1,「『米CPI 9.1%上昇』の意味」
「利上げ幅を1.00%に拡大するとの予想が前日の1割弱から4割に急上昇した」などまさにこの記事の通りだと思うが、いくつかコメントを付け加えたい。
①たとえ近じかインフレがピークを迎えようと、ピークを付けたらすぐに金融緩和が始まるわけではない。自金利引き下げが始めるのは先の先。史上最大のお金ジャブジャブと史上稀に見る低金利は共存しない。
②本紙にはあった「急激な利上げが景気後退を招く懸念も広がっている」との記述がWEB では削られているが「景気後退を招く」ことがFRB の目的でもある。そうしないとインフレが収まらない。
③本紙にはあった「対ドルでの通ヵ安を通じてインフレ圧力にさらされる新興国経済への影響も大きい」との記述もWEB では削られているが、最後に「一番影響のあるのは中央銀行が危機に陥る日本」が加わっていれば、さらに正確な記事になる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1204W0S2A710C2000000/
2,
もし7月のFOMC で1%の利上げがあったなら,邦銀のようにドルの短期調達で米長期国債を購入している機関はかなり苦しくなるだろう。(無くてもその次のFOMCでの利上げで)長期のそして大幅な逆ザヤに耐えられなくなり、保有米国債の投げ売りが始まると思う。それは米長期金利のさらなる上昇を招き、さらなる円安ドル高が進む。なお、米債を売却した調達のドルをドル短期市場に返済するだけだから為替には全く影響がない。放漫財政、禁じ手中の禁じ手の財政ファイナンスなどおできを極大化させて今までのツケ。膿が、あらゆるところから吹き出しつつある。
3.「稀に見る名論考(楽観できぬインフレ対策)」
本日の日経新聞に載っている米スタンフォード大学フーバー研究所シニアフェローのジョン・コクラン氏による稀に見る名論考。「今の世界的インフレの元凶は財政ファイナンスによりお金ジャブジャブのせい。お金を回収しない限り収まらない」との私の主張そのままなので評価が高いのだが(笑い)。しかし本質を知りたい方。マーケットで間違いたくない方は必読。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD131AD0T10C22A6000000/
4.「稀に見る名論考」の内容
ジョン・コクラン氏いわく「このインフレが過剰な財政政策に起因しているのは明らかだ」「政府は、お金を必要なだけ借りたり刷ったりできるとの考えを捨てるべきだ。政府の支出は安定した税収か、将来確実に得られる税収から捻出する必要がある」「残念ながら多くの政府は、インフレ対策としてエネルギーや住宅、育児、その他の費用を補助するため、(中略)現金給付を増やすために借り入れや紙幣の印刷を一段と拡大している。これらの政策はさらなるインフレを招く」「いまだにインフレはサプライチェーンの脆弱性、(中略)によるものだという話を耳にする。インフレに『プーチンによる物価上昇』とレッテルを貼るバイデン米政権の最近の試みは、的外れで、真っ赤な噓だ。インフレは広がっており、1年前から急増している。希望的観測の時代は終わった。それを知ることが大事だ」財政ファイナンスは、日本は世界でダントツにすさまじい。私がハイパーインフレに唸るという理由。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD131AD0T10C22A6000000/
5,「米長期債の購入はお勧めしない」
ドル円が上昇してくると日本の証券会社、銀行のセールスの「長期の方が金利が高いですよ」とのアドバイスで米長期国債を購入してしまう方がいらっしゃるかもしれませんが、もし私の予想通り米国長期金利が上昇しると米国債のドル建て価格は大きく下落します。1ドル=135円が1ドル=270円と為替が2倍になっても長期国債のドル建価格が半分になってしまうと円貨ではチャラです。私は長期金利がかなり上昇すると思っているので、ドル資産はMMF等短期のドル資産にしています。金利が上昇しても価格の下落が小さいからです、為替の駅をほぼそのまま享受できるからです。ご参考までに。