「景気後退やむなし。急激な利上げやむなし」「誤解のみが円の支え」「長期金利の先行き」他

2022年07月10日

1.「景気後退やむなし。急激な利上げやむなし」

時事通信社曰く「急速な利上げは景気後退を招きかねないが、FRB高官らはインフレ抑制のため、ある程度の景気悪化はやむを得ないと腹をくくる」。適切なる記事だ。この発想は、1979年のボルカーFRB議長と同じ。その結果ボルカ―氏はサタデイナイトスペシャル(長期金利20%、FF レート20%)を選択した。「そんなこと、やるわけない」とマーケットがたかをくくっているのもそっくり。

https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%e6%80%a5%e3%83%94%e3%83%83%e3%83%81%e3%81%ae%e5%88%a9%e4%b8%8a%e3%81%92%e5%a0%85%e6%8c%81%e3%81%b8%ef%bc%9d%e5%8a%b4%e5%83%8d%e5%b8%82%e5%a0%b4%e3%80%8c%e4%bf%a1%e3%81%98%e3%82%89%e3%82%8c%e3%81%aa%e3%81%84%e3%81%bb%e3%81%a9%e9%80%bc%e8%bf%ab%e3%80%8d%e2%80%95%e6%99%af%e6%b0%97%e5%86%b7%e5%8d%b4%e4%b8%8d%e5%8f%af%e9%81%bf%e3%81%ab%e3%83%bb%e7%b1%b3%ef%bd%86%ef%bd%92%ef%bd%82/ar-AAZp38O?ocid=UE09DHP

 

2. 「米雇用、予想上回る力強さ 利上げ継続の支えに」

本日の日経新聞いわく「景気後退が懸念されるなかでFRBがインフレ抑制のために急速な利上げを進めるよりどころになっている」。米長期金利はかなり上昇するだろう、低下に向かうのははるか先の先。大幅上昇した後だろう。私はサタデイナイトスペシャル(長期金利20%9の可能性も充分出てきたとみている。今ほど世の中にお金がだぶついた時代は、かって無かった。これを回収しないことには、インフレは収まらない。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62473660Z00C22A7EA5000/

 

3.「コストプッシュインフレだろうがディマンドブルインフレだろが関係ない」

「今はコストプッシュインフレだから金融政策は効かない」などという人がいるが、日銀が金融引き締めで出来ないがゆえに、ひねり出した苦肉の屁理屈に踊らされている。コストプッシュインフレだろうが、中央銀行が金利を引き上げて需要を減少させれば、価格は戻る。さらに言えば、お金の量が一定なら、たしかにモノやサービスの供給量が減れば、値段は上がる、しかし、モノやサービスが一定ならお金の量が増えればモノやお金の価値は下がり物価は上がる。今の世界的インフレは後者の理由が主因。それに前者の理由が上乗せになっただけ。したがってお金の回収をしない限りインフレは収まらない。

 

4.「誤解のみが円の支え」

以下、日経新聞の昨日の記事。「別の邦銀ディラーは『アベノミクスの象徴である日銀による大規模な金融緩和政策の修正を見越して、円が買われている』と分析している。香港拠点のヘッジファンドも『政策は一気に岸田文雄首相の色が強まる可能性があるとみている。財政再建・金融引き締めの方針に転換し、株安、円高・ドル安、金利上昇となるだろう』と予想する(以上、日経新聞記事))。しかし、これらは外国人の誤解。誤解のみが円を支えている。日銀はごく微々たる利上げしか出来ない。それ以上の利上げをすると債務超過に陥ってしまうからだ。

いつまでも利上げに踏み切らない日銀を見て、外国人は、その事態に気がつく。その時が円の終焉。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB085FQ0Y2A700C2000000/

 

5.「長期金利の先行き」

日銀が「長期金利を上げるか上げないか?」ではない。「上げられるか、上げられないか?」である、結論は上げられない。日銀自身が債務超過になって日銀と円の終焉を迎えるからだ。それを黒田日銀総裁自身が最もわかっている。だから、指値オペで長期金利が上昇しないよう必死の抵抗を試みている。しかし、長期金利など中央銀行がコントロール出来ないことなど世界の金融界の常識だ。したがって長期金利は最終的にうわっぱね、円はThe end、通貨価値を回復させるために新中央銀行の設立が不可欠になる。

