「今晩、早川元日銀理事との議論from 19:30」他

2022年07月04日

1.「今晩、早川元日銀理事との議論from 19:30」

本日 BS-TBS「報道1930」に1930から2100まで出演します。

ゲストは、私のほかに元日銀理事の早川英男さんと経済評論家の加谷珪一さん。
早川さんは元「日銀の頭脳」と言われていた方で、私の頭脳で太刀打ちできるか不安だが、私も市場のプロとしての矜持を持って議論させていただくつもり。今まで出た他の番組では1+1=3という主張をする人に対して、それは違うという実りの無い議論をしてきたが、今晩はそれとは違う。金融のプロ同士の議論となろう。

 

2.「本日の東京、欧州マーケットは動意なし?」

本日は米国の独立記念日で米国市場は休場。東京、欧州市場は動意の無いマーケットだろう、こういうときは仕掛けが入ることもあるが、多少動いても明日(5日)NY市場が再開する頃までに、その仕掛けで動いた分は一掃され、振出しに戻っていると思われる。

その昔、米国債は、源泉税の問題があって米国外では取引されていなかった。源泉税問題が解決され1982年か83年頃に「ロンドン国際金融先物取引所(LIFFE)」で先物取引が始まった。私は、最初から参加したが、ロンドン時間午前中に出社する米国債トレーダーは就業規則に絞られた日本人だけ。英国人トレーダーは午後にならないと出社しない。その結果、午前中の取引は我々、日本人の間だけ。LIFFE での全取引量の約3分の1が私(三井信託)、3分の1くらいが三菱信託、他の3分の1が他の邦銀&日系証券という感じだった。そしてNY時間オープン時になって英国人トレーダーが出社してきて、取引量が一気に増える。我々が付けた取引れ^となど、全く眼中にないからレートが吹っ飛ぶ。我々は「今日はNY開始時のレートを当てた」とか「今日は外した」とか、キャー、キャー言っていた。本日の東京市場は、それと同じ。ただでさえ、そうなのに日銀があらゆるマーケットに首を突っ込み、流動性を無くしたのが、さらに事態を悪化させている。

 

3.「経済減速による金融引き締め減速を夢見るな」

この数日間、「経済が減速するから米長期金利は下落するだろう」との楽観的希望で米長期債の金利が下落している(=価格は上昇)が、米長期債は最後の逃げ場かも。

景気が減速して金利の引きしめをFRBが緩めれば、又インフレが加速し、長期金利が上昇するだけの話。ダラダラとインフレは長期間継続する。

2015年から18年までFRBは政策金利を2.5%まで上げたが、あの時は別にインフレが深刻だったわけではない。それなのに2.5%まで上げた。今はインフレが大問題だ。利上げが2.5%で止まるわけがない。景気減速で8.5%のインフレがたとえ6%に墜ちたとしても、まだまだ過激な引き締めは必要だ。完全雇用下でのインフレ抑制には相当な自国通貨高が必要。今回の世界的インフレは財政ファイナンスによるインフレだから充分にお金を回収しない限り鎮静化は無理。景気が減速しようが何だろうが中央銀行は断固とした引き締めを行うだろう。引き締められない黒田日銀を除いては。

 

4.「財政ファイナンスとは、中央銀行の政府への信用供与」

昨日、以下のリツイートが私のtwitterに来た。「そもそも財政ファイナンスとは国債を中央銀行が直接引き受けることであり、現在そのような運用は行われていない。 いつか破綻する、という結論は変えず、政府によるデフォルト、ハイパーインフレ、日銀破綻、などなど主張を変え続ける人は信用に値しない」

私の返答は以下の通り。

「財政ファイナンスとは『中央銀行の政府に対する信用供与』のことです。直接引き受けかどうかは日銀の都合よい解釈にすぎません。政治家は「増税」という大衆に不人気な政策より、紙幣の印刷で歳出を賄うという安易な方法を選択したがるものです。そしてハイパーインフレになってしまう。それを禁じるために世界中が「財政ファイナンス」を禁止したのです。その趣旨からして、直接引き受けかどうかは関係ありません。中央銀行の政府への信用供与が問題なのです。

 

4.池田信夫先生からのご指摘

昨日、私のTwitter に以下のリツイートを池田信夫先生から頂いた。

「財政ファイナンス(国債引き受け)を明文で禁じる法律は、ECB以外にありません。日本では財政法で禁じていますが、借り換えのほとんどは直接引き受け」

私の返信は以下の通り。

「そうですかね~。私は学者ではないので、調べたことありませんが、現役の時、ヘッジファンドのオーナーや世界の投資家と話した時は、皆そういう認識だったです。ドイツ、スイスは憲法で均衡財政を歌っていますから、国債など引き受けしようにも引き受けるブツが無いわけで、引き受け禁止の法律など不要です。また、先生のご指摘を受けて、「日本銀行の機能と業務」という日本銀行金融研究所編の本をチェックしてみましたが、「こうした経緯を踏まえ、中央銀行による政府への信用供与は、多くの国では法律により厳しく制限されていると」と書いてありました。日銀金融研究所が間違っているのですかね?」

 

6.「黒田総裁は勲章をもらうのか?」

昨日、以下のリツイートを私のtwitterにいただいた。「こういう黒田日銀総裁でも漏れなくもらえるのが日本の勲章^_^」

私の返信は以下の通り。

「一応、過去の日銀総裁は、辞退しているようです。黒田さんだけ、もらっちゃたりして(笑い)。なにせ、過去の日銀マン(&金融マン)の常識(禁じ手中の禁じ手の財政ファイナンスは行わない、中央銀行は価格が変動するものは債務超過回避のために買わない等)の先例/常識をことごとく破ってきた総裁ですから。