「バラマキは増税を招く。 成長には、勤勉革命 今回の選挙で一番正しいことを言うのが泡沫宗教政党しかない。日本は終わっているなあ。 石井記者  」

まさに。