「円紙くず化の予想は全く変わらず」「1ドル=500円から天文学的数字に」.「日銀の債務超過は深刻な問題」「変動型住宅ローンは危険」

2022年11月13日

1.「円紙くず化の予想は全く変わらず」

通常、米国市場は、過剰反応があった日の翌日は、冷静になって戻しが多少なりともあるものだが、金曜日の米国市場はあまり戻さなかったな、と思っていたら休みだった。うかつ。それにしても多少、時間が長くかかるかもしれないが、いずれ500円を経て円は紙くず化するとの予想は全く変えていない。すぐ円安基調に戻るとは思うが、それより重要なことは日々の利益ではなく、「ドルを買うのは、円紙くず化への保険」だと基本のキを再確認されたい。1ドル=120円で買おうが130円で買おうが150円で買おうが大差はないが、ドルを持っていないでX デイを迎える(突然来る)のとは天国と地獄の違い。

 

2.「日銀の財務内容は日に日に悪化している=円の紙くず化は日に日に近づいている」

私が「円が紙くず化する」と言っているのは、「日銀の債務超過、それもすさまじい債務超過」発生の日が、日に日に近づいているからだ。日米金利差の拡大による円安進行が、その契機となる可能性が高いと思っていた。(しかしそれが唯一の道筋ではない)。円安進行によるインフレで追い込まれた日銀が利上げを強いられた結果、債務超過に追い込まれる。それにより円の紙くず化が起こると思うからだ。

重要なことは、金曜日の逆CPIショックがあろうとなかろうと、日銀のバランスシート、保有長期国債、日銀当座預金残高は日々、膨れ上がっているということ(注:コロナオペは減らしているが、これはごく些細な話。肝心な保有国債を減らせない)。少しでも金利が上昇したら、日銀財務が受けるダメージは日々大きくなっている。そしてこれらを減らす要因も手法も皆無だ。米国事情の改善(=インフレ鎮静化等)で事態が良くなる話では全くない。

欧米中央銀行は量的引き締めでダイエットに入ろうとしている(QT=お金の回収)なのに、日銀はメタボ化を継続しQE(お金のばらまき)を継続しけなければならないし、実際、日ごとに膨れ上がっている。体重80㎏の人が健康を気にして体重を減らし始めているのに体重300㎏の人は日ごとに体重が増え続けている。減らす方法もない。心臓麻痺(日米金利差拡大による日本のインフレ)を最大のリスクと考えていたが他の臓器の不調によるThe endの可能性はいくらでもあるということだ。

 

3,「1ドル=500円から天文学的数字に」

「1ドル=500円に」というと「とんでもない」と言う方がいらっしゃるようなのですが、以下のようにお考え下さい。

30年前と比べると日本のGDPはほとんど拡大していないのに マネタリーベースは約14倍に達している。すなわち日銀は同じ経済規模なのに14倍ものお金をばらまいた。1単位の円の価値が希薄化するのは当然。もちろん為替は相対論だから、ドルサイドも見る必要がある。米国のマネタリーベースも9倍と拡大しているがGDPは3.5倍に拡大している。すなわちドルの1単位は2.5分の1にしか希薄化していない、為替は国力を反映するが、それは通貨1単位あたりが国力を反映するということ。1単位の価値が14分の1に希薄化した円と2.5分の1にしか希薄化していないドル、当時の1ドル=125円が500円になってもちっともおかしくない。

ちなみに通貨が国力を反映するのは中央銀行の財務が健全な時の話で、中央銀行の財務内容が破綻し信用が失墜した場合、通貨の信用は壊滅的に失墜する。だから私は採取的に1ドルは天文学的数字になると言ってる。

 

4,「え、税は財源ではない?いい加減にせい」

「税は財源ではない」など、どんなアホが言い出したか知らないが、それを信じる人が多いのには、ただただ驚くばかり。義務教育をちゃんと受けているのか?小学校の時に「租庸調」って習わなかったのだろうか?飛鳥の昔から税を取って国家運営に充ててきた。徳川幕府の「5公5民」での一揆も統治者が自分たちのために(国の統治のために)民から税金を取りすぎたから生じた。外国でも、征服地から税をとりたて、王朝、政府の歳出を賄い、より贅沢な生活をした。それとも昔から税は景気を調整するために徴収していたとでもいうのだろうか?いい加減にせい。

 

5.「日銀の債務超過は深刻な問題」

1ドル=500円(その後天文学的な数字)と書くと、「そんなことありえない」と反応する人が多いが、「日銀の債務超過」の危険度がわかっていない。金融を経験した人ならすぐわかると思うのだが、日銀自身が懸念している証拠を示しておく。日銀自身が書いた「日本銀行の機能と業務」(日本銀行金融研究所)によると「日本銀行への信認が失われると (中略)中央銀行通貨への信認低下によってわが国経済全体にも支障が及ぶ 」。債務超過は日銀の信用失墜の最たるもの。元東大経済学部長の吉川洋先生が、「日銀当座預金は、国民にとってなじみがなく、普段、日常生活と関係ないから、何か異常が起きても国民はそれと気が付かないだけ」との趣旨の発言をされていたが、まさにそう。一般人が気がつかないだけ。日銀財務の日健全性もバランスシートの膨張という異常事態も感じないだけ。とんでもないことが感じないところで起きている。休火山のマグマが地下で爆発しようとしているだけ。

