1.「『ドル売り財源が無限』とくれば米国債売りの連想が起きて当然(=ドル高)」
ドルの長期金利が4.2%を越して4.23%にも上昇してきた。10月13日が3.9%だから1週間で0.33%も上昇。このまま続くとドル国債をまだ保有していると思われる邦銀の経営悪化で日本で金融システムが起きるかもしれない。もちろん金利差拡大はドル高/円安要因。特にこれと言ったニュースが無い中での米長期金利の上昇は、日本のドル売り介入警戒ニュースが効いているのではないか?特に「ドル売りの財源が無限」とくれば、日本が大量保有する米国債売りが連想(=米長期金利上昇)されるのは、当然か?日米金利差拡大でドル高
2.『ハイパーインフレの悪夢 ドイツ「国家破綻の歴史」は警告する』、
『ハイパーインフレの悪夢 ドイツ「国家破綻の歴史」は警告する』、が10年ぶりに増刷することになり、帯に推薦文を依頼されました。私がたびたび、SNS で取り上げてきた本だが、購読をお勧めする理由はこの帯の推薦文に書いた通り。いかに今の日本が危険かをこの本を通じて理解が深まる。
「第一次大戦中からすでに ドイツは自国の銀行システムを通じて 極端な通貨の供給過剰を許すような財政政策をとっていた。それが戦後制御不能なインフレを招いた 」「ほとんどのドイツ国民は慣れ親しみ信頼していた通貨であるマルクを手放そうとしなかった。もうこれでマルクは終わりだという暴落が何度も起こってもそれは変わりがなかった。 マルクにしがみつく以外に選択肢がなかった者も多い」
https://www.shinchosha.co.jp/order/506271/
3、「英国の次は日本?」
トラス首相は「長期に低迷する英国経済を再建したかった」と「バラマキと大型減税」を掲げたところ、市場の反乱を受け短期での辞任に追いやられた。
インフレの最中にバラマキと大型減税にNO!を突き付けたという意味で市場は健全だ。「政治が変えられなければマーケットが暴力的に変える」と私がずっと言ってきたとおりの動きだ。
英国よりはるかに経済が低迷してきた日本、英国より格段に悪い財政赤字。英国中央銀行よりはるかに危険な財務状態の日本銀行。英国とは別の世界にいるかのような大型補正予算の提出。市場は果たして許してくれるのか?
今まで、市場が英国でのように反乱を起こさなかったのは、政府・日銀が0.25%の債券指値オペ、為替での介入オペ、そして長期債市場でモンスター(発行国債の半分以上を保有、毎年発行額の6割~9割を購入)、株式市場で最大の株主だったからだ。すなわち力で市場を押さえつけてきたからだ。膿は英国に比べて段違いに溜まっている。いつまで、こんな危機先送りが続けられるのか?英国の騒動が終わり、次のターゲットを狙ってくるヘッジファンドにとって、それは英国よりはるかに異常な日本の可能性は多分にある。日本のX デイは近い。個人は、政府に頼らず、自助しかない。ドル買いで備えるべき。
4.「次の世界で、野党は又、消費現在を掲げるのか?MMT論者はまだ税金は財源でないからと減税を唱えるのか?」
英国の事例を見た後でも、野党は次の選挙でもまた消費減税を主張するのか?
MMT論者はまだ税金は財源でないからと減税を唱えるのか?
何度も繰り返すが、私は「小さな政府論」者だ。小さな政府であれば税金も低くてすむ。大きな政府でそれに見合った税金を集めなければ借金が溜まり今迎えようとしているX デイを迎えてしまう。「大きな政府&低い税金」などのおいしい話などない。私が「小さな政府論」者と言っても、それはハイパーインフレにより国民の財産を没収し究極の財政再建を完了させた後の話だ。すでに溜まってしまった借金は大増税か、踏み倒し(=ハイパーインフレ)で解消するしかない。今、その時期を迎えようとしている。
5.「米長期金利が上昇しているときにやる介入は無駄球もいいところ」
以下、昨日午後5時頃出した私のTwitter記事。「場が薄くなるところを狙って、介入か介入のふりかは知らないが、米長期金利が上昇(3.17%に上昇)しているときにやるのは無駄球もいいところでしょうが。Xデイ後に国民の命を守るドルを無駄遣いしていいのだろうか?」朝起きたら。やっぱり無駄球だった。
6.「私はユーロの予想を外したか?」
昨日、以下のリツイートが私のツイッターに来た。「過去に2冊ほどご著書を拝読しました。時間が出来たら改めて図書館に行って確認しようと思っているのですが、確かユーロに関しては予想を外していた記憶あるんですよね(記憶違いでしたらごめんなさい)。2006年頃のご著書だったかと思います」
以下のように回答した。
「謝ってください。ユーロに関しては、そもそも買うべきだ、売るべきだ、など書いたことも発言したことも一度もありません。自分がやっていない商品に関しては積極的な発言はしません。机上の学問に基づくは嫌い。私はユーロ発足前まではドイツマルク、フレンチフランなどの為替、金利商品を頻繁にトレードしていたが、ユーロ発足以来、手を出すいたことはない。ユーロとは地域固定相場制だから、いずれ崩壊するだろう。崩壊時にどういう割合で通貨が返済されるかわからない。だから手を出さない。ユーロ廃止でギリシャドラクマで返ってきたら泣く。ただし「トレーダーとして言えば創設当時のユーホーリア時に買い、ピークで売るのが正解だった」とは書いた。もっとも他に儲ける手段が沢山あったので手を出す必要が無かったともいえる。まだユーロが崩壊していないことを持って「予想が外れた」といわれるなら仕方がないが。
ちなみに当時、中学生だった長男・健太が「お父さんはユーロは地域固定相場だから破綻するというが、円も夕張と東京で使われる地域固定通貨ではないか?なぜ円は崩壊すると言わないの?」と聞いてきたことがある。「夕張が財政危機の時は東京人の税金で夕張を助けるからだ。地域固定相場制が成功するには(為替での調整が出来ない以上)、その地域の財政が一つになるか、一つの国になる必要がある」と回答したものだ。ユーロ圏は、いまだ、一つの国にもなっていなければ財政も一つにしていない。