「世界は『ハイパーインフレ』に向かっている」「今後5-10年間、米金利は5%近辺にとどまる」「ターミナルレートは5-7%」他

2022年11月18日

1.「世界は『ハイパーインフレ』に向かっている」

お、日本だけでなく世界がハイパーインフレに向かっているのか!
本日の日経新聞に載っている英フィナンシャル・タイムズ(FT)特約記事。「世界最大規模のヘッジファンドの一つであるエリオット・マネジメントは、世界は『ハイパーインフレ』に向かっており、第2次世界大戦以降で最悪の金融危機に突入する可能性があると警告した」そうだ。「同社は危機を招いた責任の多くは中央銀行の政策当局者にあると指摘。中央銀行は高インフレについて、20年の新型コロナウイルス危機の最悪期に実施した超緩和的な金融政策ではなく、コロナ禍に伴うサプライチェーン(供給網)の目詰まりが原因だと説明し、『不誠実』な行動をとってきたと強調した」そうだ。同社も、この世界的なインフレは「供給制約やウクライナ戦争」ではなく「財政ファイナンス」により「お金ジャブジャブのせい」と看破したわけだ。世界的インフレの原因分析は私と全く同じ。

半年くらいに世界的に権威のある経済誌「The international Economy」に寄稿を依頼され「日銀はハイパーインフレの鎮静策のために廃止。新中央銀行が設立されるだろう。日銀ほどではないにしても日銀のマネをし、過激に財政ファイナンスをした挙句に方向転換が遅れる中央銀行の中には日銀同様、廃せざるを得なくなるところが出てくるだろう」と書いたが、私の考え方が世界でも異端ではなくなりつつあるということだ。なお、過激な財政ファイナンスをした日銀のダメージが最も大きい。為替は相対論、円暴落は近い。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO66082180X11C22A1ENG000/

 

2「今後5-10年間、米金利は5%近辺にとどまる」

今朝のブルムバーグ記事。「オークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創業者ハワード・マークス氏は、米国のインフレ率はピークを付けた公算が大きいが、金利は今後5年から10年にわたって5%近辺にとどまると予想」したそうだ。FRB 幹部の「ターミナルレートラルを付けた後、長期にわたり金利の平原状態が続く」との予想にもある意味、合致する。FF レートが5年から10年にわたって5%近辺にとどまるのなら10年金利が現状の3.7%台のままであるわけがない。このような状態になれば、米長期債を大量保有している邦銀は一巻の終わり。金利を上げられない日銀も、もちろん万事窮す。円は紙くず化。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-17/RLI4A0T1UM0X01?srnd=cojp-v2

3.「ターミナルレートは5-7%」

セントルイス連銀のブラード総裁は「十分抑制的な政策金利について5-7%程度になる可能性があると説明した」そうだ。市場は1回の金利上げ幅が減速するだろうと舞い上がっているが、重要なのはターミナルレート。しかも多くの連銀総裁が、その後「平原状態」が続くと予想している。金利が来年から下がるなどもってのほか。米10年金利が3.7%台のままであるわけがない。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-17/RLHTMPT1UM0X01

 

4「インフレはあまりにも高すぎる」

昨晩のロイター記事によるとFRBのクック理事は15日、(インフレは)「あまりにも高すぎる」と述べたそうだ。市場は1回の金利上げ幅減速予想で舞い上がっているが、財政ファイナンスでまき散らかした金を回収し終わらないと、インフレなど収まるわけがない。

https://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN2S51BE.html