 

6.「変動型住宅ローンは危険」

昨日、NHK ユースで「住宅ローンの変動金利型のレートが下がり、固定金利型の住宅ローンの金利が上がりつつある。そのせいもあり変動で借りる人が多い」とのニュースをやっていた。これは極めて危険な兆候だ。今の日本は歴史的な超低金利下にあることを忘れてはならない。他国では金利はすでにかなり上昇していて、日本の現在の超低金利は異常なのだ。

確かに、現在の固定金利は変動型より高いが、その差額分は、金利上昇に対する保険と考えるべきだ。日銀が金利を抑えきれなくなった時、地獄を迎える人が多々出てしまう。これも「財政ファイナンスによる長期債爆買いで、人為的に金利を低く抑えてきた黒田日銀の罪だ。人為的に操作をすると必ずやのちに、ひずみが、いたるところで出てくる。

 

7.「住宅ローンは固定に変換することをお勧めする」

昨日Twitterに以下の質問をいただいた。「20代の公務員です。 藤巻先生の考えだと、 日本(日銀)は利上げできない。 仮に利上げすると、日銀債務超過で円の信用が失墜してハイパーインフレに ということなので、 現在でも現役世代は変動金利でマンションを購入しても特に問題ないという認識で大丈夫でしょうか?」

以下のように回答した。

「長期固定に変えるべきです。日銀は政策金利を上げることは出来ませんが市中の金利は、政策金利に関係なく上がっていくでしょう。通常の状況だと日銀は政策金利を引き上げることによりインフレを抑え結果として市中金利の上昇を抑ええますがそれができない状況です」

 

8.「米国の債務上限引き上げに関して」

本日、以下のリツイートが私のtwitterに来た、「イエレンが債務上限を引き上げたいとの事ですが藤巻さんはどのように予想されますか?」

以下のように回答した。

「最終的に上げてしまうのと思います。そうしないとデフォルト起こしてしまうので。ただし債務上限と言う法的制約が残っていて、財政規律を気にかけている米国の方がはるかに日本よりもまともです。このような制約もなく、特例公債法案も骨抜きにするなど警戒警報も全く鳴らない日本は最悪です」

 

9.「元財務官僚小笠原誠治氏の名言集(続)①」

①勝手に増税を決めるな、という人々がいる。そのとおりだ。日本は主権在民なのだから。但し、だったら財政出動も勝手に決めるな、と主張すべきだ。財政出動するためにはお金が必要なのだから。財政出動の恩恵だけを享受し、それに伴うコストについて何も考えないのは、主権者の取る態度ではない。

②経世済民派は、増税より経済を成長させることが先決だ、と主張。それはそのとおり。では、どうやって経済を成長させるのか?しかし、経世済民派は、財政出動をすればいいと言うだけ。財政出動しても効果はないじゃないかと言うと、財政出動の規模が小さいからという。結局、借金が増えるだけの結果に。

③池戸万作とかいうMM論者の「今の人間に評価されなくても、未来の人間に評価される生きた足跡を残そうと思った」とのtwitterに対して「未来の人間に評価されるように本人としては頑張ったつもりなのに、財政破綻して、あの人たちがいい加減なことを言ってたからよ、と言われる可能性が大」

④経世済民派の人々に聞いてみたいことがある。これから先もどんどん財政出動を続け、仮に今の10倍、否、100倍に国債の発行残高が膨らんだとして、それでも平気な訳?率直な意見を聞かせて!そのときに、物価が1年で2倍、3倍になるような状況になっていても、そうですか?

 

10.「元財務官僚小笠原誠治氏の名言集(続)②」

⑤「『財政出動なんて意味ない!』と言い続けて構造改革とか色々やってみたけど経済成長せず、あと試してないのは財政出動だけですかね。 ここまで来たら財政出動を試してみても良いのでは? 財政出動したからといって財政破綻するわけじゃあるまいし」というお医者様からのtwitterに対し。「このお医者さんと名乗る人は、財政出動の意味が分かっているのだろうか?あと、試してみていないのは財政出動だけって、そんなアホな!この数十年、金融緩和と財政出動しかしていないじゃないか!医者と名乗っても、わたしゃ信じないから」

⑥経世済民派に質問したいのだが、日本政府が仮に預金封鎖をしたとして、そのときも財政破綻していないと主張するのか?

⑦経世済民派は、財務省自身が「日本が財政破綻することはない」と言っている、と主張するが、財務省は、その根拠として政府の徴税権を挙げるのに対し、経世済民派は、国の通貨発行権、即ち、どれだけでも通貨を発行できることを挙げる。この両者には決定的な違いがあるのだが、分かっているのだろうか?

⓼1ドルを78円で買い、後日、151円で売ったら、大儲けができたと思う日本人が多いと思うが、よく考えた方がいい、本当に儲けることができたのか、を。もし、その間、円の価値が不動であることが明らかならば、儲けが出たと言えるが、ドルの価値がその間不動であるのならば、少しも儲かっていない。