1.「政府・日銀も介入で円安が止まるなどとは思っていない」
本日の日経新聞いわく「財務省幹部も『介入で円安が止まるとは思っていない』と話し、あくまで投機筋による行き過ぎた円安の速度調整が目的との考え方を示している」
やはり政府・日銀自身、あほではなかった。政府・日銀を過信しているのは、マーケットを知らない素人だけ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB243QD0U2A021C2000000/
2.「防衛ラインが設定された?ますますソロスに負けたBOEと同じ」
日経新聞によると「市場では150円が政府・日銀の防衛ラインとして意識」とある。こうなると、いよいよ「ソロスに負けたBOEとまさに同じ」ということになる。1992年、BOEはユーロに参加するための1ポンド2.77マルクの防衛ラインを定めた(ユーロ参加資格)、ソロスファンドは割って下がれば大儲け。失敗しても1.77以上になる可能性は極少と看破してポンド売りを仕掛けた。英国の不景気、ドイツの東西併合の結果のインフレではファンダメンタルズからしてポンドが上昇するわけがない。腕づくで 支えようとしたBOEは敗退した。しかも不景気なのに、金利を引き上げるという悪態を示した後だ(注:日銀は金利を上げれば債務超過に陥り、金利を上げられないのだからさらに弱い)。ファンダメンタルズに反した介入など、大英帝国でも無理なのだ。なお、その結果、英国はユーロ参加資格を失ったが、あの結果参加しなくて英国は助かったというのが、大方が一致した見方だ。
3.「誤解が解ける日が怖い」
今朝。外市の金融機関の英語レポートを読んでいたら、「今の為替レベルは日銀の金融緩和転換を織り込んだ水準」と書いてあった。「日銀は十分なインフレが達成できていないから金融緩和の方向転換が出来ないのだろう」と理解している。大誤解だ。金利を上げると膨大な債務超過になるから日銀が金利を引き上げられないだけ。上げてもシミ程度。政府が物価対策で大規模予算を組もうとしているニュースが広まっていけば、「充分あインフレに達していないなど嘘」とすぐ気がつくだろう。
4.「日米金融政策会合を経て、ますますドル保有の魅力は高まる」
確か27日、28日と日銀の政策決定会合、11月1日、2日はFOMC.この結果、日米金利差は(短期は)ますます開く。ドルの経済的価値がさらにあがる。これを織り込むことが出来る部分は投機的なアクションのそれも一部だけ(それまでは実際に金利が動かないから魅力的な先物レートが出てこない等)。実務上で、世界で「儲けることが嫌いな人が圧倒的に多くならない」限り、儲けたい実需筋はドル買いに走る。それに投機筋が乗る。日本政府・日銀ではこの動きに抗するのは、不可能。詳しい説明は先週末アップしたプレジデントオンラインの拙稿をご覧ください。
https://president.jp/articles/-/62826
5.「円安圧力が弱まるのは年末以降か?ご冗談を」
本日の日経新聞は「構造的な円安圧力が弱まるのは、米国が利上げペースを落とす年末以降との見方がある」と書く。バランスを取るためにそう書かざるを得なかったのだろうが、かなり大胆な見方だ。私も円がトレンドとして強くなることが、万が一あるとすれば年末以降だとは思うが、年末以降と言っても数年先だと思うし、それ以上にその時、円は紙くずになっていて存在しないと思っている。注意すべきは、利上げペースが落ちても、日米金利差は拡大し続けるということ。ドルの価値はますます上がる。ドルの価値の上昇スピードが減速するというだけの話。万が一、円が紙くずにならずに円が強くなる方向に転じるのは米国が金利を“引き下げ”始めて日米金利差が実際に縮小を始める時。はるかかなたの先。
6.「米国超長期金利は上昇中」
昨晩の米10年金利の上昇はさほどではなかったが、20年、30年金利は確実に上昇を継続している。私がずっと推しているTMV (債券ベアファンド:長期金利が上昇すると値段が上がる投資信託)はついに180.03ドルまで上昇してきた。〈昨年末54.72ドル〉。これにドル/円の利益が乗るのだから、かなりおいしかった投資のはず。まだまだ行くと思っている。