 

6、「短期金利の先行き」

短期金利は、長期金利と違い日銀がコントロール出来る分野だが、日銀は断固として短期金利を引きあげない。だからマーケットの短期金利も上昇しない。しかし、それがゆえに日米金利差拡大で急激なドル高/円安が進行する。「インフレ加速なのになぜ金利を引きあげない」との怨嗟の声で日銀は立ち往生。円はThe end。通貨価値を回復させるために新銀行の設立が不可欠に。

 

7.「早川元日銀元理事の提案は、時すでに遅し」

7月4日の討論(BS-TBS「報道1930」)で「出口」を問われた日銀の頭脳と言われた早川元日銀理事は「(早川氏自身は楽観視していないが)外国人の間では『日本の財政がどうにかなる』と思っている人が意外なほど多い。そう誤解してくれている間に財政再建を果たせば、何とか出口が見つかる」とおっしゃっていた。2013年に異次元緩和が始まる前に国内ではそれなりに危機感が高まった時にも、外国人は国内勢ほどは危機感が高まらなかった。それは「政府には徴税権がある。日本は消費税が先進国の中でダントツに低い。消費税を上げれば財政は何とかなる」との理由だった。又その繰り返しだが、危機の先送りをした現在は、あの時に比べてはるかに危機が迫っている。デフォルト回避のために必要な消費税率もすさまじいものになっている。日本でそこまでの消費税率上げを政治が出来るとは思えない。ならば、ハイパーインフレという「踏み倒し」しか道は見えてこない。早川さんの議論で何とかなったのは、私が財政危機を言い始めた、25年前までの話である。すでに時間切れ。

 

8.「親(政府)がしっかりしていれば、子(日銀)は債務超過になっても大丈夫か?」

7月4日の討論(BS-TBS「「日銀 物価上昇でも利上げに動かない 日銀”異次元“死守のツケ」で早川元日銀理事は「親(政府)がしっかりしていれば、子(日銀)も問題が無かった」との趣旨の発言をされていた。だから早く「財政再建を。それが唯一の出口だ」との発言をされていたが、ある面で、これは正しい。日銀が債務超過になっても大丈夫な条件は経済学的に3つある。その一つが「中央銀行の債務超過を政府が税金で補填できる」というものだ。政府が財政健全化に注力しており、単年度予算がいずれ黒字化し、税金で資本投入が出来れば、中央銀行の信用は墜ちない。たしかに今の日銀の窮状は財政健全化をないがしろにした政府にあるとは言え、財政ファイナンスを受け入れてしまった日銀にも当然ある。

https://bs.tbs.co.jp/houdou1930/

 

9.「出馬した経験からの事件の感想」

私は2度参議院選挙に出た。1回目(2013年)はギリギリ当選し、2回目(2019年)は51,619票いただいたが応仁の乱(1467年)によって落選した。1467票足りなかったのだ(苦笑い)。選挙戦の時、銀座通りや、京都の大通りを選挙カーで走ったり、街頭演説すると、多くの人から手を振られ、バシバシ写真を撮られた。「お、私、人気あるじゃないか。当選確実」と一瞬思ったが、そうではない。手を振ってくれたり、写真を撮っていくのは、外国人旅行客ばかりなのだ。

要は、日本人は当たり前だと思っているこの選挙方式は外国人にとっては異様で、大変珍しい日本的光景だということ。米国などの演説は事前検閲や警備の簡単な室内が当たり前だ。大統領が外で演説するときは狙撃兵まで用意すると聞く。

WEBからの情報で手製銃でさえも簡単に作れる時代だ。警備の強化程度では、今後も民主主義への挑戦は避けられないだろう。社会の変化に応じて選挙運動方式を変える時期に来たのではないか。根本的解決はそれしかない。日本の選挙制度はグローバルスタンダードではなく、絶対に固着すべき方式ではないのだ。