「液化天然ガスは日本の生命線。価格上昇すればとんでもない貿易赤字&円安」「日銀も国も地方自治体も物価引き揚げにやっき」他

2022年07月17日

1,「液化天然ガスは日本の生命線。価格上昇すればとんでもない貿易赤字&円安」

数日前、婦人画報連載用として元三菱商事副社長の柳井準ちゃんにインタビューをした。準ちゃんは「男4人、女性26人の至福の時代」だった雙葉小学校付属幼稚園の私のクラスメート。長年エネルギーの買い付けをしていたその道の専門家だ。彼曰く原油価格は、「もう少し上げるかもしれないが、暴騰は無いのではないか?」。そう聞いて少し安心したが、日本がエネルギー源と頼っている液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)の話となると様変わりだった。サハリンⅡの権益をどれだけ守れるかによって、大きく変わってくるそうだが、世界中で争奪戦が始まるとスポット価格は5~10倍に跳ね上がる可能性もあるという。そうなると日本はお手上げだ。日本の火力発電のほとんどはLNGに頼っているからだ。電力料金も2~3倍になってしまうかもしれない。電力は日本経済の心臓だからおおごとだ(詳しくは8月31日発売の婦人画報をお読みください)

準ちゃんにインタビューして、シェールガスが無尽蔵に出てくる米国と、G20で最低のエネルギ―自給率の日本とでは、国力や国際収支の面で、今後さらに大きな差がついてしまうのだろうと感じた。エネルギーとIT という2大資源を抑えている米国は強い。一方、LNG価格が跳ね上がれば日本の貿易収支は巨額の赤字になる。ドル高/円安のさらなる理由になる。

2,「FF レートが、3.75-4%になった時の米10年金利はどうなるか?」

ブルムバーグによると、ブラード総裁は15日にバーチャルイベントに出席し、FOMCは年末までに政策金利を3.5%ではなく、3.75-4%のレンジに引き上げる必要があるとの見方を示した。それがピークではなく2023年も利上げが続くというのが、主流派意見のはずである。利上げが終わってもすぐに金利引き下げを普通はしない。インフレが再燃してしまうからだ、通常だと、何年かはその政策金利が持続する。そんなときに、10年米国債を現在の2.9%で買う人がいることに驚く。簿価会計でかつ今年の利益しか興味の無いサラリーマン投資家か、利益に興味がない公的機関か、高い金利の方がいいですよと営業マンの巧みな話術に引っかかって個人でないかと思ってしまう。今ドルを買うのならMMF等短期モノに限る。長期債は金利が上昇すると値段が大きく下がることに注意が必要だ。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-15/RF2ERLT0G1KW01?srnd=cojp-v2

 3.「日銀も国も地方自治体も物価引き揚げにやっき」

金融論では物価上昇が気になるときは、中央銀行は金利を引き上げて対処する。わき役としての国や地方自治体は財政を引き締めて、需要を鎮静化させる。(この点はMMTは間違っていない。ただし理論的にはそうでも現実としてMMT 論者たちは逆に、この段階でもバラマキを主張しているようだ。今の物価上昇はたいしたことない、問題ないというのなら黒田日銀総裁と同じ意見)しかし、今の日本は中央銀行は金利を低位に抑えつけたうえお金をバラマキ続け、国や地方自治体は補助金を出して需要を喚起している。国を挙げての物価上昇政策だ。いや、はや。、としかいいようがない。とんでもない物価上昇の夏、秋が迫っている。液化天然ガス不足で電気代まで上がったら最悪だ。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62691770X10C22A7EA1000/

 

4.「昨日は講義」

昨日は国立政策研究大学院名誉教授(元大蔵省主計畑)の松谷先生のご依頼を受けて国際都市研究学院@政策研究大学院で160分間の授業。受講生はトップ企業からの派遣生達30名。普段は都市開発・不動産開発の各分野の第1人者(東大、京大、東工大の名誉教授の先生方等)が講師なので、私はちょっと異端だが、海外不動産事情等も踏まえながら、財政・金融の話をさせていただいた。

 

5.「拙著 「Xデイ到来 資産はこう守れ! 」(幻冬舎) 8月3日発売予定

Xデイ到来