「ドル/円は1ドル=400円から500円に」「円高への微調整は、ほんの一瞬」「金利をちょこっと上げたらそれだけで円安が止まるとは到底考えられない(黒田日銀総裁)」他

2022年07月22日

1.「ドル/円は1ドル=400円から500円に」

2~3月前から朝日新聞でも、文藝春秋でも私のドル/円予想を1ドル=400円から500円を書いていただいた。ただしこれは通過点に過ぎない。1ドル=400円から500円で日本のインフレ率は世界最悪になり、日銀がとんでもない債務超過になり日銀と円の信用失墜でハイパーインフレになると読んでいる。

世界的なインフレが収まると、日銀の破綻は少し先になるかもしれないが、日銀財務が、だからと言って改善するわけではない。悪化の一途だ。時間の問題だけ。先延ばしになればなるほど膿は溜まり、衝撃は大きくなる。

 

2.「サタデイ・ナイト・スぺシャルの時のマーケット参加者の行動/思考経路と全く同じ」

今のマーケットは1979年のサタデイ・ナイト・スぺシャルの時のマーケット参加者の行動/思考経路と全く同じ。サタデイ・ナイト・スぺシャルの時は金本位制が崩れ、バラマキ過ぎになった余剰資金の回収をFRB が開始した。マーケットは「そんなことをしたら景気が悪くなるからFRBは資金回収をすぐやめるだろう」「そんなことをしたら金利が急騰してしまうからFRBは資金回収をすぐやめるだろう」と高をくくって、楽観論に終始した。結果、金利のトレーダーの屍累々となった。今は財政ファイナンスに寄り、」ばらまかれた資金量は滅茶苦茶に大きい。中途半端に引き締めを辞めたら、インフレはと途端に再燃で世界は不況どころではなく壊滅してしまう。大不況程度ではFRBは引き締めを辞めないだろう。「サタデイ・ナイト・スぺシャルの再来(10年金利20%、FFレートの24%)の再来の可能性がかなりあると私が思っている理由。

 

3.「円高への微調整は、ほんの一瞬」

昨晩のドル・円の下落はドル10年金利の大幅下落によるものだろう。

FRBは27日の会合で2カ月連続となる0.75%以上の大幅利上げを決める見込みだからFFレートは2.5%~2.75%となる。今後、来年にかけて、まだまだ大幅利上げが続くだろう。セントルイス連銀のブラード総裁は15日に年末までに政策金利を、3.75-4%のレンジに引き上げる必要があるとの見方を示している。今の10年金利が2.88%のままであるはずがない。昨日発表の米経済指標が多少悪かったからの金利下げだろうが、そこまで反応するのはデイトレーダーの動き。すぐ戻る。

 

4.「ばらまかれた資金の回収に走る他国中央銀行と、回収どころかバラマキ続けざるを得ない日本銀行。円暴落は必至」

昨晩ECBが政策金利を0.5%引き上げた。FRBは27日に0.75%以上の大幅利上げを決めるだろう。BOEも8月に0.5%の利上げをする可能性大だ。一方、日銀は債務超過になるから利上げ不可能。円の独歩安は避けられないだろう。金利差以上に重要な円暴落の理由は「他国中央銀行はばらまかれた資金の回収に走るのに、日銀だけは回収どころかバラマキ続けざるを得ない」点。今回の世界的なインフレの原点は財政ファイナンスによる資金のバラマキだからだ。他国より異次元な規模でばらまいてしまった日銀には出口がない。ばらまき始めた時からわかりきっていたこと。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR21BR50R20C22A7000000/

 

5.「金利をちょこっと上げたらそれだけで円安が止まるとは到底考えられない(黒田日銀総裁)」

ブルムバーグ記事によれば、黒田日銀総裁は「金利をちょこっと上げたらそれだけで円安が止まるとは到底考えられない」と説明。要は、円安を止めるためには大幅な利上げが必要だが、日銀にはそれは債務超過になりから、到底無理。「黒田総裁が、今後の大幅円安進行を予想し、その対策は無い」と言っているようなもの。円安進行はまだ序の口。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-21/RFCVQEDWX2PT01?srnd=cojp-v2

 

6.「どの国も、賃金上昇<物価上昇率」

日経新聞によると「『(黒田日銀総裁は)企業収益が伸び、賃金が上昇するなかで物価も上昇する好循環になっていない」とし、大規模緩和の必要性を強調した」とあるが、現在、どの国も、賃金上昇<物価上昇だ。それでも大幅利上げをしている。「賃金上昇<物価上昇」を異次元緩和継続の理由にするのは、あまりに苦しい。金利を上げると債務超過になってしまうから、上げられない。今の日銀事務方の最大の仕事は「金利を上げない屁理屈探し」だ。大変重要な仕事だ。自分たちの職場が存続するか否か、がかかっているからだ(皮肉)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB214ZV0R20C22A7000000/

 

7,「(下世話な話)黒田総裁の任期はあと8か月」

少し下世話な話。黒田総裁の任期は後8か月。無事8か月が過ぎるか黒田総裁は戦々恐々だろう。途中離職だと、「仮病だろう。やはりもう日銀はダメで放り投げたのだ」との連想で、取り付け騒ぎが起きかねないから、自発的退職はあり得ない。辞めるには、「放り出し疑念」を世間から抱かれない「失言による解任」しか手段は無い。

大型の退職金が支給されるだろうが、せめて「退職金は円で未来永劫保有すること」くらいの条件はつけてもらいたい。彼の政策が正しかったのなら、退職金をもらうだけのことはある。もし間違っていて円が石ころ化になれれば、円の退職金はパーになるからだ。ご自身の政策ミスなのだから少しでも責任を取ってもらいたいということ。

日銀が新中央銀行になれば今の日銀職員の多くは新中央銀行に転職できるだろうが(中央銀行はそれなりに特殊技能が必要)、が厚生年金はパーになるのかな(?)