1「ドルMMFとTMV」
私は「今は、インフレが激しいから米国債といえども長期はダメ。現金同様のドルMMF (米国では銀行預金よりMMFの方が主流)がいい。インフレヘッジには長期金利が上昇すれば儲かるTMV(債券ベアファンド)の購入がいい」とずっと言ってきたし、拙著「X デイ到来」(幻冬舎)でも強くお勧めしてきた。今、140.79。この1年間で昨年秋につけた48.05ドルの底値から3倍弱になっている。前回SNSでTMV を取り上げた9月23日(124.83ドル)と比べても上昇が顕著だ。
9月23日のブルムバーグには「投資家は現金の保有を大きく増やしつつある一方、他の資産クラスについてはほぼ全て敬遠している、米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらが指摘した。(中略)国債からの資金流出は1920年以来の高水準だとしている。」と書かれている。世界の投資家は遅ればせながら、私の方針と同じ方向に動いてきているようだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-23/RINX4WT0G1L001
2.
米長期金利が上昇を続け、10年金利は一時3.99%をつけた。まだまだかなりの上昇をするだろう。日本では、全く話題にならないが、米国では1980年のサタデイナイトスペシャル(米10年金利20%、FF レート24%)に触れる人も増えてきた。パウエルFRB 議長も先日の会見でサラリではあるものの触れていた。
私はかなりの確率でそうなると思っている。日米金利差という円安進行エネルギは今145円前で為替が停滞していることで、ため込まれている。解き放された後の円安の動きは急でかなり厳しいものとなろう。
3.
FRBが利上げをしているのは「景気を悪化させるため」との点をはっきり認識しておかねばならない。そうしないとマーケットの読みを間違える。着地点がリセッションになるか、ならないかの違いだけである。景気が悪化したからといってFRBは金融緩和に政策変換などしない。「(インフレ鎮静化のために)景気を悪くすること」が目標なのだから、悪くなったと慌てて緩和に政策変換することなどないのだ。金融緩和したら又すぐ、悪性インフレだ。
なお、それ以上に金利を高くしてもインフレは収まらないだろう。財政ファイナンスでお金をばらまきすぎた(QE)のが原因だから、バラマキ過ぎのお金を回収し(QT)終わらなければインフレは収まらない。私がパウエル議長は、サタデイナイトスペシャルに追い込まれると思っている理由。
4.「日本はなぜのんびりしているのか?」
英国、イタリアをはじめ欧米諸国は市場の揺さぶりを受けている。日本だけが、今のところ厳しい市場の洗礼を受けていない。しかしそれは日本が健全だからでは全くない。政府・日銀が、株式市場、債券市場、為替市場(数日間だけので終わると思うが)を牛耳る計画経済だからだ。債券市場を例えれば、異次緩和開始以来、国債の年間発行額の7割から8割を日銀が購入している。FRBは(2020年の20%を除き)せいぜい数%に過ぎない。他の中央銀行は金融政策目的で株式市場に参入などしていない。なのに、日銀は日本最大の株主。為替でも他国はこれほどの介入はしていない。要は、日本は計画経済そのもの、政府・日銀が力で市場を押さえつけている。しかし、こんなことは長続きしない。マーケットにいれば何度も経験する。だから近い将来、日本は最大限の「市場の暴力」を受けると思うのだ。それが日銀を廃せざるを得ない」事、すなわち「円の紙くず化」だ。
5「似非MMT論のトラス英政権」
英国で通貨安と金利上昇が加速している。トラス政権の減税&財政出動政策に対し、市場がNOと言っているわけだ。財政の継続性やインフレの悪化を怖がっているということ。MMTは平時はお金をばらまくが、インフレになったら、財政引締(増税やバラマキを辞める)を説いている。ところが日本の「似非MMT 論者」達はは物価高が問題になっている今「減税だ、もっとばらまけ」と主張している。何だ、年がら年中「金よこせ」で政府にたかっているだけの連中じゃないか。ちなみにトラス政権も、日本の似非MMT論者と同じ。なお平時からばらまきを続け、物価高になっても、さらに物価高対策としてバラマキ補正を組む岸田内閣も同じ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR270520X20C22A9000000/
6.「為替介入の効果は1週間であっという間に、もずくと消えた」
昨日のYahoo ニュースが私のTwitter記事を載せてくださった。しかし、私のコメントの次に書いてある金子勝特任教授のコメントには笑った。私と全く同じだ。誤字脱字だ!。「1週間であっという間に、もずくと消えた》とあるが、もずくはおいしいが、消えない。消えるのは「もずく」ではなく「もくず」!(笑)
記事曰く「経済評論家の藤巻健史氏は9月26日、自身のTwitterにこうつづった。 《金曜日の介入は円買い介入としては史上最高額、それでたった6円の押し下げ効果しかなく、それも一時的で、すでに元のレートに戻りつつある。しょぼい、恥ずかし。辞めときゃよかったのに》 9月27日には、立教大学大学院の金子勝特任教授が、自身のTwitterにこうつづった。 《【3兆円をドブに捨てた為替介入】22日の円買いドル売り介入は3兆円規模で過去最大だったが、1週間であっという間に、もずくと消えた》」
https://news.yahoo.co.jp/articles/09796818b0ddc2d46bca9606c629ae32f779292f
7.「国葬」
昨日は、前参議院議員の資格で、私にも国葬の招待状が届いた。最初は出席と思っていたのだが、長時間と聞いて、最近はトイレも近いし、それ以上に、滅茶苦茶に忙しく出席すれば睡眠時間を削って時間を割り出さねばならない(SNSを辞めればいいのだが、これはストレス発散の場なので辞めると精神衛生上悪い)の
で、自分の健康を優先して、最終的に欠席とさせていただいた。
安倍前総理の経済政策には当初から大反対だし、経済に関しては大変な失政だと思っている。総理といえども万能ではないから、ブレインの選択が重要だが、そこを間違えた。財政・金融のブレインは財務省・日銀で本流を歩いてきた人の中から選べばよかった。本流を歩いてきた人は、本来の財政論・金融論に精通しているからだ。精通していたからこそ偉くなっているはずだ。アベノミクスのような本来の財政論・金融論から途方もなくかけ離れたトンデモ理論(=財政ファイナンスの実行等)など行われなかったはずだ。
そうはいっても、前首相は長年、日本のリーダーを務められたあげく、凶弾に倒れた。テロ・暴力の成功事例を前例として残さないためにも、「テロ・暴力に屈しない」という決意のためにも国葬が適切だった、と私は思う。だから出席するつもりだった。ご冥福をお祈りいたします。