「30年間で「GDPの伸び米国3,5倍、日本ほぼ増えず。それなのにマネタリーベースの伸び米国9倍、日本13.9倍」「スペースエックスは民間主導経済、格差世界の成果」他

2022年10月12日

1.「30年間で「GDPの伸び米国3,5倍、日本ほぼ増えず。それなのにマネタリーベースの伸び米国9倍、日本13.9倍」

何度も言うが、この世界的なインフレは世間にお金がじゃぶじゃぶなせいだからQT (量的引き締め)が終わらないと収まらない。先行きはものすごく長い。本日の日経新聞「バーナンキ氏が残した『負債』」によると1920年ごろから2007年まで(注:約100年間も)1兆ドル未満で推移していたマネタリーベースはバーナンキFRB 議長の危機対応のQE(量的緩和)で4兆ドル(2014年)(まで拡大した。それが2020年にはなんと約9兆ドルになったそうだ。1900年代終盤に比べて通貨(マネタリーベース)が9倍にも増えれば通貨の価値が希薄化(=インフレ)するのは当たり前だ、だからこそQTが終わらないとインフレが鎮静化しないと私は言っている。ところで日本のマネタリーベースは43.4兆円(1990年12月平残)、267.4兆円(2014年12月平残)、606.5兆円(2020年12月平残)と13,9倍だ。1990年と2020年を比べるとGDPが3.5倍になった米国のマネタリーベースが9倍になったのにして、ほとんどGDPが増えていない(1.16倍)日本のマネタリーベースが、13.9倍。インフレ地雷が日本に埋め込まれていることが分かる。さらに最悪なことに日銀はQTが不可能(QTを刷れば日銀債務超過出し、政府も巨額借金の利子が払えない)。日本にハイパーインフレが来て、日銀を廃し、新しい中央銀行を作らざるをえないと私が言う理由。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65056890S2A011C2EA2000/

 

2.「現時点では、引き締めが弱過ぎる(米クリーブランド連銀のメスター総裁)

米クリーブランド連銀のメスター総裁は11日「現時点では、引き締めが弱過ぎて、極めて高いインフレが根強く続き経済に定着するリスクの方が大きい」と語った」そうだ。

何とま~、明快で強烈なメッセージ。遅かれ早かれ、米長期金利はかなり上昇し、ドル円も上にぶっ飛ぶだろう。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-11/RJLJUJT0AFB601?srnd=cojp-v2

 

3.「問われる財政政策の責任」

昨日の日経新聞夕刊の論考。きわめてまともな論考。「財政、財政」と騒ぐMMT 論者も目をかっぴろげて読むべし。「21年までの20年間で政府債務残高の対国内総生産(GDP)比率(%)の変化幅はデータを得た先進33カ国中、日本が118ポイント増と断トツ。一方、その間の生活水準(1人当たり実質GDP)の伸び率は下から6番目。略)拡張著しい日本の政府支出の費用対効果は相当低いのではないか。債務の累増は社会が政府に依存しきっている証左であり、不確実性を増大させて企業の投資を抑制する(略)この構造は莫大な将来負担をため込むだけでなく所得の向上を妨げている点で現在の世代にも負担を強いている(略)トラス政権の財政政策に端を発した英国での市場の大混乱は他山の石であるだろう」。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB058SY0V01C22A0000000/

 

4.「大型補正を組む時代か?」

大型補正を組もうとしている与党や、消費税減税を主張する野党、ついでに「本来の教えなら物価高には財政引き締めで対処」のはずが、「財政出動、減税」を主張する「金寄こせ」主教のMMT教祖、英国での市場の大混乱をよく理解しておくべし。「知らなかった」「他人事と思っていた」などと後で言うなかれ・。本日の日経新聞に載っている英フィナンシャルタイムズの翻訳記事「英国債急落は市場の警鐘」くらいは読んでおくべき。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1017S0Q2A011C2000000/

 

5.「スペースエックスは民間主導経済、格差世界の成果 」

11日、米スペースXは通信衛星を活用したインターネット接続サービス「スターリンク」の提供を始めたと発表したそうだ。米国にいる次男が、2年前から、これはすごいぞと言っていたやつだ。「過疎地カバー」などというニッチな話ではない。スターリンクではすでに3000基以上の衛星を打ち上げたというが、まだまだ打ち上げていくようだ。衛星経由で世界中どこでもつながってしまうのだから、アンテナ使用の現在の携帯はどうなってしまうのか?GAFA にしろ、米スペースXにしろ、政府主導の国では発展しっこない。政府に支払う税金分を民間が投資に回すことができ、格差を認められているから(成功したら大金持ちになれる)世界から天才が集まっている国だから出来る事業。資本主義国家米国と社会主義国家日本の差はますます開いていく。情けなや。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65052560R11C22A0TB2000/

 

6.「『減税による経済成長』という夢物語への市場の反応」

本日の朝日新聞、原真人編集委員の「多事奏論」。異次元緩和は財政劣化という深刻な副作用も生んでいる」「最近、英国で新首相が『減税による経済成長』という物語を国民に示すと、それを信じない市場で国債価格と通貨ポンドが急落した。英国よりはるかに政府の借金が重く、財政規律が緩い日本。その物語は、どこまで続けていけるものなのだろうか」。まさに、その通り。私は、崖っぷち、もしくは徳俵に足が乗っていると思っているが。

https://digital.asahi.com/articles/ASQBB65HGQB6ULZU00F.html?iref=comtop_Opinion_02

 

7.「信用創造を知らないのですか?」

昨日、以下のリツイートが私のtwitter に来た。

「藤巻先生はかれこれ20年破綻論訴えてるようです。きっと信用創造を知らないはずですね。 最近の話ですからね。 今からでも勉強して方が今後のためなんでないですかね??」

私がした返信は以下の通り。

「信用創造とは大学1年生の1学期に習うことで経済学部出身にはイロハののイです。新しい発見などではちーともありません。それをMMT 論者の方が何か新しい発見かのように言いはるのが笑えるのですが。ちなみに私は大学4年生大学院生に授業をしていましたが。自分の無知をひけらかすのは恥ずかしい」

 

8.「自分調べろ」

本日、以下のリツイートが私のtwitter に来た。

「すみません、信用創造って知らないので教えて頂けますか?」

私がした返信は以下の通り。

「甘えない! 何でも人に聞くな。自分で調べる!きちんとまともな本(=オーソドックスな本)を読まないから変な宗教に惑わされる。図書館に行って大学の経済学の教科書開けば、どの教科書にでも、最初の方に書いてある(マルクス経済学の教科書は知らないが)」