「危うい先進国の座」「30分の円高効果のために財務省は為替介入をしないだろう」.「日銀に関する現時点の注目点」他

2022年07月13日

1.「危うい先進国の座」

なかなか斬新的なタイトル。日経新聞も、やっと私の懸念に追いついてきてくれたようだ。警告的な記事が増えてきた。出来ることならもう少し早く警告を鳴らしてほしかったが。徳すでに遅し。日経新聞いわく果たして、遠い南米の問題なのか。失われる競争力、下がる通貨、膨らむ債務、そしてインフレの影。根っこの課題は今の日本に重なり合う。「市場が債務問題に敏感になれば、日本も無縁でいられない」。通貨当局者の一人は言う」。ゼロ金利の時は問題なくても、世界的な金利上昇期には国の借金総額は当然、市場のメイントピックになってくる。金利を払えるかが注目される(払えなければデフォルト)からだ。日銀がそれを(かつ自分自身の債務超過を)恐れて金利を抑えれば、金利拡大による円安は限りなく續き、悪性インフレへ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA085XM0Y2A700C2000000/

 

2.「日本のアルゼンチン化」

日経新聞いわく「主要国がそろって金融緩和の修正に動く中、日本だけが金融緩和をやめられない袋小路に迷い込んだ」「かつてアルゼンチンがたどったように、日本の先進国の座が危うくなってきた」

政府が前面に出る経済で借金を極大化させ、陥った財政破綻危機を財政ファイナンスで危機の先送りした結果。政府主導の社会主義国が没落するのは歴史が教える通り、

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA085XM0Y2A700C2000000/

 

3.「30分の円高効果のために財務省は為替介入をしないだろう」

日経新聞いわく「ただ財務省幹部によると、会談で為替介入に関する議論はなかったという。インフレへの対処が最優先となっている米国が、ドル安につながる協調介入に応じる可能性は依然として低い」「ロイター通信などによるとイエレン氏は会談後、記者団に対し、為替介入について『まれで例外的な状況でしか正当化されない』と改めて慎重な見解を示した」

そりゃ、そうだろう。又、単独介入もたった30分の円高効果のために財務省も貴重なドルを浪費するアホなことはしないだろう。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA123XH0S2A710C2000000/

 

5.「日銀総裁人事」

読み物としては面白いが、ただそれだけ。誰が総裁になっても日銀は何もできない。出口の手法が無いのだから。確かに本当に微々たる修正なら出来る。

長期金利の誘導目標を0.25%から0.3%程度に、引き上げるとか(黒田総裁に「そうしてもマーケットは崩れない」という自信と勇気があればの話だが)、「マイナス金利を辞める」と発言するとかの微調整である。ただしマイナス金利政策とは単なるアドバルーン政策で、日銀当座預金540兆円近くのうちマイナス金利が適用されているのはたったの40兆円しかない。そのマイナス金利を辞めても、実質的影響はな~んにもない」

日銀には手段がないことが明確になって、円と共に終焉をむかえてしまう。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD120LA0S2A710C2000000/

 

5.「日銀に関する現時点の注目点」

今、日銀に関しての注目点は人事などというみみっちいことではない。私の注目点は①来年4月の黒田総裁任期満了までに日銀が持つか?新しい中央銀行に変わっていないのか?

②黒田総裁は今でも辞めたくてたまらないと思料する。日銀が、どうにもならないことは頭のいい黒田総裁が一番熟知しているだろう。ただ自発的に辞めるとなると、そのニュースで「日銀やばい」と取付け騒ぎが起きる可能性大だから、辞められない。したがって、私の注目点は、失言を理由にスムーズに辞め得るかである。もっともそのニュースを聞いたら、私は、シートベルトを最大限、引き締めるが。

 

6.「ユーロとドルのパリティー」

(大変失礼いたしました。以下の話はポンドとドルのパリティの話でした。取り消します。お恥ずかしいぁ義理です)

1ユーロが1ドルに近づいてきた。私が邦銀ロンドン支店のディーラーだった時も同じようになり、(私は1982年から85年までロンドン支店勤務だから、その間の出来事)英国人ディーラーたちが、皆、個人的に1を割るか賭けをしていた。(その時は割れなかった)、英紙ファイナンシャルタイムズ1面に大きく、米国人でにぎわうハロッズデパートの写真が「ハロッズが米国人委占領された」という見出しで載っていたことを鮮明に覚えている。

 

7.「ユーロ取引」

私はユーロが出来るまではDM、FFrを頻繁に取引していたが、ユーロ発足以来ユールを取引したことが無い。加重平均したユーロ圏の経済状況が分からない、が理由の一つ。もう一つの理由は地域固定相場制はいずれ崩壊すると思ったからだ、(いまだ崩壊していないから、今のところその分析は間違いだった)。そのころ、中学生だった現衆議院議員の藤巻健太が「夕張と東京も同じ円という地域固定相場ではないか?なのに、お父さんは円という地域固定相場は問題なく、ユーロという地域固定堂場はダメという、その理由は何?」と聞いてきた。他の人かたは聞かれたことのない質問で一瞬たじろいたが、以下の通り答えた。「夕張が財政危機を迎えれば東京人の税金で助ける、すなわち財政が一つだから大丈夫。地域固定相場制がワークするには、財政が一つか、一つの国になる必要がある。財政が一つでない場合、為替の経済自動安定装置が効かないシステムはそれはそれで大きな問題が残る」だった。