「米長期金利3.878%に上昇」「これから円安進行のエネルギーはQT 対 QE」「英中銀、国債ポートフォリオで2000億ポンドの含み損」他

2022年09月27日

1.「米長期金利3.878%に上昇」

先日(9月23日)に「日本では介入に目を奪われている間に米長期金利は上昇を続け、10年金利はついに3.71%」と書いた。その後、さらに日米長期金利は上昇を続け今や3.878%。為替介入で財務省の為替防衛ラインは145円との印象を世界中の投資家や投機家に植え付けてしまったから、この防衛ラインを破られると日米金利差拡大という事実と合わせて為替は走るだろう。一瞬で150円突破かも。

 

2.「邦銀の米国債保有は苦しくないか?」

「邦銀が米ドルを抱えていて大変だ」という記事を今まで何度か日経新聞で読んだ。 それ以降、「邦銀が米国債を大幅に売った」というニュースは聞いていない。もしいまだ保有していたら大変なのではないか?円をドルに換えての投資ではない邦銀の米国債投資(米ドルでの短期調達、長期運用)は時価会計であり9月末には評価損を計上しなければならないし、資金尻でも損の垂れ流しが続いているだろうからだ。耐えられなくなった邦銀が国債を投げれば、さらに日米金利差は拡大し、円安ドル高は進行する。

 

3,「これから円安進行のエネルギーはQT 対 QE」

今後とも日米金利差はますます開いていくだろう。当然それは円安ドル高要因だが、それより比較にならないほどの円安進行のエネルギーは、ばらまいたお金を吸収していく欧米銀行(QT)とお金をばらまき続けなければならない(QE)の日銀との差だ。回収されていくお金と毎日、天から降ってくるお金の価値の差は歴然。今回の世界的インフレが財政ファイナンスによるお金のバラマキであることを考えすべき。

 

4「酒食らって寝ているべし」

私の長いデイーリング人生において、こんなにわかりやすい為替動向はない。こういう時は売ったり買ったりのデイトレーディングなどしてはいけない。何度も言うが一般の方はドルを買ったら「酒食らって寝ている」べし。「145円に近づけば介入があるだろうから145円近くで売り、下がったら買い戻す」などとやっていると、一瞬にして上(=ドル高)に持っていかれて瀕死の重傷を負う。介入を利用したいのなら下がったら買うことだけに専念すること。どうしても下げも利用して儲けたいのなら(=上に飛ぶときに利益は減るが)現物のドルロング&短期間のドルプットオプション購入で売買を楽しむこと。私はお勧めしないし一般の方が簡単に為替のオプションを買えるのかも知らないが。

 

5. 「英中銀、国債ポートフォリオで2000億ポンドの含み損」

ブルムバーグ(27日)曰く「イングランド銀行(英中央銀行)が保有する国債ポートフォリオは、23日の英資産一斉売りで含み損が2000億ポンド(約31兆円)余りに膨れ上がった」「英中銀は量的緩和の巻き戻しで保有国債の売却をちょうど1週間後に開始する計画で、この含み損が実現し始める」。先日は豪中央銀行が債務超過に陥り、今度はBOEの財務内容が注目され始めた

マーケットの注目が各中央銀行の財務内容に目が向くようになると、日銀の財務が突出してことに世界の注目が集まってしまう。どこか一行の外資が日銀当座預金を閉鎖(=日銀との取引中止)すれば、怒涛のような追随が起き、円は一晩で紙くず化。危機は目前に迫っていると私は思う。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-26/RITGD4DWRGG001

 

6.「突然のX デイはあるのか? 」

「外資の一行が日銀当座預金から撤退」とのニュースが流れても、わかっていない日本人は「なぜ?」とぽかんとしているだろう。 しかし、このことが現実身を帯びてきたら、大変だ。ハイパーインフレが一晩で起こる。円安はじわじわ来るとは限らない。外資は日銀をも、時価評価で評価することを忘れてはならない。特に世界の中央銀行の債務超過や評価損のニュースが流れ始めている以上、外資の審査部は中央銀行の健全性に非常にセンシィティブになり始めているはずだ。共倒れは嫌だからだ。この辺は拙著「X デイ到来」に詳しく書いている。なお何度も言うが、中央銀行が債務超過になっても信用が崩れない条件が3つある、日銀はそのどれをも満たしていないから危ない。