1.「評価損が雪ダルマ式に巨大化するだろう、日銀は信用を保てるのか?:」
2022年3月末の10年債利回は0.21%、9月末は0.245%である。たった0,035%の上昇で日銀の保有国債の評価額は+4兆3734兆円から△8740億円に下落した。すなわち0.035%の金利上昇で5兆2474億円の下落。単純算数で計算すると、0.35%長期金利が上昇すると52兆4740円の評価額が下落することになる。
ちなみに日本同様、昨年はマイナス圏にあったドイツの10年金利は今や1,89%。昨年12月の△0.38%から2,27%も上昇している。日本の長期金路が上昇しないのは、日銀が必死で0.25 %の指値オペをしているから。ここが崩されたら、日銀にとんでもない巨額評価損が発生する。それでも他国はドルを売って円を買い取ってくれるのか?
もし、例えばカナダの中央銀行がこれほどの債務超過になったら、あなたはカナダドルを保有するか?私は絶対買わないし外国銀行の審査部は買わしてくれないね、いつ無価値になるかわからないからだ。
2.「中央銀行が債務超過になっても大丈夫な3条件」
過去、本やSNS に何度も書いているが、中央銀行が債務超過になっても大丈夫な条件は3つあると昔から言われていた。
①,債務超過が一時的だとマーケットが理解した場合
②その国の金融システムが危険にさらされた時、それを助けるために中央銀行が債務超過になったものの中央銀行自体の財政状態等は健全であ
③国の財政が健全化健全の方向に向かっており、税収で政府が中央銀行に資本投入できる。
日銀の場合は、どれ一つ該当しない。
4.「通貨発行損ではいつまで楯も債務超過は解消しない
債務超過が一時的だとは、市場金利が下落する。すなわち今の金利より下落する。未来永劫、日本経済が経済成長をせず、世界5流国レベルの経済状況を継続すれうならば中央銀行が爆買いを辞めても長期金利は上昇しないだろう。
黒田総裁や若田部副総裁は中央銀行は通貨発行益が継続的に発生するから、債務超過はいずれ解消されると私の質問に答弁したが、今後、起りうるのは長年の通貨発行“損”である。どう考えても債務超過は短期には解消しない。それどころか物価上昇に伴いモンスターのように膨れ上がる可能性大である。
5「めちゃくちや」
高橋氏のツイッターに以下のようなツイートがあったがどう思うとの質問が来た。高橋洋一氏いわく「日銀が債務超過ガー。と似たような議論なのだが、日銀BSの負債項目の経済的価値が理解でもきていない。銀行券は無利息、当座預金は本来無利息だが今は0.1%まで金融機関へ小遣い。仮に日銀が危ないとなればこれは停止。なので負債は原則無利息と見ていい。資産700兆円がパーになっても実質損はない:」」以下のように率オートしておいた。
「何を言っているのやら。異次元緩和をしてしまった以上、昔のような政策金利引き上げ方法はもう存在しない。政策金利を引き上げるのは、この日銀当座預金への付利金利を引き上げるしか方法はないと言われている(。FRBもECBも実際この方法で政策金利を引き上げている。高橋氏は、他の政策金利引き上げ方法を見つけたのか?見つけたならば教えて欲しい。それとも物価がいくら上昇しても政策金利を引き上げず、ほったらかしにすると言うのか?この高橋氏のコメントに約2000もの「いいね」が押されているのを見て無知な国民の多さに唖然とする)。
6「マーケットの動きに一喜一憂しないのが中央銀行:
本日、私のツイッターに以下のリツイートが来た。
「マーケットの動きに一喜一憂しない事が中央銀行だと思う」
以下のように回答した。「その通りです。そのために中央銀行は(昔の日銀を含め)相場の動きにさらされる金融商品を買ってはいけないのが鉄則と言われていました。中央銀行が債務超過になるとその発行する紙幣価値が棄損するからです。ところが黒田日銀は株は買うわ、長期債を爆買いするわで、その鉄則を大破りです。長期債は同じ1%の金利上昇でも、価格が大幅に下落するからです、私が銀行マンの頃(2000年3月まで)は日銀も3か月までの短期国債しか買っていませんでした。その鉄則を世界で最大限に、そして大破りも大破りしているのが日銀です。黒田総裁は毎日、相場を見ながらハラハラしていることでしょう」